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zoom RSS 自然信仰、天然信仰の考え方を学ぶ2 「ウソが9割健康TV」を読む

<<   作成日時 : 2007/06/17 04:12   >>

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三好基晴著「ウソが9割 健康TV その健康食信じてはいけません!」(リヨン社・2007年刊)
例のねつ造事件で打ち切りになった、いわゆる「あるある」などのテレビで放映されている健康番組のウソを暴いた本です。
本書の主題の部分もおもしろいのですが、なんといっても、今回引用する本の著者は「買ってはいけない」の執筆陣のひとりです。
したがって、その手の内容についていろいろ検討してみようと思います。

著者は、自然を愛し、人工的に手を加えることに、ことさら警告を発する自然信仰の篤い方です。
天然信仰の篤い人にとって、天然物は無条件に安全であり、天然の作る過程は無条件に正しいらしい。

以下、引用文は青色にしました。

引用した箇所は、すべて、昨年度の授業の一番最後の時間(今年の2月)に行ったレポートの課題に使わせていただきました。ありがとうございます。
優秀なレポートがたくさんありました。
以下の内容は、私個人の感想です。生徒たちのレポート内容とは関係ありません。


「ウソが9割健康TV」pp113-114
 アミノ酸飲料に使われているアミノ酸はどのようにつくられているかを調べてみましょう。アミノ酸の製造方法には抽出法や酵素法などがありますが、最近では発酵法でつくられているアミノ酸が多いようです。

わかりにくいですが、抽出法というのは、天然自然の素材から必要な成分だけを選り分け抽出することで、抽出された成分は天然由来と言うことになります。いちおう、その過程で、危険な薬剤は使わず、訳のわからない反応は起こっていないことになっています。
いっぽう、発酵法というのは、微生物を使って人工的に培養し、その培養過程、つまり発酵している間にできた成分を抽出してくるという方法のことです。


 発酵法とは、特殊な細菌に糖質などの原料を食べさせ、アミノ酸などの目的とする物質をつくらせる方法です。ここで問題なのは突然変異法を用いた遺伝子操作菌を使っていることがあるため、目的とする物質以外にどんな有害物質を生成しているかわからないことです。

でましたね。不純物説。遺伝子操作を嫌うときに必ず出てくる論法ですね。
遺伝子操作菌を使っているから有害物質が生成しているかもしれないという論法はちょっと変ですね。
この論だと、遺伝子操作菌を使わなければ、つまり、著者がいう天然の菌を使えば、有害な不純物を生じないことになります。
この論そのものが変ですが、それ以前に、なぜこんな変な論になったかというと、だいたい想像できます。
例の「トリプトファン事件」です。
たぶん、この事件がこの著者の頭から離れないのでしょう。

「トリプトファン事件」にかんしては、
トリプトファン事件はまだ有効なのでしょうか
を参照してください。


 また、発酵法に使われている細菌は遺伝子操作の問題だけではなく、菌を培養する培養液にも不安があります。人工培養するための培養液に人工的な栄養剤が使われていることがあるのです。

さらに、培養法そのものに、いちゃもんつけています。
人工培養する培養液にはどうやら危険な物が使われているらしい。
培養して作られている多くの医薬品はどうなのでしょう。
この論法だと、遺伝子を組み換えて作った微生物を人工培養して作られたインスリンやインターフェロンや抗体などほとんどの医薬品は危険物質と言うことになってしまいます。

で、培養法にどんな危険が潜んでいるのか。具体的に次のところで述べておられます。


「ウソが9割健康TV」pp179-180
 まず、細菌に紫外線を照射するなどをして突然変異を起こさせ、グルタミン酸をたくさんつくる能力を持った突然変異菌のグルタミン酸生成菌を人工的につくり出します。そのグルタミン酸生成菌に、原材料として廃糖蜜などの糖質をエサとして与え、グルタミン酸をつくらせます。そして、その細菌がつくったグルタミン酸を細菌の外へ排出しやすくするため、ビタミン剤の一種であるビオチンを減らして培養したり、ペニシリンなどの抗生物質や界面活性剤を用いたりします。培養液には栄養剤やビタミン剤やミネラル剤などを使います。

ごく一般的な培養法ですが、これがダメなんだそうです。そうだとすると、やっぱり多くの医薬品はアウトですね。


 このように、薬剤をつくるのと基本的にはほとんど同じ方法でグルタミン酸ナトリウムなどの化学調味料がつくられているのですから、化学調味料は薬剤といえます。そして、身体にとっては有害な異物なのです。

