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zoom RSS 構造と機能 モノとコト4 物質の「機能」ってどこにある?

<<   作成日時 : 2008/06/22 04:15   >>

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脳は構造を持つ物質でモノだ。
心や意識は脳の機能でコトだ。
そう言ってしまうと簡単なような気がします。
でも、奥は深いはずですし、いきなり脳という複雑な組織を考えるのは大変です。
ちょっとこれを別の観点から見ていきます。
普段扱っているタンパク質で考えてみます。


タンパク質の構造と機能

何気なくよく使う言葉ですが、「構造と機能」というのは意外と奥深い意味があることに気がつきます。

タンパク質はアミノ酸がペプチド結合によってつながってできたモノです。
タンパク質の種類があるというのは、そのアミノ酸のつながるつながり方の違いからです。
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類です。
この20種類のアミノ酸がどんな順番でどんな長さにまでつながっているのかというのがアミノ酸配列です。
これがタンパク質の一次構造です。

このタンパク質の一次構造が決まれば、タンパク質の部分的な特徴ある構造、つまり二次構造が決まります。
それらが立体的に折りたたまれば、それが三次構造となります。
タンパク質の立体構造である三次構造は一次構造によってある程度決まります。
実際には、合成されるはなから別のタンパク質などの助けを借りてある特有の形に折りたたまれます。
(ここで、できあがった構造に正しいとか間違ったという価値観はない。ついついシャペロンによって正しい構造に折りたたまれると言いたくなる)
アミノ酸の種類を決めている部分の化学的な性質の立体的な配置により、タンパク質の機能が決まります。


ここでなぜこんな話を長々としたかというと、タンパク質という物質があり、その立体的な構造がある。
その構造はある程度一次構造によって決まります。
その構造はそのタンパク質をとりだし、さまざまな機器分析によって実際の立体構造を予想し再構築することができます。
コンピュータ上に絵として表すこともできます。
つまり、構造はモノとして取り出すことができ、きちんと観測できます。


タンパク質の機能はその構造によって決まります、とよく言います。


では、あるタンパク質の機能はどこにあるのでしょう。

例えば、DNAの加水分解を触媒する機能があるとします。
DNaseのことです。
そのDNAの加水分解を触媒する機能は、DNAの溶液を作り、DNAが分解されるとその変化が定量的に追いかけることができる方法や分析機器があれば、測定することができます。
実際には分解するとDNAの構成成分の塩基と呼ばれる部分がむき出しになりますので、その塩基は260 nmの吸光度で測定できますので、分光光度計という特殊な機器で260 nm の吸光度という値を追いかけるだけで、DNAの加水分解能を触媒する力を定量的に測定することができます。
その方法を使うことにより、このタンパク質の機能があるかどうかわかり、あるのならどの程度の強さなのかも調べることはできます。

しかし、機能を調べることができるとは言っても、それは間接的に調べただけで、DNAの加水分解の触媒する能力を取り出して見せろと言われても、その機能はモノではありませんから、機能そのものを取り出して、これが機能だと言って見せることはできません。

なるほど、その触媒にかかわっているアミノ酸は何で、実際にDNAが加水分解されるときに、どのアミノ酸がどのようにかかわり、電子の流れがどうのこうのと説明することはできます。
現象を説明するのに構成成分である分子を細かく見て、こんな風に働いているのだろうなという推定はできます。

しかし、その現象が説明できるとは言っても、依然として、機能そのものを取り出せと言われてもその機能という実体を取り出してみせることはできません。

(だからこそ、科学というのは説明することであり、それ以上のことはできません)


この話を脳と心に当てはめればわかりやすいのではないでしょうか。

脳を構成する物質は確かにあります。
脳細胞同士がどのようにつながっているか、細かく見ていけばある程度わかります。
細胞のつながりだけでなく、細胞内の物質の配置もある程度観測でき、予想できます。

脳の働きとして、その脳を構成する物質のレベルである程度説明することもできます。
記憶はどのようなメカニズムで起こるのか、痛みはどのような物質がどこで作用するから感じるのか、ある程度説明することができます。
ちょうどタンパク質のアミノ酸の配置やその化学的な性質によって、機能が語られるように。

しかし、どんなにがんばっても、その脳から醸し出されたと思われる心をとりだして見せることはできません。


心は脳の作用だというのなら、脳を分解すれば脳は取り出せるはずだ、だのに、脳は取り出せない、なら、心はどこにあるのか、心など実態はないのでは、といった言い方をする人がいます。

でも、その言い方には論理的におかしいことが、上の考察からわかりそうです。

そもそもコトであってモノでない心をモノとして取り出すことはできません。

あるタンパク質という物質には、その構造と機能が備わっています。
ある脳という物質には、その物質と心が備わっています。


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