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zoom RSS 健康食品 コラーゲンを食べることに効果はあるのか

<<   作成日時 : 2009/07/09 01:54   >>

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コラーゲン入りの食品をしつこく紹介し、
コラーゲン入り食品を食べることのおかしさもしつこく書いています。
さらにしつこいですが、ここでは、
コラーゲンの種類やその合成過程を見ることで、
そのおかしさを実感することにします。

コラーゲンの種類は多い。
I型、II型というように、数字をつけて表します。
20種類以上見つかっています。

いろいろあるとはいっても、I、II、III型の3種で、全コラーゲンの
9割近くを占めるとされています。
このI、II、III型とV型が繊維状のコラーゲンです。
残りは繊維状でないコラーゲンで、
小繊維結合型、シート形成、アンカー、
膜貫通型、
宿主防御
など、いろんなタイプのコラーゲンがあります。
中でもメジャーなのがIV型で、すべての基底膜に存在します。

繊維状コラーゲンのうち、
I型コラーゲンを例に生合成過程を簡単に見てみましょう。
画像


I型コラーゲンはα1が2分子とα2が1分子の三本らせんです。
ということは、α1とα2の遺伝子が関与します。

分泌型のタンパク質ですから、粗面小胞体上で合成され、
小胞体の中に入ります。

合成されたタンパク質の両末端には非三本らせん領域があります。
そのうち、C末端側、つまり、合成の終わりのほうに
糖鎖が結合するなど翻訳後修飾が起こり、三本が束になります。
さらにプロリンのヒドロキシル化などの多くの修飾が起こり、
他のタンパク質の助けも借りながら三本らせんができます。

らせんを巻いたコラーゲン前駆体がゴルジ体に入り、
いくつかの分子が寄り添い、
細胞外へ分泌されます。
その後、両端の非三本らせん領域が切り離され、
小繊維の集合体になります。
小繊維が規則正しく配置され、
繊維間の架橋反応が起こるなどして、
ようやくコラーゲン線維ができあがります。

このように、遺伝子の遺伝情報に従ってまず前駆体が合成され、
自身だけでは繊維状になることができないので、
多くのタンパク質(酵素など)の助けを借りて、
さらに小胞体、ゴルジ体という装置の助けを借りて、
ようやくコラーゲン線維ができあがります。

最初のタンパク質合成の過程は
他のタンパク質合成と基本的には同じで、
コラーゲンだけ特殊というわけではありません。
一つ一つのアミノ酸がtRNAによって運ばれてきて、
一つ一つのアミノ酸をくっつけながら合成されます。

このように、コラーゲン分子の前駆体は細胞の中で合成され、
細胞の中であれこれ修飾を受け、
細胞の外へ出てもあれこれ修飾をうけ、
それらが適当に起こっているわけではなく、
ある決まりに則って、規則正しい構造物ができあがります。

作ったら作りっぱなしというわけではなく、
いらなくなったら、速やかに分解され、
分解物も再利用されたり排泄されたりします。

この辺のアウトラインは少なくとも30年近く前からわかっていました。
というのも、そのころ藤本大三郎先生の授業で聞いたからです。




このような合成過程に、
食べたトリやらサカナやらウシやらのコラーゲンが
直接入る余地はありません。

食べる前から変性してゼラチン化していたり、
ペプチドに分解されていたりしますから、
本来のコラーゲンの構造は失われていますから、
繊維状になるというコラーゲンの性質も失われています。
万が一、食べたコラーゲンがこの合成現場にやってきても
完成品のコラーゲンの補充役になることもありません。


唯一コラーゲンを食べることに効果がありそうなのは、
コラーゲンやその分解物が、コラーゲン合成を高めるかも
という考えです。
そう主張する論文があるのは確かですが、
コラーゲンに特異なのか、
血液中の濃度が本当に上がるのか、
人体で実際に起こりえるのかなど、
いろんな欠点がありすぎます。
そもそも、線維芽細胞の増殖が活発になっただけとか。


そもそも、この発想は
禿げた人が髪の毛を食べると毛がフサフサになるかも
と考えるのと同じで、ナンセンスです。
参考
○健康食品 ヒアルロン酸を食べることに効果はあるのか その4
 http://yoshibero.at.webry.info/200907/article_8.html

禿げた人がフサフサになるのを期待して
人の髪の毛を食べる人はいないでしょう(たぶん)。
食べた髪の毛が直接自分の髪の毛になるのは無理としても、
髪の毛を食べる行為が自分の髪の毛が生えてくるの
を促進すると期待するのはどうでしょう。

