やさしいバイオテクノロジー

アクセスカウンタ

zoom RSS クローンや遺伝子組換えは嫌われ者 NHK高校講座と週刊金曜日

<<   作成日時 : 2009/05/19 03:14   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

NHK高校講座がおもしろい。
その中で、「理科総合A・B」を取り上げます。
放送日を待たなくても、2008年度の内容であれば、
「ライブラリー放送」がWebでも公開されていますので、
1年分の授業をいつでもみることができます。
講師陣の中に渡辺 正先生が入っていて、
(ニセ科学に興味のある人ならご存じのはず)
なかなか意欲的なプログラムです。
「第39回 環境のことを考えよう」
NHKもやるじゃない。




と喜んだのですが、残念ながらぬか喜びでした。
今回取り上げるのは、その残念な「と」の話です。

「第22回 遺伝子の世界」

遺伝子組換え農作物に関する話題が取り上げられています。
ちょっと気になることがあります。


農薬に強いという性質を持つ土壌菌
ダイズの遺伝子と入れかえる


ある生物の遺伝子を別の生物の遺伝子と入れかえるのを
遺伝子組換えという


入れかえる?
この回では、遺伝子組換え技術を一貫して
入れかえる
で説明しています。
つまり、上の説明のように
元々あった遺伝子を除いて、そこに別の遺伝子を入れる、
つまり、ダイズの遺伝子を取りのぞいて、
土壌菌の遺伝子を組みこむ、
これで「入れかえ」
という感じです。

プラスミドのようなベクターの説明ならそれでいいのですが、
ダイズのような植物で同じように説明するのは、
ちょっとマズイのでは。

高校生がヘンに誤解しないか心配です。



遺伝子組換えカーネーションの説明

生徒役が説明します。


遺伝子の進歩は大変すばらしいですね

生徒役が感想を述べます。


必ずしもそうとは言い切れない
生物は地球上で40億年ぐらい生きてきて
競ってきて生きてきた

この先どうなるかというのは誰も分かっていない


先生の解説です。

そりゃ、あたりまえです。
未来が予知できたら、それこそ大変です。

それより、自然選択と遺伝子組換えを対比して
問題点を指摘しようとしているのでしょうが、
ちょっと、この議論は強引すぎます。



遺伝子組換え食品
他の植物に与える影響、自然に与える影響をこれから研究していかなければならない


いえいえ、十分研究・検証されていますよ。



クローンを聞いたことがあると思うんですが、
クローン技術で人間のコピーを作ることもできる時代が来ている
倫理的に大きな問題だ


突然、クローンの話題に変わります。
で、これだけの説明で「倫理的に大きな問題」と言われても、
なんでぇ〜?と思うだけですね。
いや、それ以上に「倫理的な大問題」がわかったつもりになるのも
大問題!



クローン
遺伝子が全く同じ生物のことをいう


やはり遺伝子組換え農作物を説明した後に出てくる話題として、
クローンを遺伝子で説明するのは誤解の元でしょう。



遺伝子の進歩は光と影の二面性がある

私たちはしっかり考えていくことが大切


まぁ、確かにしっかり考えていくことが大切なのはわかるのですが、
どう考えればいいかの材料は残念ながら示されていません。
高校生にいきなり考えろと言っても無理でしょう。

短い授業時間にいろいろ詰め込むので、時間が無いのわかるのですが、
もう少し説明があってもよい。
中途半端で終わらすのなら「倫理」など言わない方がいいのでは。

実際、人のクローンを含め
クローンを作ることに対して生命倫理学は全く無力で、
「倫理的に問題だ」と言うことに、まっとうな根拠をあげて
解説することに成功していません。

著名な生命倫理学者が取り組んでいますけど、
誰も成功していません。

いわんや、家畜をや。

もし可能なのだとしたら、この高校の先生に教えて欲しい。




週刊金曜日 5月15日号
「クローン牛なんて食べたくない」
8ページの特集記事です。

その前に、新型インフルエンザの記事が6ページ載っています。
例によって、政府を批判したいだけの記事です。

週刊金曜日の記述を取り上げても仕方がないのですが、
一応、クローンつながりと言うことで、、、


体細胞クローン動物をいろいろ批判する人がいます。

欠けているのは、
すべての家畜動物がクローン動物化するわけではないこと。
クローン動物にすればメリットがある場合だけクローン技術を使うわけで、
全部が全部一斉にクローンに変わるわけではありません。


