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zoom RSS 『「だまし」に負けない心理学』

<<   作成日時 : 2012/09/15 03:37   >>

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『「だまし」に負けない心理学』
目次を見てよくある本だなと思いましたけど、著者の職場での体験や時事をふんだんに取り入れているという点で楽しく読めました。
原発事故に便乗したインチキ商法から政治における「わかりやすさ」まで「だまし」について幅広く書かれています。
ここでは最終章の「死後の世界があろうとなかろうと」を中心に取り上げます。

「だまし」に負けない心理学 (生きる技術!叢書)
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この手の心理学本はたくさん出ています。
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この本でもあちらこちら、ところどころに心理学用語が出てきて、時事などを取り上げながら解説してくれます。
カルトや代替医療やニセ政治にはまる心理も面白いのですけど、このブログで書いてきた一連の「死後の世界」に関連した章がありますので、そこを詳しく読んでみましょう。
○テーマ「コラム・哲学」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/e648aa0559.html




著者の親を亡くすという体験が書いてあります。
「50歳の娘が80歳を超えた父を失う」という体験なのですけど、周囲から聞かされるのは、父が天国から見守ってくれる、といった死後の世界を信じている方々からの言葉。

それに対し著者が思うのは、
どうして、父が見守っているとか喜んでいるとかいうことが、わかるのか。そんなふうに言うということは、やっぱり”死後の世界”とか”霊魂の不滅”を信じているのか。もし私がそんなことは信じていません、と言ったら、どうなるのだろう
ということ。

一方で、これらが信じることができるのならラクかも、って考えます。
しかし、実際に父を亡くしても、そういう気分にはなれなかったようです。

ただ、ペットの犬が死んだときには「ペットたちは死後も生きている」を買ったそうです。
この本、以前のブログに写真だけ登場しています。
○ペットが死ぬとき 賢馬ハンス
http://yoshibero.at.webry.info/201209/article_2.html

周囲の慰めてくれる人に、父が天国で見守っていることをどうして知っているのか、それを見たことがあるのかと詰め寄ってもしかたがない。

しかし、単なる慣習か信仰かわかりませんが、思考停止して「信じるものは救われる」でいいのかと問いかけるわけです。
答えは、もちろん、良いわけない。
私もそれに同意します。




そこで問題になるのは「死後の世界」と「霊魂不滅の法則」です。
例を2つあげています。

「生きがいの創造」と「人は死なない」。
私もしつこく取り上げているお二方です。
以前、私は両者の対談があればおもしろいとも書きました。
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「生きがいの創造」の方は、多くの本を書いておられます。
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○生物の時間 脳科学 幽体離脱
http://yoshibero.at.webry.info/201208/article_10.html
○脳科学 脳と意識 その2
http://yoshibero.at.webry.info/201205/article_4.html
○死後の世界 輪廻転生 人は死なない
http://yoshibero.at.webry.info/201204/article_25.html
○AERA 死ぬ間際に見える風景
http://yoshibero.at.webry.info/201208/article_11.html
○ヒトはなぜ神を信じるのか 進化心理学が解き明かす神の起源
http://yoshibero.at.webry.info/201209/article_11.html
○脳死移植 臓器移植法の改正A案が通ってしまいました
http://yoshibero.at.webry.info/200907/article_16.html

大学人だという肩書きを大いに利用し、大学人や科学者の意見(学説ではない)だというのに信頼を置いた「生きがいの創造」や、東大病院の教授だという肩書きの人が書いた「人は死なない」のことです。

さらには、これら肩書きのある人が、それなりの肩書きのある人の論説に搾って論じています。
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誰もが思うことでしょうが、同じことを普通のおっさんが書いても本は売れないでしょう。書いてある内容はちまたに溢れている昔からあるオカルト本やトンデモ本と変わりません。無理して褒めるとすると、スピリチュアル系本です。

お二方の本が売れたのは肩書きと内容のギャップがあったからこそで、両者とも書かれている内容に目新しさがあったわけではありません。

本書では、この「肩書き」と「ギャップの大きさ」について、あれこれ考察しておられます。

「何を書くか」より「誰が書くか」が重要
となるわけです。




肩書きなどに惑わされずに、自分の考えを持て、ってことなんでしょうが、これがなかなか難しい。
何も判断材料や経験がないところで自分の考えなど生まれるわけがありませんし、確固たる自分の考えだと思っていたのが(本人が気がついてないだけで)人のコピーだったりします。

発言している人の肩書きを取っ払って中身で勝負、とはいっても、なかなかそうはいきません。
ある程度の肩書きがなければ出版社は本を出してくれませんし、無名人の自費出版となると、よほどのことがない限り売れません。

上記のような「たてまえ」がいえるのは、著者が本を出版できる立場にいるからこそでしょう。


著者のいうように、俎上に上がっている2人の場合、肩書きはもちろんですが、ギャップの大きさがあったからうまくいったのは確かです。

東大病院教授が、イタコ芸にまんまとはまり死んだ母の霊と対話して感動し、霊魂不滅を説き、神モドキの摂理を説いたり、一応元国立大学の教授が臨死体験を機に死にきれない霊を捕まえてその霊を諭し、無事あの世へ送り届けるという使命に目覚めその体験記を出版しているわけです。
同じ内容をどこかの教祖様が書いたのなら、即オカルト本行きです。

ところが、これが当たって、ベストセラー入り。
編集者の勝利ですね。

この「大きなギャップ」についてはいかんともしがたいのですけど、肩書きについては、死後の世界や霊魂不滅の法則を説く側だけでなく、その逆にも言えます。

たとえば、DNAの二重らせん構造を解明したクリック、物理学方面ならホーキング、進化生物学ならドーキンスやグールドなどなど。
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クリックは「驚くべき仮説」である「DNAに魂はあるか」を書き、その論考が科学的かどうかはともかくとして、ノーベル賞受賞者としての権威ある人が死後の世界や霊魂不滅の法則を疑問視しているという主張は、これらの権威が利用できます。

ホーキングの「グランドデザイン論」は、大統一理論がメインでして、神はいないよ、って話はサブなんですけど、世間的な話題としては説得力があります。

ドーキンスとグールドは全く違うアプローチから神の非存在証明をしています。

このブログで何度も取り上げた進化心理学や哲学などの分野からも、著名人が神の非存在証明に関わっています。
○テーマ「コラム・哲学」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/e648aa0559.html


これらの論説で肩書きや業績を取っ払うと、インパクトはほとんどなくなってしまいます。
(ここに日本人の著名人が出てこないというのも(もちろん意図的に出さなかったのですけど)、問題かもしれません)

普通のおっさんが魂や死後の世界なんてないよ、神もいないよ、といくら叫んでも、それらを信じている人には届きません。
ホーキングが神はいない、死後もない、って言えば、インパクトがあり、同時に反発も起きるわけです。


これまでホーキングについてはこのブログで書いてこなかったので補足すると、「ホーキング、宇宙と人間を語る」(翻訳本のタイトルは過去のベストセラーを参考につけたんでしょうが、似たような本がいっぱいあって、どれがどれかわからなくなるという点でかえって逆効果だと思うんだけど)というイヤらしいタイトルの本で、神はいないと宣言したとされました。
過去の本と違って、哲学的論考が少し追加されています。

ホーキング、宇宙と人間を語る
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スティーヴン ホーキング

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原著のタイトルは「グランドデザイン」です。
これは「インテリジェントデザイン」をもじっています。


この本に絡んで、あちこちで議論が起こりました。

○ホーキング博士が「死後の世界はない」と発言し日本国民が議論
http://news.livedoor.com/article/detail/5565624/
○「宇宙創造に神の居場所はない」、ホーキング博士が新著で語る
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2753006/6139228

日本人によるコメントが面白い。


某宗教団体(最近教祖が直接訴えられて近いうちに法廷に立つかも)も雑誌のサイトや公式サイトでホーキングを必死になって糾弾しています。
○ホーキング博士が「天国も来世もない」と暴言す!
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1987
○ホーキング博士の主張「天国も死後の世界もない」は、真実ではない
http://info.happy-science.jp/201105191713

唯物論のホーキングは地獄行きだと脅迫しています。
この思い込みはなんなんだろう?

また、教祖もホーキングの守護霊の霊言を下ろしています。
なんとホーキングには宇宙人としての魂が守護霊らしい。
その守護霊は「地球侵略を目論む「宇宙の邪神」の存在」だそうです。
本気か? もう、支離滅裂です。

(教祖に宇宙論の教養がゼロですから、ホーキングの学説や一般の宇宙論には一切触れていません。このイタコ芸は教祖の口から教祖の知っていることやカンペを見ながらしゃべるというものです)

宇宙人による地球侵略はあるのか (OR books)
幸福の科学出版
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このような反響があるというのは、やはりそれを言った人の属性に関わっています。
ホーキングが神はいないというのに「大きなギャップ」は感じられませんから、この場合、肩書きだけで騒ぎになっているといえます。

もちろん「内容」が重要です。
科学を装いながらニセ科学丸出しの論説と、正当派科学の王道を行く論説は一書には論じられません。
何を言ってもいいわけじゃありませんから、肩書きがあろうとなかろうと、内容が良ければそれでよいわけですが、世の中そううまくいきません。




最後に、著者が冒頭で書いた医者でもあった父親を亡くしたという経験を元に、終末期についていろいろ書かれています。

終末期の看取りも儀式としての葬式も、当事者のためというのはもちろんですが、多くは生き残った家族や周囲の人たちの納得のためでしょう。

私は何度も死後の世界は方便だと書いていますが、確固たる信仰に基づいているのなら、本人も家族などにとっても納得しやすことなのかもしれません。

この分野は特に自分の考えを持つことが重要です。
医者に一切をおまかせにして、後で後悔する、ってことも多いでしょう。
そうならないように、著者は警鐘を鳴らしていて、上の話とつながるわけですけど、この場合、合理的思考が一番の解決策になるとは限らないところが難しいところです。

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