遺伝子組換え作物に対する認識 共通した誤解

自然栽培を実践しておられる方の著書です。
農薬栽培は論外ですが、有機栽培もダメだ、という主張です。
世間一般の常識は間違っていると。
その部分で賛同できることはいくつかあったのですが、
ここでは、主流の話ではなくて申し訳ないのですけど、
遺伝子組換え作物関連の記述にこだわってみます。

ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)
日本経済新聞出版社
河名 秀郎

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最初に断っておきますが、個人攻撃するつもりはなく、
よくある誤解が見られ、比較的新しい本なので、取り上げました。


話の流れからわかると思いますが、

「遺伝子組換え」本です。




せっかく興味深い内容の本を書かれているのに、もったいないなと
思いました。
遺伝子組換えに関する記述にです。


遺伝子組換え作物が単なる好き嫌いの問題で、
嫌いだと主張するのなら、それはそれでかまいません。
嫌いだと宣言する自由はありますから、
単に嫌いだという人にとやかく言うつもりはありません。
問題は、なにがしらの科学的根拠らしきものをあげた上で、
嫌いだとする主張です。

根拠をあげて安全性に問題があるとか、生態系を乱すとか、
それなりの嫌い宣言をするのも、方法としては間違っていません。
ここで問題になるのは、その説明に使った根拠です。
残念ながら、この本を書かれた人は、農水省にたてついた団体や、
農水行政に関わっている与党の議員さんと同様の臭いがします。
おそらく、そっち方面の本を読んだり話を聞いただけなのだと思います。

○遺伝子組換え食品に関する不隠な動き 古い話ですけど
 http://yoshibero.at.webry.info/201009/article_20.html


自分の農法がすばらしいということを主張するのもいいことです。
しかし、別の農法がダメだというのなら、
それなりの根拠は示してほしい。
その根拠が乏しいのなら、問題だと言うことになります。




遺伝子に遺伝子を組み込む

これまでこのブログでさんざん繰り返し書いてきたことなので
うんざりする人も多いでしょうけど、
やっぱり重要なことだと思いますので、繰り返し書きます。

ゲノムと遺伝子は違う

ということです。

また、F1品種やターミネータ技術についても書かれていますが、
これまた某消費者団体並みのことしか書いてありません。


で、どんな内容かといいますと。

遺伝子組換えはダメだ、ターミネータ技術はダメだ、
とおっしゃったあと、なぜダメなのかという説明が続きます。

p106
そもそも遺伝子組み換えとはどんな技術なのか。

なんかワクワクしますね。どんな技術なんだろう?


簡単に説明すると、ほかの生物の遺伝子を抜きとり、それを野菜やお米などに埋め込む技術です。

ここまでは、なんとなく合格ですね。
ところが、もう少し具体的な説明に入ると、
例のゲノムはき違えが出てきます。


たとえば、虫の被害に有効な毒素をもった微生物の遺伝子などを抽出し、それをじゃがいもや大豆などの遺伝子に埋め込みます。

でましたね。遺伝子を遺伝子に埋め込む。

何度も言いますけど、このような認識なら確かに遺伝子組換え技術が
怖いものだと思っても仕方がありません。
私だって怖いと思いますよ。

でも、違います。
遺伝子組換え技術はこんな技術ではありません。
架空の技術を勝手に作り出し、それは危険だからと脅すのは
卑怯な手口でしょう。
実際に遺伝子組換え作物は作られて市販されているわけですから、
その実在する作物を作った技術について検討しませんか?
遺伝子に遺伝子を組み込む、なんていくら言っても、
全く説得力がありませんよ。


遺伝子組み換え作物に注意が必要だと思う、僕なりの理由を話します。

聞きましょう。

もし殺虫毒素の入った植物が花を咲かせ、その花粉が風にのって遠くまで運ばれたら・・・・・・。遠い地域の草花に受粉し、また花を咲かせて花粉が飛び、と繰り返し受粉を重ねていったら植物の世界はどうなってしまうのでしょうか。