化学調味料が薬剤であってなぜ悪いんでしょうか?
ここで言う薬剤というのは、おそらく医薬品としての意味ではなく、農薬や添加物のような薬品として、つまり、一般の人が危険だと思いこんでいる物質のことを指しているのだと思います。

それ以前に、どうやら著者は、薬剤と呼んでいる有害な異物であるグルタミン酸と天然の食材由来のグルタミン酸とは異なる効能があると信じておられるようです。
新谷説と同じように、やっぱり来歴が違うと、その物質に含まれる情報が異なり、人に対する影響も異なるんでしょう。


「ウソが9割健康TV」pp140-142
 天然菌と人工培養菌との違いを比べてみましょう。
 天然菌には多種多様な菌が含まれていますが、人工培養菌は単一菌がほとんどです。


天然菌を使う時って、一切培養はしないのでしょうか。
その時々に天然菌を調達するのって、すごく大変そうな気がしますが。


 天然酵母は、干しぶどうや小麦などに生息している天然酵母を自然界で起こる発酵と同じように再現し、天然発酵したものです。これに対してイーストは、干しブドウなどに生息している酵母菌の中で、特定の一つの酵母を単一分離し、人工培養しています。自然界ではおこりにくい現象です。

自然界で起こりにくいと決めつけていますが、本当でしょうか。
それはともかく、はじめから、自然界で起こりにくいのは悪、自然界で起こっているのは善、という二分法があるので、それに沿った考えでしょう。
なんで、自然界で起こりにくいことは悪いことなのかさっぱりわかりません。


 天然酵母には、何種類もの酵母菌の他、いろいろな種類の麹菌や乳酸菌などが生きています。なかには名前がなくてもパンづくりに有効な菌もいます。また、パンづくりに適さない菌が混入した場合、それを排除する菌もいるのです。

著者は、発酵過程での不純物の生成を気にしていたはずです。
単純に考えて、単一菌よりわけもわからない菌がいろいろ混じっている菌を使って発酵する方が、なんだか訳のわからない物質がたくさんできそうで怖い気がするのですが。
でもそう思わないのもはっきりしています。天然信仰があるからです。
天然には人を害する物はない。
天然にいる菌を使えば、決して人間に害のある物は作ったりしない。
だから、天然の菌は安心して使える。

たぶんこんなところでしょう。

天然に悪い菌などいないのであれば、それはそれですばらしい世界です。
でも、残念ながら、我が地球上は、そんな理想郷ではありません。


 一方イーストは、一種類の酵母菌がほとんどで、他の菌はごく僅かしかいません。そのためパンを膨らますことはできても、パン独特のおいしい味や香りを引き出すことはできず、そこで、マーガリンや香料などを使うことがあります。

人工培養菌は、その存在そのものが悪いだけでなく、人工培養菌で作った食品は味や香りも悪くなるそうです。
なんか、単に言いがかりにしか見えませんけど。



「ウソが9割健康TV」pp142-143
 一方、精製塩は塩化ナトリウムがほとんどで、にがりの微量成分が少ないため塩辛いだけで、塩本来のうま味が感じられません。天然菌が自然塩、人工培養菌が精製塩に例えられるでしょう。

とにかく天然信仰です。これあるのみ。


 また、うま味成分の違いを比べてみましょう。かつお節や昆布などで取っただしはグルタミン酸やイノシン酸などのうま味のアミノ酸だけではなく、他の多くの成分が含まれており、それらが絶妙な深い味わいをかもし出しています。

つまり、いっぱい不純物が入っているんだね。それも構造も性質も何にもわかっていないのがたくさん入っているんだよ。
という話ではなく、人に有用な物質だけがたくさん入っているんだよ、という話らしい。
少数成分は、場合によっては有用物質になったり、不純物になったりします。
その基準は、科学的な根拠でなく、好みや、そのときの都合のようです。
虫を害虫と益虫に分けたりするようなものですね。


 一方、化学調味料は、グルタミン酸などの単一のうま味成分ですから、人工的なうま味です。天然菌はかつおや昆布の天然だしに、人工培養菌は化学調味料に例えられるでしょう。

それで?
化学調味料のグルタミン酸がなぜ悪いの?


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