コラーゲンを食べたらコラーゲン合成が高まる、
ヒアルロン酸を食べたらヒアルロン酸合成が高まる、
と信じて、実験をしている方がいらっしゃるのは確かです。

たぶんこの方々は、髪の毛を食べると
毛生えが促進され、フサフサになると信じているのでしょう。




コラーゲンとしてメインであるI型やII型のコラーゲンは
それぞれ単独で存在するわけではなく、
他の非繊維状コラーゲンやグリコサミノグリカン、
プロテオグリカンなどと相互作用しながら立体的な構造を作り
機能しています。
参考
○健康食品 ヒアルロン酸を食べることに効果はあるのか その4
 http://yoshibero.at.webry.info/200907/article_8.html

画像


さらに、どの組織でも同じ構造をとるわけではなく、
場所によってマクロな形を変えています。

図はその一例で、
I型コラーゲンでは、非繊維状の小繊維であるIV型コラーゲンや
プロテオグリカンとの相互作用を、
II型コラーゲンでは、非繊維状であるIX型コラーゲンや
グリコサミノグリカン等との相互作用を示してあります。

それぞれ合理的な機能を発揮しています。

。。。

上皮細胞の基盤となる層を基底膜といいます。
すべての基底膜にはIV型コラーゲンが存在します。
画像


IV型コラーゲンは二次元状のシートを形成し、
その中にはラミニンなどの接着タンパク質などがあり、
多くのタンパク質の助けを借りて網目構造の形成されます。




これらの構造物は適当に作られているわけではなく、
また作られたらそれっきりというわけでもなく、
つねに適切な合成と分解・再構築などが
多くのタンパク質などの働きによって行われています。

必要なときにしかるべき遺伝子が発現し
必要なタンパク質を合成し、
そのタンパク質自身(コラーゲンなど)や
タンパク質の働き(酵素やシャペロンなど)によって、
細胞自身が必要な構造物を作ったり破壊したりしています。

このような、合成や構造の構築や破壊などに、
食べたサカナやらトリやらウシやらの軟骨などの抽出物が
直接入り込む余地はありません。

むしろ、入ってきたら大変です。
精巧に構築された合成・破壊システムが乱されてしまいます。

食べるという行為は不定期です。
この不定期な現象に頼るわけにはいきませんし、
不定期にやってくる物質に影響を受けるようでは、
まともな恒常性が保てるとは考えられません。


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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして!アトピーがありましてコラーゲンを取れと人に言われ、「そんなもの効くわけがない、効かないことを実証するために取ってあげよう」とタンカをきって1日10gずつゼラチンを摂取したところ。効いてしまいました^^;。(もともとかなり疑って取り始めたので、プラセボじゃないように思います)
コラーゲンにはヒドロキシプロリンという「メイン20種」に入らないアミノ酸が含まれていますが、これが合成の律速になっているという可能性はないものでしょうか??

2010/07/04 12:19
どうもコメントありがとうございます。
残念ながら、意味がよく分かりません。
少なくとも「プラセボ」の使い方は間違っています。
ゼラチンを摂ることと「(ヒドロキシプロリン)が合成の律速」の意味が分かりません。
少なくとも、コラーゲン合成におけるプロリンのヒドロキシル化と摂取したゼラチンに含まれるヒドロキシプロリンとを関連づけるのは無理があると思います。
yoshi
2010/07/04 13:34
ふむ。
>コラーゲン合成におけるプロリンのヒドロキシル化と摂取したゼラチンに含まれるヒドロキシプロリンとを関連づけるのは無理があると思います。
やはりシロウト考えには無理があったようですね。じゃあ、どうして効いたんだろう……。そうのうち誰かが答えを教えてくれるまで、まったり待つことにします。
ありがとうございました。

2010/07/05 23:32
東京大学石井直方教授の著書「究極のトレーニング」P43に共同研究者中里日体大准教授がコラーゲン食を摂取すると肌でのコラーゲン合成を高めるとの報告をしていると述べています。
これは事実とは異なるとのことでしょうか?
よろしくお願いいたします。
しん
2010/11/07 17:48
「肌でのコラーゲン合成を高めるとの報告をしている」と書くと人で試したように見えますけど、これ、特殊なマウスでの実験ですよね。しかも、「コラーゲン合成が高まる傾向がある」です。この違いは大きい。「統計的に十分にものがいえるデータではありませんが」とも断っていますよ。なぜかは不明とも書いておられます。この本では論文があればきちんと引用して説明いるのに、この話にはその引用がありませんから、単にこの共同研究者が言っているだけ、というレベルでしょう。言うだけなら誰でも何でもいえます。もちろん、肩書きも関係ありませんね。この本の後、どんな結果が出ているのか知りませんけど。少なくとも、この時点では。運動するだけでコラーゲン合成が何倍にも上昇するという結果が出るマウスを使っていますから、コントロールの取り方が難しいと思います。この辺にデータが安定しない原因があるのではないでしょうか?

ついでに書くと、「コラーゲンサプリメントは効果があるのではないかと想像」する考えとして、免疫系と食物摂取との関連という意味不明な話と、コラーゲン合成の材料の供給に栄養物としてのコラーゲンが役立ちそうという単純な話も書いておられますよ。
yoshi
2010/11/10 00:35

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