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zoom RSS 代替医療のトリック 感染症は実在しない

<<   作成日時 : 2010/02/11 13:11   >>

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「代替医療のトリック」(新潮社2010年01月30日刊)
自分の新刊書キーワード検索には引っかからなかったのですが、
よく行く大型本屋さんの医療一般の棚で見つけました。
サイモン・シンの本だし、
目次を見ると鍼、ホメオパシー、カイロプラスティック、ハーブ療法
なんて書いてありますから、即決、購入しました。


代替医療のトリック
新潮社
サイモン シン

ユーザレビュー:
これを読んだら、もう ...
科学は科学にとどまら ...
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目次の前に、
チャールズ皇太子に捧ぐ
と書いてあります。
ってことは、絶対読まなくては。。。

このお方、トンデモ好きらしく、
遺伝子組換え技術やクローン技術にも積極的に発言しておられ、
これらの技術に反対する論理が非常におもしろく、
試験問題のネタにも使わせて頂きました。
もちろん、間違い探しの問題として。

あのチャールズ皇太子が言うんだからと、
このお方の発言を妄信する人がいたりと、
おもしろい話題を提供して下さっています。

代替医療に対する態度や発言は知らなかったのですけど、
この本にいろいろ出てきます。




成熟した文明の宿命なのか、
アヤシイ代替医療(補完代替医療)の話題が尽きません。

この本はサイモン・シンともう一人の共著で、
そのもう一人の著者は
代替医療を含む医療に長年携わってきた医療界内部の人間
(はじめにp13)だそうで、
代替医療の分野では世界初の大学教授となり、研究グループを率いて、どの治療には効果があり、どの治療には効果がないのかを明らかにするため十五年の歳月を冷やしてきた

サイモン・シンの巧みな文章と、読みやすい翻訳で、
飽きさせず、ぐんぐん読み進むことができる良書です。

本書の根幹は
科学的根拠にもとづく医療」でエビデンスともいわれるものです。
p53
得られるかぎりもっとも確かな根拠にもとづいて
最善の治療法を選ぶ


という単純な考えです。
単純ではありますけど、これがなかなか難しい。


この考え方を理解するため、第1章では瀉血を例にあげ、
丁寧に解説してあります。
この章だけでも購入する価値あり。
科学的根拠というのは、
どういう考え方でどういう臨床試験をやれば判断できるのか、
この章を読むだけで、身につくという優れものです。


第2章からは具体的な「代替医療」の検証です。
第1章で学んだ武器を利用し、バッサリ切っていきます。


ホメオパシー
カイロプラスティック
ハーブ療法


最後の章はまとめで、これも読み応えがあります。

付録があって、これが案外おもしろい。
本文では4つの代替医療が主に取り上げられたのですけど、
見開き2ページで32項目の代替医療が
おおむね否定的に解説されています。
取り上げて欲しかった項目がいくつか抜けていますけど、
熟考した上で、短い文で濃縮されているため、
わかりやすい。


新聞の全面広告を見ると、
「天然」「植物性」「アルカリ」「伝統的」「ホリスティック」
だのといったコピーが踊っています。
これらの言葉にダマされないようにするためにも、
「科学的根拠にもとづく医療」という考え方を理解するのは
重要なことです。



プラセボ効果はあるけれども、それしかない
といった代替医療が沢山登場します。
そう判定した方法論の一つとして、
二重盲検法というのがあります。

鍼やホメオパシーには、
なにやら期待していた効果が出る場合があります。
それがプラセボ効果なのかそれ以上なのか、
判定することが難しいことが多い。
代替医療の推進者たちは、効果があるんだからいいじゃないか
ということで、たとえプラセボであってもいいと納得したり、
プラセボではなくちゃんと効果があるんだと主張したりします。

これを検証するためには、
きちんとデザインされた臨床試験が必要になります。
ふつう、代替医療推進者たちがこんな面倒な試験をしません。
積極的に宣伝するだけです。

で、きちんと検証する人たちもいるわけで、
論文になるような臨床試験の結果にもピンからキリまであるわけで、
これらを整理し、検証し、まとめてくれています。

単に二重盲検法であればいいとか
くじ引き試験であればいいというものでもありません。

こういった考え方はニセ医療なのかホンモノなのか
判定するのに役に立ちます。




同じ考え方は通常医療でも使われます。
新薬の臨床試験という名の人体実験です。

「感染症は実在しない」というおもしろい本があります。
構造構成主義を活用した病気論です。
構造構成主義について説明がありませんけど、
知らなくても読めます。


感染症は実在しない―構造構成的感染症学
北大路書房
岩田 健太郎

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モノコト論で、病気はコトだからモノとして実在しない。
病気と健康の境界もない。
治療が効いた、効かないというのもマボロシで、
もともと実在しないのだから、その境界もないと。

