やさしいバイオテクノロジー

アクセスカウンタ

zoom RSS 「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その3 その後

<<   作成日時 : 2008/05/20 03:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

「疑似科学入門」の書評もどきを書くと、ちょこっと反響がありました。
「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その1 遺伝子組換え
「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その2 BSE

一番おもしろかったのは、この本で疑似科学に入門(弟子入り)できるね、ってヤツ。
そこまで考えていませんでした。
確かに、この本は「そっち」へ行く手引きになります。
疑似科学入門を書こうと思えば、そっちへ行ってからそっちの考え方を書かなければいけなかったんですね。
忘れていました。

「予防措置原則」
便利な言葉だなぁ。
これを錦の御旗にすれば、なんでもありで、怖いものなしです。

次のようなストーリーが考え出されています。

BSE問題で、異常プリオンが原因ではないかも知れない。
BSEの原因は何もわかっていない。
何もわかっていないんだから、対策のとりようがないはず。
原因がよくわかっていないのにリスク評価ができるというのはおかしい。
なので、BSEの安全性を評価している機関の言うことは信用ならない。

「遺伝子組換え」も同様。

だから、予防措置原則を発動して、ちょっと待とう。


一見、慎重な態度にも見えますが、これでは単に不安を煽っているだけですね。

だから、どうすればいいのか具体的な提言がありません。
たぶん具体的な提言をするとマズイからでしょう。


では、具体的な提言をするとどうなるでしょう。
たとえば、「牛を食べるのをやめましょう」という提言をするとどうなるでしょうか。

このような提言をされる方は博愛主義者ですから、日本だけの問題ではありません。
日本人だけ助かればいいとか言った狭い心の持ち主ではありません。
アフリカの人びとに対して先進国が食糧援助するとき、(先進国の人びとが食べている食糧であっても)その食糧の安全性に気に掛けるようなか尊いお方です。
全世界の人びとに提言は行き渡らなければなりません。


暴走はいけないといさめておられますが、でも、中途半端な根拠で否定し、予防措置原則を発動させ、それでいて何も具体的に提言されていなければ、やっぱり妄想したくなります。


では、そっちへ行ってきます。
ウソだけは極力省いて書くとすると、、、


BSEの原因物質がどこに潜んでいるかわかりません。
異常プリオン説なんか信用できないわけですから、危うきものには近寄らずで、牛そのものを食べるのをやめましょう。

公的機関が出しているリスク評価は信用できません。
まっとうな機関が出したリスクでは、日本でBSE検査をしないですべての牛が出回ったとしても、今後10数年間で日本で死者が出るのは0.9人程度という結果を信用してはいけません。
異常プリオンがたまるとされている特定危険部位を取りのぞけば、その人数は減り、0.02人程度になるといわれています。
でも、こんな数字も信用してはいけません。
1年間当たりに直せば、BSEにより千年に一人の割合で死亡者が出るという数字も信用してはいけません。

たとえ、信用できる数字としても、リスクはわずかとは言っても、ゼロではありません。
この「ゼロでない」というのが重要なのです。
100%の安全が保証されていないのです。
BSEで誰か死ぬ可能性がゼロではないのです。
可能性は低くても、誰か死ぬかも知れないのです。
このように、あきらかにリスクがわかっているのですから、無策でいいはずがありません。

いやそれ以前に、リスク評価に人が死ぬ数で表すことはけしからんことです。
死ぬ人の数が少ないからリスクが小さく、死ぬ人の数が多いとリスクが大きくて対策を練らねばならん、といった議論は非人道的で、あってはならない議論です。

BSEにかんしては、今、目の前に確実にリスクはあるのです。
何人死ぬかも、といった議論ではないのです。
(と例の福岡伸一氏はわしズムでよしりんと一緒に主張しておられます)
(「中央公論」6月号でもおもしろい提言をしておられます)

どんなことがあってもそのリスクはゼロにしないといけないのです。

そのための一番いい対策は牛を食べるのをやめることです。


感染経路がわからないわけですから、牛由来で人間が利用するものですべて、つまり、牛肉だけでなく、牛乳にも感染源が潜んでいる可能性は否定できません。
ですから、ミルクを使って作られるチーズなどのあらゆる乳製品も危険ですので食べてはいけません。

牛由来の食品をすべて食べるのをやめれば、BSEのリスクは消滅します。
めでたし、めでたし、ではありませんか!