「動物でのクローン技術とは、同じ遺伝子を持った動物をコピーして大量に生み出す技術だ」

先の高校講座並みですね。
こちらは「大量に」と言ってあおっています。

別のところでも「無数にクローンを作ることが可能」とあおっています。
無数、大量、といったって、通常の妊娠・出産は経ないといけません。
こうやってあおると、全く人工的にクローン動物が
コロコロ生まれてくるように勘違いしてしまいます。


細胞の中にある、遺伝子が入った核を、あらかじめ核を取り除いた別の未受精卵の中に入れて

相変わらず、核移植の説明が間違っています。
別の人の記事も、全く同じミスを犯しています。
ただし、岩波書店の本から引用されている図はあっています。
こちらはきちんと体細胞や胚と除核卵を細胞融合により作る絵が
載っています。


体細胞クローンは、受精というプロセスを経ないで新たな生命を誕生させようとする技術だ。哺乳類動物の場合、自然界では起きることはない。技術の不自然さという点では決定的な違いがある

核移植を経る受精卵クローンは容認しているのだろうか?
すでに出回っていますし、多くの人が食べていますから、
これは容認しているわけですよね?

で、体細胞クローンとの違いですが、
引用されている絵を見ればわかるように、
技術的にはどちらも核移植を経るという点でほとんど同じです。
この人は「技術の不自然さという点では決定的な違いがある
と言っていますが、
何か勘違いしているのでしょう。


食品安全委員会の評価書では、体細胞クローン技術は、人工授精や体外受精、受精卵クローンなどの従来の繁殖技術の延長線上にできた技術だと位置づけている

なにも問題ないと思うのですけど。
これが問題らしい。
どう問題なのかは、結局サッパリわかりません。

このあと、科学的らしい記述が続くのですが、
食品安全委員会の主張を覆すだけの根拠は一切提示されていません。

言う事欠いて、
体細胞クローンは野蛮な科学
と逃げてしまいます。

さらに、
わかっている範囲で普通の肉と同等だから食べても大丈夫という意見と、そんな不確かなものは食べたくないという意見と、どちらが科学的なのだろうか

で結んでいます。

著者は、後者が科学的と言いたいんでしょう。
でも、それは科学的とは言い難いです。単なる感情ですよね。
前者のほうが、よほど科学的だと思うんですが、、、
というか、科学とはそういうもんでしょうし、それ以上は期待できません。
科学で安全のお墨付きは無理です。


別の記事でも、技術的な問題点を指摘するのは無理なので、
感情に訴えています。
(別の人は「生命に対する冒涜」と表現してます)

食べ物は動植物のいのちをいただくものであり、健康な家畜を育てることが大切であると考えるからだ

人工的に効率性だけを追求し、不自然な家畜を創るべきではない。ましてそれが、安全性が証明されているとはいえないものならなおさらである

ということは、体細胞クローン家畜以外は不自然な家畜ではないの?
人工的に効率性だけを追求していない?
ホントかなぁ?

体細胞クローン家畜以外は安全性が証明されているの?
ホントかなぁ?

ウソ言っちゃいけませんよ。


また、別の人は、テロメアを問題視しています。
体細胞クローン技術で寿命が短くなる云々が
本当かどうかはともかくとして、
仮に寿命が短くなるとして、どんなデメリットがあるのだろう?

問題にしているのは人間が食べる家畜の場合の筈です。
ペットや労働力としての動物ではありません。
もともと人間が食べるために育て殺す動物です。
その動物の寿命が若干短くなるのにどのような問題があるのでしょうか?

食品安全委員会が
通常の繁殖技術で誕生した家畜と「健全性で同等」』

というのが気に入らないらしい。

そもそも遺伝的に同じ生命体を作る技術であるから、同等でなければならない。それをあえて同等といわざるをえないのは、同等でないからではないか

これはちょっと勘ぐりすぎです。
そこまで食品安全委員会を嫌わなくてもいいのに。

遺伝的に同等であれば全く同じ個体が生まれてくるわけではありません。
この人が奇形などの異常を心配していますけど、
奇形は一般には遺伝的な要因ではなく、
受精から誕生までの環境要因によるものです。
つまり、遺伝的に同じであったとしても、
環境要因によっては奇形になることがあります。
生まれてきたのが奇形でないなどの同等性を議論しているだけです。

画像


テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

関連リンク集

クローンや遺伝子組換えは嫌われ者 NHK高校講座と週刊金曜日 やさしいバイオテクノロジー/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる