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zoom RSS 「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報6 番外「病気にならない生き方」などを読む1

<<   作成日時 : 2007/06/16 01:12   >>

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酵素栄養学を応用した酵素医療のひとつにミラクル・エンザイム説があります。
この説を紹介した本は大ベストセラーになっています。
著者は臨床医で、この説を実際の医療に応用しておられるそうです。
この説は一連のコラムで、これまでに何回か取り上げています。
また、これも何度も述べていますように、民間医療的な話として、規則正しい生活をしましょう、片寄らない食事をしましょう、睡眠をたっぷりとりましょう、といったレベルの話にはケチをつけるつもりは全くありません。

問題にしたいのは医療の話です。
つまり、新しい考え方であり、通説に真っ向から対立する考え方を持つ酵素栄養学を基礎にした医療のほうです。

ここでは、その新しい医療の考え方の基盤となっている、分子生物的に基礎的な事例が述べられていることにかんして、簡単に検証してみます。

次の一連の引用文(青色のところ)は、新谷弘実著「病気にならない生き方」(サンマーク出版・2005年初版)と「病気にならない生き方2実践編」(サンマーク出版・2007年第3刷)からの引用です。

まず、分子生物学の基本中の基本の本質的なところから見てみましょう。


「病気にならない生き方」 pp6-7
酵素(エンザイム)は生命活動にとって必要不可欠なものである。
生命維持に必要不可欠な酵素は自分の細胞が毎日つくっている。
そう述べた上で次のように語っておられます。

 ところが、そうした多くの種類のエンザイムは必要に応じて体内で生成されるといわれているのですが、細胞の中でどのように生成されているのかということは、じつはまだ明らかになっていません。

このような事実は初めて知りました。
著者は、2冊の本全体で、転写・翻訳システムは無かったことにして説明しておられますので、このような導入文になったのかもしれません。
通説の分子生物学を無かったことにして、その上で著者独自の理論を展開しておられます。


 私がいう「ミラクル・エンザイム」というのは、必要に応じて特定のエンザイムに作り替えられる以前の、どのようなエンザイムにもなれる可能性をもった原型となるエンザイムです。

これはミラクル・エンザイム説の一番の基本的な考え方ですね。
通説はばっさり忘れて、この新しい理論を理解しないと以降の文章はさっぱりわかりません。


 つまり、エンザイムというのは、何千種類のものが、それぞれ決まった数だけ作られるのではなく、原型となるエンザイムが先に作られ、それが必要に応じて作り替えられ、必要な場所で使われているのではないか、と考えたのです。

何千種類ものある酵素エンザイムは、ミラクル・エンザイムが「ヘンシン」してできるといえます。
別のところでも述べられているように、何千種類もの酵素がそれぞれ必要なときに必要なだけつくられるという通説は、効率が悪いという考えで、ばっさり切り捨てられています。

では、基本となるミラクル・エンザイムやそこからつくられるエンザイムは、どのようにして合成されるのでしょうか。
まずは、著者の考えている遺伝子像を検証してみましょう。
転写・翻訳システムは無視するのですが、遺伝子の存在は認めているようです。
しかし、その遺伝子は普通の遺伝子とは違うようです。


「病気にならない生き方2実践編」 pp84-85
 遺伝子のもつ情報は計り知れないほど莫大なのです。
 人間が生きていくうえで必要な情報はすべて遺伝子がもっているといっても過言ではありません。細胞内でエンザイムを生成することができるのも、必要なエンザイムの「作り方」が遺伝子の中に情報として入っているからです。


一見まともに見えますね。
しかし、残念ながら、その後ちょっとおかしな方向へ行ってしまいます。


 DNAは、二重螺旋構造になっており、各塩基は、「AとT」「CとG」という組み合わせで結合しています。この対になっている一組を「塩基対」といいますが、この塩基対の配列こそが遺伝情報、つまり命の設計図なのです。よくヒトの遺伝子は三十億個あるといわれますが、それはこの塩基対が三十億個あるということです。

遺伝子が三十億個、塩基対が三十億個あるそうです。
これは、単なる誤植ですよね。
この後もこの調子で遺伝子の話が延々と続きます。
書き写すだけで頭が痛くなってくるような、恐ろしい話です。


ろにかく、エンザイムなるものが合成されることにかんして、通説の分子生物学ははなから無視されています。
したがって、自身のゲノムの遺伝子から転写・翻訳機構により合成されるということを考える必要がありませんので、ゲノムの遺伝情報が「自分の意志で書き換えが可能」という考えを、何の障害もなくサラリと述べられています。


「病気にならない生き方」 pp145-147
 人間の体質というのは、親からの「遺伝」としてもって生まれたものと、幼いころからの「生活習慣」によって培われるものとの二つによって決まると私は考えています。

この引用部分は太字です。
一見まともな意見のようです。
ところが、著者は、遺伝というのは生活習慣によって変化させることができると考えています。
つまり、自分のゲノムの遺伝情報は、自分の意志により、自分の努力により、望ましいと思う方向に書き換えることができるという考えです。

逆に、自分の意志や考えが悪いと、あるいは努力が足りないと、自分のゲノムの遺伝情報を悪い方向に書き換えられてしまういうことにもなります。
これはちょっと恐ろしい考え方ですね。


 たとえば、親がアルコール分解エンザイムをあまりもっていない人は、やはりアルコール分解エンザイムが少ない人が多いといえます。
 しかし、アルコール分解エンザイムがもともと少ない人でも、少しずつ飲む量を増やしていくと肝臓で使われるエンザイムの量が増えていき、かなりのお酒が飲めるようになります。こうしたことを私たちは「鍛える」という言い方をします。お酒に鍛えられるというわけです。
 同じようにアルコール分解エンザイムの少ない人でも、親が「お酒に鍛えられた」経験の持ち主か否かで子供のお酒に対する意識は変わります。つまり、親が鍛えた結果飲めるようになっていると、自分も鍛えれば飲めるようになると思うし、逆に親が飲まなければ、最初からうちは飲めない家系なんだ、と思うということです。


ここでいう「アルコール分解エンザイム」というのが何を指しているのかよくわかりません。仮に、アルデヒド脱水素酵素2のことだと仮定しましょう。アルデヒド脱水素酵素には多数のサブタイプが見つかっていますので、その中でも、アルコール代謝に一番かかわっている酵素の遺伝子に注目することにしましょう。

著者は、基本的には、ミラクル・エンザイムから体内酵素・ボディエンザイムが作られると考えておられます。
消化酵素や代謝酵素などの働きを持つ体内酵素への「ヘンシン」反応は、必要なときに必要な量だけ起こるとの考えだと思います。
このミラクル・エンザイムからつくられる体内酵素の一種であるアルコール分解エンザイムが、本人の努力や意志によって、多くなったり少なくなったりすると著者は主張しておられるわけです。

本人がアルコールに強くなりたいと思ってどんどん飲めば、鍛えるために必要なエンザイムというのがあって、そのエンザイムの量が増えるそうです。
そればかりか、本人がアルコールに強くなりたいと思えば、その酵素の量が増えるそうで、増えるわけないと思えば変化しないそうです。
エンザイムの量を努力と意志によって変えられるとはそういうことです。

エンザイムの量が増えるということは、その遺伝子が活性化し、転写・翻訳が促進されると一般には解釈できます。
そのコントロールを、著者は、自分の意志と行動で変えることができると主張しているわけです。

お酒の弱い人というのが、アルデヒド脱水素酵素2の野生型と変異型の両方を持つヘテロ接合体の人のことであれば、野生型の遺伝子がより活性化したと解釈できます。
ところが、お酒を飲めないひとは、アルデヒド脱水素酵素2の変異型しか持っていません。
したがって、この理論で「鍛える」ことができ、結果的にお酒が飲めるようになるためには、変異が野生型に変化(1塩基置換)しない限り飲めるようにはなりません。
つまり、著者は、自分の意志や努力で、遺伝子の特定の塩基配列を変異させることも可能だと述べていることになります。

この塩基置換という変異は、ランダムではなく、ゲノムの特定の位置をねらい打ちして望みの塩基に置換するという、かなり高度な変異です。
この難しいことを、単にお酒を飲むという行為だけで達成できるというのですから、これは画期的なことです。


 これは悪い例ですが、じつは同じ方法を利用して、遺伝子をよいものに変えていくことができるのです。

ということで、次の様にガンという病気にかかわる遺伝子であっても、自分の意志や努力で変えることができると主張されています。


 たとえば、ガンになりやすい遺伝子をもって生まれても、親が健康に気を配り、よい生活習慣を身につけて癌を発病せずに天寿を全うすることができれば、子供は「たとえガンになりやすい遺伝子をもっていても、自己努力で防ぐことができる」という意識をもつことができます。