さらに、遺伝子組換え問題もあります。
牛は危険と思われる遺伝子組換えトウモロコシをたんまり食べています。
このような危険な牛から作った肉やミルクが安全であるはずがありません。

公的な機関は、実質的同等性と言ったわけのわからない原則を持ち出し、安全性が保証できるとしています。
そんな戯れ言、信用してはいけません。

遺伝子組換え穀物を全く食べていない牛というのは残念ながら存在しません。
遺伝子組換え穀物が一粒も含まれていない飼料を作ることは事実上不可能だからです。
実際、北海道で栽培されているトウモロコシに遺伝子組換え品種が(意図せざる混入で)見つかっています。
種は輸入ですので、種を100%きっちりと分別することは不可能ですから、国産であれば100%非遺伝子組換えという保証は実は言えないのです。

遺伝子組換え飼料は使っていませんと書いてある牛肉や牛乳でも、牛が遺伝子組換え飼料を全く食べていないという保証はないのです。

ですから、たとえ国産といえども、遺伝子組換え飼料の問題は払拭できませんから、リスクはゼロにはなりません。
どの程度かわかりませんが、必ずリスクはあります。


このようなことから、たとえ千年に一人死ぬか死なないかといったリスクであっても、次のような事態が発生しても、なんとしてでも牛を食べるのをやめないといけません。

牛を食べるのをやめれば、牛で生計を立てている人は失業します。
まず、牛を飼育している酪農家の方々。
肉牛も乳牛も必要なくなりますので、皆さん即失業です。
肉牛、乳牛たちもみんな死んでもらう必要があります。
餌に穀物などを使うのは無駄ですからね。

 あっ、いいことがありますね。
 牛が食べていた穀物を人間様用に回すことができます。
 牛肉1 kg作るのにトウモロコシ11 kg必要だそうです。
 余った穀物を食糧援助に回すことができますので、飢えが解消できそうですね。

失業するのは酪農家だけではありません。

牛の屠殺場が必要なくなります。
牛肉や牛乳を使った加工工場が必要なくなります。
これらの業界の人たちの仕事がなくなり、従業員は失業します。

牛肉の専門販売店の人たちが失業します。
牛乳の宅配業界が全滅します。
牛乳配達で学費を稼いでいた苦学生が路頭に迷います。


でも、そんなの関係ぇねぇ。


重要なのはBSEによって、あるいは遺伝子組換え飼料によって、千年に一人の割合で死亡者が出るかも知れないことです。
この千年に一人の割合で死ぬかも知れない人を保護することが一番重要なのです。

わずかのリスクであっても、食べるものに間違いがあってはいけません。

予防措置原則を発動させ、そのリスクをなくさないといけません。

その予防措置原則のため、酪農家や牛肉や牛乳メーカや販売店がつぶれたり失業したり路頭に迷ってもそれは知りません。
それぞれ勝手に何とか対処方法を考えてください。
 これらは目に見える問題です。
 目に見える問題なのですから、対処方法があるはずです。
 目に見える問題なので、不安が小さいはずです。

重要なのはあくまでも千年に一人の割合で死ぬ人が出るかも知れないことです。
 こちらは目に見える恐怖ではありません。
 目に見えぬ恐怖ですから、こちらの方が不安が大きいはずです。
 だから、偉い人がよく吟味し、きちんと対処しないといけません。


疑似科学入門 (岩波新書 新赤版 1131)
疑似科学入門 (岩波新書)

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
[ニセ科学]池内了『疑似科学入門』が懐疑論者ホイホイな件について
懐疑論者なら、何かを言わずにはいられなくなるのではないだろうか? この本は疑似科学への入門書ではなく、疑似科学のことを知らない人へ免疫をつける事を狙った本。帯は「ニセ科学のわなに落ちないために」であって、書名よりむしろこっちの方が意図を的確に表している。 ...続きを見る
Skepticism is beauti...
2008/05/21 17:15

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

関連リンク集

「疑似科学入門」(岩波新書)はニセ科学? その3 その後  やさしいバイオテクノロジー/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる