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zoom RSS 「科学的に考える」ことと「ゲノムの理解」の必要性。BSE問題は「ウソ」で解決?

<<   作成日時 : 2008/08/29 03:48   >>

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食の安全・安心 イントロ
「科学的に考える」「ゲノムの理解」とは
情報公開不足ってホント?
「安心」はなぜ必要?どうしたら「安心」が得られる?
「安心」問題は「ウソ」で解決?
BSE問題は「ウソ」で解決?
「ウソ」の実態は?
「ウソ」の実態は「お金」
BSE全頭検査の弊害
「ウソ」をいつまでやるのか

食の安全・安心 イントロ
食の安全・安心が声高に叫ばれ、しかし、なかなか解決しないという問題がいろいろあります。
遺伝子組換え食品の問題、BSEの問題はその最たるものかもしれません。
エライセンセイですら、「疑似科学入門」(岩波文庫)の中で誤解しておられるわけですから、一般の方ならなおさら解決するのは難しいでしょう。

「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その1 遺伝子組換え
 http://yoshibero.at.webry.info/200805/article_3.html
「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その2 BSE
 http://yoshibero.at.webry.info/200805/article_4.html
「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その3 その後
 http://yoshibero.at.webry.info/200805/article_6.html

一般には「科学的に考えるとはどういうことなのか」を理解し、
さらにGMOやBSEの問題なのであれば、「ゲノムの理解」を深めるしかないと思います。
そのことを、このエントリーでは説明しようと思います。


「科学的に考える」「ゲノムの理解」とは
「安全・安心」と束で言われることがよくありますが、「安全」と「安心」は分けないとワケわからないことになります。

遺伝子組換え食品GMOやBSEの問題で言うなら、
「安全」は「科学の問題」で、「科学的な考え方」と「ゲノムの理解」があれば、「安全」の問題は解決するはずだと考えています。
「安心」の問題も、「安全」の問題がクリアされていれば、自動的に解決するはず。

安全の問題をクリアするのには、科学とはどういうものなのか、科学的に考えるとはどうすることなのか、その理解がないと始まりません。
科学は限定的に条件付きで説明するしかないこと、万能ではなく、絶対もない。
これらをまず理解しないと始まりません。

GMOやBSEの「安全性」の問題であれば、それプラス、ゲノムの理解、遺伝子やタンパク質の理解がないと、それ以上すすまないでしょう。

「安心」は不安から来るはずです。
不安が無くなれば、不安が解消しなければ、「安心」は得られないはずです。
その不安をなくすためには、「安全」を科学的に理解するしかないはずです。

「科学的な考え方」については、先のエントリーで具体的に取り上げていますので、そちらをご覧ください。

 「中四国農政局シンポジウムのその後」
  http://yoshibero.at.webry.info/200808/article_3.html


情報公開不足ってホント?
情報公開が大切だ、というのはよく聞きます。
しかし、GMOでもBSEの問題でも、食品安全委員会を始め莫大な量の情報が公開されています。
それでも公開が必要だという要求があるのなら、それは情報の質の問題でしょう。

レビューされていないとか、レベルがまちまちだとか、あるいは真偽の定かでない情報まで混じっているとか。どの情報を選択して良いのかわからないとか。
そういった発信側の問題も確かにあります。

それ以上に問題なのは、受け手側にあると思います。
どんな情報が公開されても、受け手側にその情報を理解する力がないのなら、その情報は「無い」のと同じですから、やはり情報公開不足だとの結論になってしまいます。


「科学的な考え方」、「ゲノムの理解」がクリアさえすれば、「安全」の問題も「情報公開不足」の問題もないはずですが、現実にはなかなかそうはいきません。


「安心」はなぜ必要?どうしたら「安心」が得られる?
GMOやBSEの問題で、「安全」問題はすでに解決しています。終わった話です。
どのように解決しているかは、「科学的な考え方」と「ゲノムの理解」があれば理解できます。

逆に言うと、「科学的な考え方」と「ゲノムの理解」がなければ、「安全」の問題を理解するのは難しいでしょうから、せっかく解決している問題であっても、そのような人にとっては未解決のままでしょう。
しかし、そのような人にとっても、「安心」を得たいというのが最終的な要求の場合が多いでしょうが、その「安心」を得たいために難関の「安全」の理解にチャレンジするなど普通はしないでしょう。

そもそも、「安全」の問題が解決しているのであれば、「安心」は何ら問題にならないわけですから、「安心」が問題になっているというのは、「安全」が解決していないからです。