「ガンになりやすい遺伝子」というのが、具体的にどんな遺伝子をさして述べられているのかよくわかりません。
仮にそういう遺伝子があるとの仮定にしましょう。おそらく複数あるはずです。
ここではエンザイムの話をしておられないようですが、おそらく著者らがいうところの複数の体内酵素が、発ガン過程の一部にかかわっていると思われます。

そうすると、ミラクル・エンザイムからエンザイム(体内酵素)にヘンシンするという過程は、先に見たアルコール分解のように、すでに発現していたエンザイムを活性化させるばかりでなく、新たな特定のエンザイムへのヘンシンを自在にコントロールできることになります。
しかも、そのコントロールは、本人の意志や努力によって起こったり、あるいは、本人の努力が足りないことで意に反して起こったりすることになります。
このように、このヘンシン過程は、非常に柔軟性のある過程と思われます。

さらに、単に酵素の量を変化させるだけでなく、ここでは、酵素の性質を変化させることができるようにかかれているため、その酵素を作る遺伝子の塩基配列まで変化させることができるという話になります。


 そうして親から「よい食べ物」「よい食べ方」「よい生活習慣」を受け継ぐと、その次の世代ではガンの遺伝的要素はどんどん弱まっていくと考えてよいでしょう。つまり、よい習慣を継承していくことで、遺伝子をも書き換えていくことができるということです。

自分の意志で自分のゲノムの遺伝情報を書き換えることが可能だというのは、それこそ画期的な考え方です。
ところが、残念ながら、その証拠を示されていませんので、どんな過程が起こるのかさっぱりわかりません。

それだけでもすごいことなのですが、さらに、自分のゲノムを書き換えるだけでなく、その書き換えたゲノムが子孫に伝わると主張されています。
ゲノムの遺伝情報は、本人の意志や努力とは関係なしに、DNA複製のミスや突然変異などにより変化することはあります。ゲノム全体からみればその変化は小さいですが、全く変化しないわけではありません。
しかし、その変化は体細胞で起こっている限り、残念ながら子孫には伝わりません。
子孫に変化が伝わるためには、生殖細胞の中でその変化が起こる必要があります。
ただし、生殖細胞ができるときには、減数分裂という過程で、ゲノム単位で壮大な組換えが起こっています。

著者が言うところの、よい遺伝子が複数あった場合、それらをすべて含む生殖細胞は限られていますし、それが子孫に伝わる可能性は非常に小さくなります。
そのよい遺伝子をもった生殖細胞だけでなく、普通の遺伝子や悪い遺伝子をもった生殖細胞も当然できます。その含まれる組み合わせもまちまちです。
そんななかで、どうやって、よい遺伝子だけをもった生殖細胞を選び取り、それを利用するのでしょうか?それこそ、本人の意志によって、よい遺伝子だけをもった生殖細胞が選ばれるとでも言うのでしょうか。

親が努力した結果が、そのままそっくり子に伝わるほど、遺伝の仕組みは単純ではありません。


 遺伝的要素はもって生まれたものです。でも習慣は、「努力と意思の力」で変えることができるのです。そして、習慣の積み重ねによって遺伝的要素はプラスにもマイナスにも変わっていくのです。自分を救う「よい習慣」は、あなたの次世代をも救うものだということをぜひ覚えておいてください。

この結論は、どういう意味を持つか、もうおわかりですね。



「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報シリーズ
・01 概要と書籍
・02 酵素栄養学とは何か
・03 通説の分子生物学はどのように説明しているのか
・04 基幹となる酵素から一般の酵素の作られ方
・05 番外『長生きの決め手は「酵素」にあった』を読む
・06 番外「病気にならない生き方」などを読む1
・07 番外「病気にならない生き方」などを読む2
・08 番外 22年前の「酵素栄養学」の誕生した頃
・09 番外 32年前の「酵素健康法」
・10 番外 52年前の「酵素療法」

・ミラクル・エンザイム説とコラーゲン 美容と健康はこれでゲットだ
・世の中にはいろんな酵素があります
・食べたタンパク質はどうなるのか 経口摂取した機能性タンパク質の働き方


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