感染症は実在しない現象であり、構造構成主義的に認知される構造にすぎない」p3

感染症に限らずすべての病気に応用可能であるとしています。
病気は「モノ」ではない。「コト」だ、ということです。
非常にわかりやすい本です。

「心頭滅却すれば火も亦た涼し」といった精神論ではありません。
禅問答のような、わかったような、わからないような、
はぐらかしでもありません。


病気を「モノ」として実在すると考えると、
病気を持っている人と病気を持っていない人に二分されるわけですが、
著者はそうじゃないという考え。


あらゆる診断法にもメスを入れ、
恣意的に決められたに過ぎない診断法により
病気が診断できるわけでもなく
感染症における病原体の考え方にも鋭く切り捨てておられます。

最近のメタボでの迷走ぶりなどは好例ですね。

病気は実在しないのだから、そもそも病気を断定するのも良くないし、
病気だからと言って治療しないといけないと決めつけるのも良くないと。


この考えから新しい医療の考え方を提唱しておられます。
考え方は確かに斬新です。
しかし、それを言っちゃあおしまいよ、という気もします。

この本は病気に焦点を当てていますけど、
病気に限らず、
生物と非生物の境界や生と死の境界もありません。
モノとして物質があったとしても、
生命活動はモノによって醸し出されるコトとしての機能ですから、
つまり「生」や「死」は「モノ」ではありませんし、
生と死の境界もありません。
生物と非生物の定義もありませんし、はっきりした境界もありません。


ということで、
デジタル式な考え方への警鐘とも受け取れます。
デジタル・アナログ論では論じていませんけど。

数学的思考が大切だという学校教育にも問題があるかもしれません。
答えが必ずあると思ったり、
○×式にどんな問題も解決すると思ったり。

○×式ではなくグレーゾーンがあるというのも
なかなか受け入れがたい。
ほとんどすべての科学理論は仮説にすぎない、
という考えとも通じるものがあるでしょう。

モノの存在については、哲学的には大問題だそうで、
古くから喧々諤々と騒がしいわけですけど、
この本では、そんな哲学的な究極の議論は横に置いて、
とりあえず、「モノ」は実在するとして議論しています。
これは賢明な考えでしょう。
哲学的存在論をやってしまうと、キリがありません。

病気が「モノ」なら、「ある」か「ない」かしかない。
とすると、境界もはっきりしていないといけません。
しかし、実際の病気では、境界がはっきりすることはまれです。
感染症なら、感染源であるウイルスやバクテリアが検出されれば
病気だと単純に考えがちですけど、
実際にはそう単純ではありません。

結核の例で著者かかなり詳しく論じています。
結核菌が検出されれば結核だと診断できる、
というほど単純ではありません。
症状によっては結核菌がなくても潜伏結核と診断されますし、
結核菌を持っていても、
ある日突然、活動性結核を発症するわけではありません。


その立場に立てばおもしろい考えが浮かんでくるんでしょうけど、
実際の医療の現場で役に立つ考えかどうかはわかりません。




それはともかくとして、
やっとサイモン・シンの本とリンクするわけですけど、
この本には臨床試験に対しておもしろい意見が書いてあります。

くじ引き試験は「微妙な問題」についてしか役に立たないからなのです」(p146)

効くのか効かないのかよくわからないとき、
一目瞭然の効果が見られないとき、
くじ引き試験が役に立つと。
というか、そんな例でしか役に立たないと。
同じ臨床試験でも、
大規模試験の結果だから信頼できると考えがちですが、
そうではなく、
大規模試験をしないと効果が見えてこないほど
微妙な効果しかないときに使われると。

効果がはっきりしている場合、なにもこんなめんどくさい
お金がかかる試験は必要ないわけで、
効果が微妙な場合に限り、くじ引き試験が必要になるわけで、
偽薬と試験薬で比較するということが必要になる。
偽薬でも効果がありそうなことを試験薬で証明するために
大規模二重盲検法が使われる、というわけです。


高血圧の薬、糖尿病の薬、コレステロールを下げる薬、うつ病の薬、これらはすべて「効果があるかどうか一目瞭然でない、微妙薬」なのです」(p147)

きちんとデザインされた大規模臨床試験により、
「科学的根拠にもとづく医療」というのが判定できます。
「代替医療のトリック」で数多くの民間診療、代替医療は
プラセボ効果以上でないと判定されました。

同じ考え方で、西洋医療の新薬も開発されるわけですけど、
劇的に効く効果のはっきりしている薬はともかくとして、
効果が微妙な薬に対して、
代替医療で現れる「効果」以上の効果が
はっきりと期待できるかどうかは、実際の所微妙です。

その分野の専門家でないと実際には判定できないわけですし、
裏金や利権でこっそり認可されたモノもあるでしょうし、
そういった例は判定しようがない。

明らかなニセ医療、一目瞭然の効果がある医療・薬、
ならいいのですが、
効果が微妙な代替医療、効果が微妙な認可薬
というのが厄介なわけです。

この本は、一見効果がありそうであったり、
先進国であっても半数の国民が頼っていたりと、
そういう微妙な治療法が取り上げられているわけで、
これらの物語を読むことで、
通常の一般には信頼されている医療にも目を向けさせるという
そんな本です。



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『補完代替医療』推進活動
2014/05/02 18:40

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