「安全」を理解するのを放棄して、ひたすら御神託を待つのでは、おそらくいつまでたっても本来の意味での「安心」は得られないでしょう。


このように、「安全」の問題を棚に上げて一足飛びに「安心」を得るのは普通難しいでしょう。
しかし、方法がないわけではありません。

それは、「ウソ」にだまされることです。

ウソも方便というくらいですから、「ウソ」によって「安心」を得てもらいましょう、という考え方もありえます。


「安心」問題は「ウソ」で解決?
もしかすると、GMOの問題で、なかなか「安心」が得られないのは、その有効な「ウソ」がまだ発見されていないからかもしれません。

   あまり「ウソ」「ウソ」というのはよくないかもしれません。
   「トリック」の方が良いかもしれませんが、
   あえて「ウソ」にしておきます。

よい「ウソ」があればそれでごまかす。それで安心を得る。
本来なら「安全の理解」によって正攻法で責める方法があるにもかかわらず、それがうまくいかないからといって「安心」を得る目的に「ウソ」を使う。

それで良いのかという問題です。


それも有効かもしれませんが、やはり誰もウソはつきたくないはずです。
貧乏くじを引く役をやりたがらないはずです。
有効な「ウソ」が見つかればいいといっても、その「ウソ」がばれたとき、あるいは騙そうとしたという意図が見つかったとき、そのマイナスのほうがまた大きいでしょう。
ここで言っている「ウソ」というのは、本来言う必要のない「ウソ」です。

もともと、「安全」の問題を正攻法できちんと説明し、理解が得られれば、それで解決する問題なわけですから、「ウソ」は必要ないわけで、でも、その方法がうまくいかないから「ウソ」でごまかそうという話になります。


BSE問題は「ウソ」で解決?
もしかすると、BSEの問題は、この「ウソ」で一応沈静化しているのかもしれません。

BSEに対しても、同じように科学的な考え方とゲノムの理解があれば、「安全」という立場からすれば、その問題はすでに解決しています。
きちんと「科学」と「ゲノム」の考え方が理解できているのなら、もうそれで終わりという単純な問題のはずです。

ところが、現実にはそうなっていません。
「安全」の理解がすすまないので、「安心」が得られていません。

今でもそうなわけですから、BSE問題が表面化した当時はもっと混乱していました。

そこで、そのときは、「安心」をとりあえず一足先に得ようとしてしまったわけです。
「安全」を説明して理解してもらうためには時間がかかりますから、早急に解決するために安易な方法をとってしまいました。

政治的決断で「安心」を得るための、「ウソ」が考えられ、それが実行され、いまだに「ウソ」をつき通しています。

一見して、それはうまく解決したように見えます。
もしかしたら、GMO問題も、初期の頃に同じような「ウソ」が発見できていたら、ここまでずるずると問題を引きずることもなかったかもしれません。

その「ウソ」は今では「ウソ」であるとわかっていますし、食品安全委員会もそれが「ウソ」なんだから、もうやめようよと言っているわけです。
それでもなぜか「ウソ」は地方自治体によって守られ続けています。

その「ウソ」というのは何か。
説明するまでもありませんよね。

「全頭検査」です。


「ウソ」の実態は?
ウソも方言とはよく言ったものです。

全頭検査によって、「安全」が確保されるわけではないことは、科学とは何かがわかっていれば、小学生にでも理解できる程度の科学の理解があれば、単純にわかるはずです。

ところが、「検査をすれば安全ですよ」という「ウソ」に多くの人はまんまと騙されてしまいました。
心の問題なんだからそれで良いんじゃないか、と騙されたふりをしている人もいるかもしれませんけど。


朝日新聞の2008年08月01日付の記事に、『BSE全頭検査継続に「物言い」食品安全委員長』というのがあります。
この8月から厚生労働省が行っていた生後20カ月齢以下の国産牛へのBSE検査のための補助金が打ち切られたわけですが、牛を扱う77の自治体は全て例外なく独自予算でBSE全頭検査が続けられています。

このことは朝日新聞の2008年07月12日付の『BSE検査自治体継続 国補助終了後も独自で』という記事でも報じられています。
それによると、77の自治体すべてが今年度分(8月から3月までの8カ月分)の検査費用を手当てしているそうです。

第一の記事は、食品安全委員長の談話として、きわめて科学的な見解を述べておられることを報じています。
ところが、自治体は検査をやめないわけですから、その談話はそれに対する苦言という形になっています。

第二の記事には、自治体の見解が載っています。

消費者の「安心」のために継続が必要と判断した。
科学的にリスクは小さいとの評価もあるが、消費者の不安がぬぐえていない。
他県がやるのにうちがやめたらどうなるか。格差を生じさせるわけにはいかない。


