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zoom RSS ナマ食はカラダにいいのか? その5

<<   作成日時 : 2012/06/06 23:47   >>

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ランガム著「火の賜物 ヒトは料理で進化した」ネタの続きです。
実は、2年程前、この本の感想を書きました。読み返してみると、
中途半端に終わっています。
結論らしいものがありませんので、付け足しておきます。
○ナマ食はカラダにいいのか? その4
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_35.html
○ナマ食はカラダにいいのか? その3
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_33.html
○ナマ食はカラダにいいのか? その2
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_30.html
○ナマ食はカラダにいいのか? その1
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_27.html
○遺伝子組換え作物 書籍から ナマ食信仰と進化
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_21.html




リチャード・ランガム著「火の賜物―ヒトは料理で進化した」

火の賜物―ヒトは料理で進化した
エヌティティ出版
リチャード・ランガム

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年配の日本人なら誰もが知っている横井庄一さん。
彼のエピソードも引用されています。
食材は野生の自ものが多いわけですが、
やはりナマ食ではなく、加熱調理したものを食べていました。

現在のin the wild の人たちも調理したものを食べており、
ナマで食べることはあまりしない。

前回までに引用したような数々の例などから、第一章の締めは

生食主義者が健康的に過ごせないのは明らかだ

確かに動物は自生の食物をナマで食べています。
しかし、ヒトが動物のまねをして生きていくのは難しく、

ほとんどの状況で料理された食物を必要としているのだ


生食主義は体重を減らすという意味でのダイエットには確かにいいのかも知れません。
病的な栄養不良になるだけですけど。

ナマ食を考えるには進化的に見る必要があります。

野生の動物が食べているようなものをヒトが食べると
簡単に食中毒にかかってしまいます。

ヒトとはいっても、動物の一種なのだから、
動物が食べるようなものが自然で、健康的になれる
という信仰があります。
しかし、これはかなり危険な思想で、間違っています。

以前のエントリーに書いたように、動物としてのヒトを重視するのなら
加熱食こそがヒトにとって最適の食事法です。、
火を発見し、火を食事法に利用することを見いだしたからこそ、
それに適応する形でヒトが生まれています。
その適応の歴史は、農耕や品種改良の歴史よりはるかに長い。

具体的には以下のエントリーを参照。
○ナマ食はカラダにいいのか? その2
 http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_30.html




野生の動物も、ヒトが料理した食べ物を食べると、エネルギー効率がいいことから太ります。

料理により失われる栄養素があることは確かです。
たとえばビタミン類など。
生食主義者はこれを重要視します。

ヒトが食べる最大の目的はエネルギーを得ることです。
料理した食べ物は効率よくエネルギーを得ることができます。
ナマ食は得られるエネルギーが少ないだけでなく、消費するエネルギーも多い。

生食主義者に寄れば、ナマ食ならそこに含まれる酵素により分解が促進され、体内酵素が温存できるらしい。

しかし、体内酵素温存はともかくとして、ナマ食の場合、動物実験でも明らかなように、分解にかかるエネルギー消費が料理した食物より大きくなります。
ナマ食由来の消化酵素量と体内で合成される消化酵素の量を比較すれば簡単に分かることですが、ナマ食由来の消化酵素量は圧倒的に少ない。
万一体内酵素温存説が成り立つとしても、ナマ食をすれば、かえって消費酵素が多くなってしまいます。

ローフードダイエットも、単に体重を減らしたいというだけの意味なら、
理にかなっています。
ローフード、すなわちナマ食の場合、つねにカロリー不足に陥るわけですから、栄養失調の結果としてやせるのは当たり前です。

ヒトは大きな脳を持ちます。
脳の基礎代謝率は20%もあります。
そのことから、脳へ安定的にエネルギーを供給する必要があります。
ヒトの体全体の基礎代謝率はヒト以外の霊長類や動物と比べて、
特段高いわけではありません。
そのことから、ヒトは、脳へかなり効率よくエネルギーを供給していることが分かります。




毒物への対応方法もヒトとチンパンジーでは異なります。

天然の毒素に対する感受性は
ナマ食と加熱調理食では異なるはずです。
また、加熱調理することで、新たに生じる化学物質もあります。
新たに生じた毒物に対しても、適応しているはずですから、
こちらは、チンパンジーには感受性があっても、
ヒトには耐性があるはずです。

そうであれば、マウスやラットを使った毒性試験、変異原性などは
参考にはなりますけど、ヒトとして適応している化学物質に関しては
あまり役に立たないかもしれません。


野菜などのように、せいぜい1万年程度しか歴史がないモノの
毒物については、まだまだでしょう。

それまで食習慣のなかった新たな食材であれば、
品種改良して毒物を減らしていても、十分な対応はできないでしょう。

例えば、ジャガイモのソラニン。

食中毒という点で、毎年お馴染みのニュースは
小学校などの調理実習で、ジャガイモのソラニン中毒です。


野菜ですら危ないわけですから、野草はもっと避けないといけません。
ヘタに野草に手を出すと痛い目にあいます。

古いですが、厚労省のWebサイトに次のようなリストがあります。

○自然毒のリスクプロファイル
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/

その中で、「高等植物」のリストがおもしろい。

例えば「アジサイ」。
料理に添えられていたアジサイの葉を食べた10人のうち8人が、
 食後30分から吐き気・めまいなどの症状を訴えた

だし巻き卵の下に敷かれていたアジサイの葉を食べ、
 40分後に嘔吐や顔面紅潮などの中毒症状を起こした


最近だと2012年5月20日に
「ニラと間違ってスイセンの葉を食べた家族が食中毒」と
各紙で報じられました。
テレビのニュースでもやってました。
同様の事例が厚労省のリストの「スイセン」に載っています。


ちょっと前だと、2012年4月7日にニリンソウだと思って
山からとってきた山菜で死者まで出ています。
http://mainichi.jp/select/news/20120408k0000e040118000c.html
これはトリカブトと間違えた例です。
これもリストの「トリカブト」に同様の事例が載っています。

厚労省のリストを見ると、春、東北や北海道で同様の食中毒事件が
起こっています。
雪に閉ざされた長い冬が終わって、芽吹いてきたところでの事件なだけに、悲劇的です。


ちょっと前、2012年4月13日のTBSの「ひとり農業」の「自然な人」の
番組で、ナマのこんにゃくをちょこっと食べて、悶絶して吐き、
病院送りになるシーンを描いていました。
(該当する公式サイトは見当たらない。
 http://tbs-blog.com/urakinsma/18516/

まぁ、バラエティ番組ですから、冷静すぎるカメラワークから
過度な「演出」がうかがえますけど、サトイモ科のこんにゃくが毒なのは
確かです。
厚労省のリストでは近隣の種としてテンナンショウ類が載っています。
「ひとり農業」さんは、これと同じシュウ酸カルシウムによる中毒だったのでしょう。

公益財団法人 日本中毒情報センターのWebサイトにも
「中毒情報データベース」というのがあり、そこにシュウ酸塩による中毒の解説が書いてあります。
http://www.j-poison-ic.or.jp/tebiki.nsf/SchHyodai/E72A88B17ECABDDC492567DE002B89B8/$FILE/M70120.pdf




天然や自然やナマが絶対的に悪いわけではありません。
ちょっとくらい食べるのは別にかまいません。
しかし、過度に天然やナマを絶賛するのも問題です。
ナマだけ、野菜だけ、といった片寄りは避けないといけません。

せっかく人類の英知の結晶である品種改良された野菜や果物があり、
考え抜かれた調理法があって、
それらに適応して進化してきたわけですから、
それに逆らわずに生きていく方が自然だといえます。

生食主義者、ローフード万歳な人たち、
ナチュラル・ハイ・ジーンな人たちは
自然の摂理も大切だと説きます。
もし、本当に自然の摂理なるものがあって、
それを実践するのが大切なのなら、
進化の結果生まれた生物としてのヒトの観点から見れば、
加熱食こそそれに該当するはずです。


そう、ナマ食やローフードは「自然の摂理」に反します

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