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zoom RSS 遺伝子組換え作物を嫌う人にどう説明するか 付:「遺伝子組換え」の記述のある本の感想

<<   作成日時 : 2010/06/27 02:25   >>

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遺伝子組換え食品について、
反対している人にどう説明したらいいのかというコメントを
いただきました。
ある講演では、「説得」という表現まで出てきましたので、
それに対する私の考え方をまとめておきます。

匿名でしたので、その返事をこのブログに書きます。
今までに書いてきたことの繰り返しですけど、
組換え本の感想を書くとも言っていましたので、
その感想を絡めながら書いてみます。
画像





そもそも、遺伝子組換え技術を使って作られた品種の話ですから、
基本的には科学の話ですし、技術の話です。
実際に存在する技術を使って、実際に存在する品種の話です。

好き嫌いや主義主張などは脇に置いて、
純粋に科学と技術を話題にするしかありません。

はやりの言葉で言えば、安心・安全のうち
安心は横に置いといて、いわゆる「安全」の話をすればいいわけです。

遺伝子組換えを「遺伝子」と「組換え」にわけ、
「遺伝子」を「科学」の話題で、
「組換え」を「技術」の話題で説明することになります。


結論から言えば、キーになるのは、

「ゲノム」になじむ、あるいは理解する。
従来の方法と比較検討する。

この二点だけです。




科学方面からは、
ゲノムに遺伝子を組み込む」というというのが、何を意味しているかの
知る必要があります。
それさえわかれば、後は常識の範囲でなんとかなります。
逆に言うと、「遺伝子」と「ゲノム」という言葉を
きちんと区別して理解していなければ、正しくとらえることは難しい。


少なくとも、あまり聞き慣れない「ゲノム」を理解した瞬間、
ぱっと展望が開けるはずですので、
とりあえず、「ゲノム」がわかっていないのであれば、
「ゲノム」って言葉があることを紹介し、
「ゲノム」を意識して調べたりたりしてもらうことで、
「ゲノム」になじんでもらうのが一番だと思います。


もう一つ、技術方面で言えば、
遺伝子組換え技術は
数ある品種改良法の一つに過ぎないわけですから、
従来からある他の方法と比較するという視点を持つことが重要です。

遺伝子組換え技術に反対している人の意見を見ると、
遺伝子組換え技術だけを問題視している場合が多い。
少し引いて、他の技術、普通に何気なく食べている作物が
どのようにして作られているかを調べ、
それと比較検討する、
ただそれだけの視点を導入するだけで、
多くの問題点や利点や疑問点が氷解していくはずです。


また、相手がどんな人かにもよるでしょう。

1.ただ単に嫌いだからダメ、嫌なものは嫌、と、単に感情的に
  嫌っている場合

2.一見科学的に見えて、実はニセ科学、疑似科学、エセ科学を
  信じ切っている場合

3.陰謀論に染まっている場合

4.よく分からないので、なんとなく不安がある


いろんな人がいます。
結論から言えば、1から3は、無視するしかない。
説明する価値があるのは4の場合だけでしょう。


タバコを例にあげれば、
絶対に吸い続けるんだという人にやめるように「説得」するのは
ムダですし、
吸ってはいけない環境(場所や年齢など)にもかかわらず、
聞く耳を持たないような人も同様でしょう。
「禁煙教育」が意味をなすのは、
未だ喫煙経験のない人に喫煙の害を説く場合だけです。
これと同じことです。


1.は、どうしようもありません。
このような人をそれこそ「説得」するのは無理でしょう。
ムダなエネルギーを使う必要なないでしょう。

2.はクセ者ですけど、信仰の域に達している人が結構いますので、
そうであれば、転ぶことはほとんどあり得ないでしょうから、
どだい「説得」など無理ですので、ムダなエネルギーを使って
説明する必要はないでしょう。

3.は、実は結構おもしろい。
それなりに楽しんでいる場合が多いでしょうから、そっとしてあげましょう。


結局、4.のような人が相手になるわけで、
まだ「ゲノム」を知らないのであれば、
「ゲノム」っていう概念もあるよと示唆し、興味を持ってもらう、
一つの技術だけにこだわるのではなく、比較検討するという、
きわめて基本的な考え方を提案する、
当たり前のようなことですけど、
それだけで一定の効果は上がると思います。




せっかくですので、
3.のおもしろい例を紹介します。

超知ライブラリー053 イングドール著、為清勝彦訳
マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配
 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編
徳間書店
\1,680
2010年04月30日初刷




超知ライブラリーの一つです。
今月54冊目が出ていますが、これはその一つ前の53冊目です。
徳間書店のこの手のシリーズは大変おもしろいので、
旧超知シリーズ(1995年03月創刊)42冊全冊、
現超知シリーズ(2004年07月創刊)全冊の初版本を揃え、
楽しませてもらってます。
同じ徳間書店から五次元文庫というシリーズも出ていて、
こちらは2007年11月創刊で、毎月発刊され、現在82冊です。
当然初版本です。
旧超知シリーズと平行して、角川書店から
ボーダーランド文庫というのも出ていて、
こちらは1997年06月創刊で、わずか27冊出たところで、
終わってしまいました。
古典的な名著も含まれていて、この業界を知るには
といっても、知ったところで、どおってことはないのですけど、
手っ取り早く知ることができます。
こちらも、リアルタイムで買っていましたから、全て初版本。

○蔵書リスト
 http://www2.biglobe.ne.jp/~ashida/kurekousen/books.xls

で、この陰謀本ですけど、帯によると、

ロックフェラーはGMO(遺伝子組み換え作物)で世界を陥落させると決めた!

念のため、組換え本です。

参考:
○テーマ「くみかえの法則」のブログ記事
 http://yoshibero.at.webry.info/theme/a34edcc9ad.html


人類にいかに毒を食べさせるか、
あるいは飢えさせるか−−
その全決定権がすでにロックフェラーの
手にあることを告げる衝撃の書


ということで、怖い話です。

ヒトラー優生学からトンデモ理論まで何でもあり。
とにかく、よくぞここまで集めた、という話題の宝庫です。
与太や偽情報だけでなく、ホントの話も混じっていますので、
恐怖感が倍増します。
もう、スーパーで買い物などできなくなります。
それでも生きていくしかない。
陰謀にはまらないようにするには、
家畜として生きるか、野生として生きるしかない
という優れものです。

超知ライブラリーや五次元文庫は、
ホントの話とニセモノを見抜くのに、大変よいテキストです。
最近テレビで見かけなくなった脱税王の脳科学者も
五次元文庫に2冊書いておられます。




2.のような人ははホントにどうしようもありません。
大学の先生にも、この手の人がいます。

現実に市販されている遺伝子組換え作物があって、
それがどのような方法で作られているかという事実は、
純粋に科学的な事柄のハズですが、
これをわざわざ捩じ曲げてしまう人たちがいるからタチが悪い。

学生にレポートを書かせると、
遺伝子組換え技術とは○○ではなくて、××である。
という同じような内容の解答が半分以上という例を経験しました。
実は、完璧に間違っていて、
遺伝子組換え技術とは××ではなくて、○○である。
というのが正しい。
主義主張だの、好き嫌いだのといったことではなく、
現実に存在する作物の作り方の話ですから、
そこにイデオロギーの入り込む余地はないはずです。
なのに、このざまですから、結構病理は深い。

きちんと科学的な教育をしないといけない現場でもこれですから、
ポピュラーサイエンス、市民運動、マスコミなどの分野で、
この程度の間違いが起こるのは仕方がないのかもしれません。

そんな中で、次の本は非常に参考になります。
組換えがメインテーマではありませんけど、
食の安全一般について、目からウロコの話題も含め、
ホントにタメになります。

松永和紀著 地球と人間の環境を考える11
食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない
日本評論社
\1,680
2010年04月30日第1版第1刷




ホントの話の見抜き方がよく分かる良書です。
地産地消は環境に優しいのか?
農薬は悪なのか?
有機農業は善なのか?

p193にあるように、中学・高校の教員に科学的知識が乏しいという
内閣府のアンケート結果の引用が示すように、
教育現場で科学教育が崩壊しているわけですから、
一般の人の科学的認識不足があるのはある意味仕方がない。

それでも、4.のような人で意欲のあるのなら、
このような本が一番役に立つはずです。

p194に書いてあるように、
日本で遺伝子組換え作物の栽培が広まらない理由に説得力がある。
このあたりだけでも、読む価値あり。

ちなみに「遺伝子組換え」本です。




次の本は、一見まともそうに見えますけど、ちょっと危ない本。

長神風二著
予定不調和
DIS+COVERサイエンス
\1,260
2010年04月15日第1刷

予定不調和 (DIS+COVERサイエンス)
ディスカヴァー・トゥエンティワン
長神 風二

ユーザレビュー:
これは、科学者以外の ...
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これからどんなことが起こりえるか、フィクションを語り、
それについておあれこれ論じています。

いろんな科学や技術の未来を予測するとき、
ある一つだけの予測を強調すると、その予測がいびつになってしまう。
それで、「予定不調和」。

遺伝子ドーピング、体細胞クローン、デザイナーベビー、などなど、
最先端の話題を取り上げ、フィクションを交えて
「予定不調和」を検証しています。

その一つに「遺伝子組み換え」があります。

そう、この本は「遺伝子組換え本」です。

アレルギーを問題視しています。
アレルギーだけで「遺伝子組み換え」に反対する人がいますけど、
この本でも、ちょっと誤解があるような気がします。

ある程度あり得るフィクションを持ってきて、
「予定不調和」なら意味があるでしょうが、
まず、どう考えてもあり得ない話を持ってきて、予定不調和と言われても、
どうしようもない。
なんでこんなテーマを選んだのだろう?


また、フィクションに小麦の遺伝子組換え品種が登場します。

現実に遺伝子組換え小麦がないのは、いろいろ理由があるでしょう。

多倍数体で開発しにくいというだけでなく、
やっぱり欧米人にとっての主食の遺伝子組換えはあり得ないのでは?

トウモロコシやダイズは、基本的には家畜のエサです。
欧米人にとっては、人が食べるものではないという認識でしょう。
(実際に食べているけど、意識には上らない)

ポーラン著、ラッセル秀子訳
雑食動物のジレンマ 上下 ある4つの食事の自然史
東洋経済新報社
\1,890
2009年11月05日発

雑食動物のジレンマ 上──ある4つの食事の自然史
東洋経済新報社
マイケル・ポーラン

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すべての消費者に読ん ...
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だから、遺伝子組換えだろうが何だろうが、関係ないから容認できる。
ところが、主食となると話が違います。
そんなところが、小麦の遺伝組換え品種がない理由でしょう。

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