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<<   作成日時 : 2014/04/03 02:01   >>

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久しぶりです。これまでで一番長いブランクだと思う。
過去の書き込みに対していろいろとコメントなどももらっていますが、返事がなくてすみませんでした。
ブランクがあったことに、特に理由はなかったんですが、
ボチボチ本の感想などを書いていきます。

年度が替わるといろんな教科書が出ます。
この膨大な本の中から興味深かった2冊を取り上げます。

まずは北欧のフィンランドの生物教科書から。

フィンランド理科教科書 生物編
化学同人
Mervi Holopainen

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日本で言えば中学校に相当する生物教科書の一部です。
できれば全訳して欲しかったんですが、残念ながら部分訳です。
でも、何となく雰囲気はつかめます。

元の教科書もそうなのかどうかわかりませんが、
フルカラーのおもしろい写真が満載です。

冒頭で、「代謝」の説明に子犬が真っ白な雪面の上で
プリプリしている写真が載っています。
まぁ、確かにわかりやすい。




随分昔ですけど、朝日新聞の社説で、日本の教科書批判がありました。当然のように欧米絶賛付きでした。
○病気と人間 学校でヒトの科学を
(朝日新聞社説 2013年02月03日)

どんな点に絶賛したかというと、海外の生物教科書はヒトの話題が満載だと。
日本でも生物以外の教科でヒトや人の話題が随分取り上げられていますけど、その辺は無視して、理科の教科書だけに特化した批判でした。
朝日新聞らしい典型的な社説。

 日本の理科の教科書には大きな特徴がある。生物としてのヒトはあまり登場しないのだ。たとえば生物の発生はもっぱら、カエルやウニで説明される。
 欧米やアジア諸国の教科書では、ヒトを素材にしてさまざまな現象を説明し、妊娠や出産、がんや感染症など、ヒトをテーマにした内容が豊富だ。その方が子どもたちも興味を持つし、生きるために必要だからだ。

例によって「遺伝子組換え食品」なんてのも出てくる記事ですから、内容もそれなりで、あまり良い出来ではありません。
理科には理科の役割があるわけで、社会や保健体育の内容を教えたいのなら、それぞれの教科で教えればいいだけでしょう。
理科なら「科学的な思考力」を前面に出すべきだし、「世渡り」や「生活」や「悩み相談」ならそれにふさわしい教科で教えればいい。

で、このフィンランド版生物教科書ですが、日本なら保健体育や社会科系あたりが取り上げる話題も一緒に詰め込まれています。

もともとの教科書は5部構成らしく、そのうち2部「進化」と「人体」だけが訳出されています。
フィンランドは北欧の国ですから、世間の評判通りの内容です。

この本からだけではフィンランドで日本の保健体育や社会科系に相当する教科がどの程度の内容なのかわからないのですが、日本の中学理科の生物教科書を超えた内容であることは確かで、興味深い。

前半の「進化」では理論的な話や網羅的な話は極力避けて、「環境」に配慮した比較的考えさせられる内容です。

要所要所で結構込み入った詳しい内容が書いてあります。
「細胞」の項目では、「すべての細胞は幹細胞から生じる」ということで、胚性幹細胞、全能細胞、多能細胞の記述まであります。

「運動」の項目では骨格や骨組織や筋肉に関して、ここまで書くか、と思うくらいの内容で、とても中学生用教科書には見えない。

「消化」では食べたものがどうなるか、楽しい写真入りで解説してあります。
ぜひとも「酵素栄養学」の権威の先生方に読んでもらいたい。
「酵素栄養学」のようなトンデモ話を茶化するときに、
そんなの中学校で習っただろう、と言いますけど、
ここにもちゃんと書いてあります。
中学校の教科書からちゃんと勉強し直してくださいね。
酵素栄養学の巨匠様方。

○テーマ「コラム・酵素」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/a2710f5053.html


血液型や臓器移植に対する制度などが日本とフィンランドで大きく違っていて、そのへんも興味深い。

全体を通じて、人(生物)の生と死を考えさせる内容になっています。
後半の「成熟する性」「責任あるセックス」「ヒトの一生」など、
相当奥深い内容で、大人も読むべき警告等が満載です。

戦前に流行って今でも見え隠れする「優生学」の影が薄い。
フィンランドはスウェーデン、ノルウェー、スイスなどと並んで、1930年代に「断種法」を制定するほど優生学に積極的でした。


章末の「練習問題」が面白い。
スキンケア商品と肌のお手入れ方法についての広告を、雑誌などから探しなさい。その広告には、どのように肌の老化を防ぎ、そしてどのようにして肌を健康に保つと書かれているか? また、肌の老化にはどのような害があるのか、そしてなぜ人は老化を遅らせたいのか、議論しなさい。

これは、あらゆるトンデモ広告や商品に当てはまりますね。

本文の記述も楽しいのですが、章末の「練習問題」は大人が読んでも充分楽しめますし、ためになります。

臓器移植について
もし頭部を丸ごと移植できる可能性があるとしたら、それは許されることだと思うか?



教科書ネタとしてちょっと付け加えるなら、今週からNHKの高校講座で「生物基礎」が始まっています。
新課程になってリニューアルされましたから、今年度の新収録版です。
第1回は生物の特徴です。
今回のフィンランドの教科書でも生物の特徴かは始まっています。
私の「やさしいバイオテクノロジー」も生物の特徴から始めています。

それぞれ切り口が違うんですが、「生物基礎」はわかりにくかった。
「学習しました」「覚えましたが」などと、生徒(進行役)が何度も言うわけですが、なんだかなぁ、日本的な学び方で、ちょっとがっかりした。
「せっかく覚えたのに〜」とか。完全に暗記科目扱い。
進歩してないなぁ。

ついでにいえば、進行役と2人のアシスタントのお年が、ちょっとぉ、、、、、、痛々しい。


化学同人から同様の教科書として「化学編」も出ています。
まだ1年経っていませんが、こちらはもう絶版?

フィンランド理科教科書 化学編
化学同人
Suvi Aspholm

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次はブルーバックス版のバイオテクノロジー教科書。
こちらもヨーロッパの教科書です。

カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(上) (ブルーバックス)
講談社
ラインハート・レンネバーグ

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これは「上」ですが、「下」がそのうち出るはず。

ブルーバックスには似たようかアメリカ版の教科書もあります。
こちらは既出。
○どんな本を読んだらいいのか 教科書編
http://yoshibero.at.webry.info/201304/article_5.html

カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)
講談社
デイヴィッド・サダヴァ

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「上」では食品、農業、環境関連で、「下」はクローンや病気関連。

種々のテクノロジーの紹介だけでなく、それらの理解に必要な生化学や分子生物学の基礎的な説明を詳しく解説してあります。
ヨーロッパだけでなく日本や中国など各国のトピックスを多数紹介しており、教科書的でないところも多い。
いろんなトピックスを読んでいるうちに、生命科学の基本的な知識が得られるようになっています。

後半には「遺伝子組換え」技術も登場します。
きちんとした「組換え」本ですから、基礎技術から社会的影響まで冷静に書いてあります。

○テーマ「コラム・くみかえの法則」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/24de9f0512.html

遺伝子工学の話題として、人のインスリンを大腸菌に作ってもらうという話がよく出てくるわけですが、この教科書では、基礎的な話や技術の解説をからめながら、その問題点を提出し、どう解決していったかの物語が詳細に書かれています。
こういったプロセスを大切にするところが、日本の教科書にはあまり見られない特徴でしょう。


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