いずれも、「ウソ」とわかっていながら、「ウソ」を付き通そうという話ですね。
その根拠は「安心」と自己保身。
なさけないなぁ。


「ウソ」の実態は「お金」
検査には莫大なお金がかかります。
第二の記事にはその具体的な金額がのっています。

つまり、「ウソ」の本体は、「お金」です。

「安心」をお金で買ったわけです。

BSE問題を解決するのに、初期の頃に政治的決断で出された「ウソ」はお金であったわけで、いまだにお金で解決しようとしているとも言えます。

ところが、とんでもない話に発展しそうです。
あとの記事によると、

(検査する費用を)県民が負担すべきか議論はある。将来は生産者に負担を求めることも必要では、

うん?
もともと必要のない検査です。
したがって、そのための費用も要らないはずです。

第一の記事にも書いてあるように、国もそんな検査は意味ないよと、はっきり言っています。
国は不必要なお金を使うなと釘を刺しています。
通達も出しています。

でもやりたいと言ったのは自治体です。
その理由が「安心」と自己保身。

自治体のお金ということは、当然税金。
自治体が必要だといっているだけなのに、その税金を使うのが嫌なので生産者に負担を強いる?
変では?
「安心」を得たいという人がどのくらいいるのか知りませんが、その「安心」を得たい人だけが費用負担すれば良いだけの話では?

それはともかくとして、GMOも同様の有効なお金の解決があればよかったのでしょうが、誰も思いつけなく、未だに思いつけないため、解決しないとも言えるでしょう。

もちろん、皮肉を込めての話ですけど。


BSE全頭検査の弊害
BSEの全頭検査の場合、じっさい、全頭検査をしてもしなくても、リスクに変化がないことは多くの調査でわかっています。
食品安全委員会も膨大な調査結果を公表しています。
20カ月齢以下に限らなくとも、全く検査をしなくても、BSEのリスクが増大するわけではないことが公表されています。

この全頭検査をやり続けることのまずい点は、単に無駄なお金がかかるというだけでなく、貴重な人材面でも無駄をしている点です。

全国77の自治体すべてで年間約120万頭の牛の検査を毎年毎年やっているわけです。
検査はロボットがしてくれるわけではなく、人間がやっています。
検査官は誰でも良いわけではありません。
全国の優秀な検査官が、無駄な検査のためにかり出され、単に検査費用を浪費するだけでなく、検査官の技能まで浪費しているわけです。

この検査をなくせば、その分、他の検査ができるわけですから、もっと優先順位が高いのに人手やお金が無くてできなかった検査ができるようになるはずです。

そういう経済的な面だけでなく、人材という貴重な財産も浪費するという、非常に無駄な検査態勢が継続されています。


「ウソ」をいつまでやるのか
国が20ヶ月齢以下の牛の検査に対する補助を打ち切りました。
これは当然です。
全く無駄なのがわかっているわけですし、そもそも「ウソ」であったわけで、その「ウソ」をきちんと科学的に検証して公表もされているわけですから、当然の政策でしょう。

ところが、地方は消費者の「安心」が得られないという理由だけで、独自に検査を継続していて、あろうことか、補助の継続まで国に要求しています。

すでに「ウソ」が公衆の面前にさらされたわけですから、普通ならそれで納得するはずなのでしょうが、なぜかこの「ウソ」は「ウソ」のまま継続してしまっています。

それはこの「ウソ」がかなり強力かつ有効だったため、本来「ウソ」をつかなくても、もともと「安全」の方面から、つまり科学とゲノムから責めていけば解決するはずだった問題ですから、その努力を怠ってしまいました。

その努力が無くてもいいくらい「ウソ」が有効かつ強力だったわけです。
したがって、「ウソ」がばれて、必要なくなったとしても、おいそれと簡単に引き下げるわけにはいかないのでしょう。

「ウソ」であることがばれた根拠はもちろん「安全」側の話で、つまり科学とゲノムからわかったわけです。

7年もの歳月がありながら、一部の政治家による「世界一の検査態勢」というホラ話を信じてしまい、「ウソ」を検証することを怠ってしまいました。

一般の人に科学とゲノムの理解を得ることを怠ったため、「ウソ」が理解してもらえないという事態も当然のことなのかもしれません。

かくして、この「ウソ」はまだまだ有効であり続けることでしょう。



やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
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芦田 嘉之

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>政治的決断で「安心」を得るための、「ウソ」が考えられ、それが実行され、いまだに「ウソ」をつき通しています。

BSEは、科学的結論ではなく政治的結論よるそうですね。学者が、「OK」を結論付けてしまえば、「ウソ」も「ホント」になる。

重要な視点と思いました。
タニ
2008/08/30 22:32
コメントありがとうございました。
科学的に下された「リスク」をどう理解するかという「科学的な考え方」の啓蒙が一番重要なことかもしれません。
yoshi
2008/08/31 00:16

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