どうなると予測されているのか書いてありません。
どうなってしまうのでしょうか」っていわれても、
どうもならないと思いますけど。

そもそも、農作物と野生の草花と交雑することが前提の話のようです。
種の壁は簡単に越えることができるらしい。
よく似たホラー話に、遺伝子組換え作物の遺伝子が飛び出して、
野生の植物に組み込まれるという話もありますから、
その手の話なのかもしれません。


雑種強勢の雑種って?

p104
F1種の製造には「雑種強勢」という自然界の法則が使われます。

自然界の法則」ときましたか。なんだろう?


これは、遺伝的に遠い組み合わせの両親から生まれた雑種は丈夫になるという説です。

おっ、でましたね。こんな「」聞いたことがないですけど、
この業界のある勢力がよく使うトンデモです。


これは自然ではあり得ないことです。

遺伝的に遠い組み合わせ」によるでしょうけど、
たしかにあり得ないですね。


極端な話、山のりんごと畑のほうれんそうから子どもをつくるようなことですから。

冗談を言おうとしているのでしょうか?
本気なんだろうか?
どうやら、
F1種の作り方や雑種強勢の意味をはき違えておられるようです。

それに、
自然には起こりえないことを人工的にやっているからけしからん
という話なんだろうか?


なぜF1種だと、形や色などがそろった作物ができるのか。
高校レベルのメンデルの法則をきちんと勉強する必要性がありますね。
そして、言うまでもないことですが、
本来の意味での種の壁を勉強しましょうね。


正しく知ろう

この著者は、遺伝子組換え作物が増え続けている原因は
消費者のせいだと言っておられます。

p110
知らない、安い、特に危険性を感じない。
そんな消費者がいるから遺伝子組換え作物がのさばっている
と言う論です。

だから、
消費者である僕たちが、知らない、知ろうとしない、そんな無責任な態度をとっていたら、状況をさらに悪化させてしまう。よく言われていることですが、まずは知ることが、そこからどうするかを考える一歩になるのではないでしょうか。

確かにいいことが書いてあります。
しかも謙虚です。「知る」だけで、それが正しいのか間違っているのか
吟味しろとまで書いておられません。

しかし、
遺伝子に遺伝子を埋め込むとか、
りんごとほうれんそうの雑種ができるとか、
農作物と草花が交雑するとか
そんな与太話で善良な(知らない、知ろうとしない?)消費者を
たぶらかすことはヤメにしませんか?
こんな話を書いた上で、知ることが必要だといくら主張されても、
むなしいだけです。




発酵食品の良さを説明するのに
p145
ビタミン、酵素、ホルモン、アミノ酸などなど。
私たちに必要な物質を意図なく、提供してくれるのです。


とありますから、もしかしたら酵素が栄養だという話を
信じておられるのかもしれません。

酵素もタンパク質ですから、タンパク質として栄養素ではありますけど、
機能する酵素として大切だというのなら、ちょっと違うと思います。


なんにせよ、
与党や政府の農政に関わっている議員さん達と同じ認識ではなく、
事実に即して「知る」努力をする必要があるのではないかと感じました。
なにも、専門家レベルの知識を要求しているわけではありません。
少なくとも中学レベルはクリアし、できれば高校レベルを
理解した上で(確かに高校の生物は一般の人にとって難しいでしょう)
書いて欲しいなと思いました。

この記事へのコメント

とうりすがり
2011年02月15日 17:30
しかし現実に除草剤耐性大豆の影響によりマメ科雑草に除草剤耐性がついている現実をどう思われますか? この事例は放送大学でとりあげられていますので間違いではありません
yoshi
2011年02月16日 07:09
どんな「影響」による事例なのでしょう?
除草剤耐性雑草そのものは珍しくありません。
たとえば、
http://www.weedscience.org/In.asp

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