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zoom RSS 「酵素栄養学」の巨匠の本を読んで

<<   作成日時 : 2013/05/03 23:40   >>

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「酵素栄養学」という奇妙な言葉があります。
名前の通り、酵素が栄養だというわけですが、これを主張する人は
酵素が必須の栄養素、だとしています。
酵素は消費されるもので、足りなければ補う必要がある、
一生の内に作られる酵素は決まっている、尽きると死ぬ、
酵素を節約すれば、健康でいられ、長生きできる、
と言うような話です。
私が勝手に巨匠とよんでいる方の最新刊を紹介します。

○テーマ「コラム・酵素」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/a2710f5053.html


健康の決め手は「酵素」にあった
河出書房新社
鶴見 隆史

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「酵素栄養学」を知っている人にとっては、またか、と言う内容ですけど、
本が次々と出るのでしかたがない。

この分野には二大巨匠がいるわけですが、コンスタントに本を出したり、
雑誌の特集記事の監修したりする人は、ひとりしかいません。
良く言えば孤軍奮闘、と言ったところですけど、
著者も気がついておられると思いますが、
この巨匠の「理論」を取り入れている人たちは
美容や健康にかかわる研究者以外の人たちで、
この分野を研究しようという人は見当たりませんし、
この分野の論文も見つかりません。

なので、この分野の本は同じ著者ばかり、という状態です。
巨匠だけを狙い撃ちしているわけではなく、単にそれ以外の本がない。

酵素栄養学の初心者で
たくさんある本のうちどれを読んでいいかわからない、というのなら、
今回の本をお薦めします。
ツボにはまる多くの説明が一通り出てきます。




著者は「博士」の学位を持っていないのを気にしておられるようです。
大学卒業後と云々、という自分の経歴話がたいてい書かれています。
「医学博士」の学位があろうとなかろうと、あまり違いはないのですけど、
この分野にいれば、あれば箔が付くのかもしれません。

なくても内容で勝負すればいいのですが、それにはちょっと問題が。




医師ですから、医療お話も出てきます。
いろんな病気が「酵素栄養学」で治ったり改善したりするらしい。
ここでは1例だけ取り上げます。

認知症です。
認知症の原因の説明があります。
どうやらアセチルコリンが激減することが原因だそうで、
その産出に関わる代謝酵素が大きく欠乏していると断定しています。

で、どうするか。
酵素栄養学は非常に単純でわかりやすい。

欠乏しているのなら補えばよい。

(酵素を)体内に補給することで、回復があり得るのではないだろうかと私は考えたのです。
本当にその酵素の欠乏だけが原因で、正常なレベルで産出することが治療につながるのなら、当該酵素に関する遺伝子治療法も考えてもよいかもしれませんが(実際には遺伝子発現をコントロールしながら改善するのは難しい)、その酵素の「補給」で改善できるとは思えない。
そもそも、「補給」って、何を意味しているんだろう?

じっさい、私の知っている認知症の患者さんには「生食」嫌いという人が多く、ふだんから加熱食ばかりの生活をしてきた人たちです。
加熱食には生きた酵素がないので酵素が補えず、不足する。という酵素栄養学的所見です。的外れですけど。

近年増えている若年性の認知症も、私は食生活が大いに問題だと考えています。
急に抽象的になりました。

生食を多く摂るようにするなど徹底した食生活の改善を施し、酵素サプリメントでアセチルコリンの産出を促せば、回復も夢ではないと思うのです。
と夢を語り、今後重点的に研究したいと述べておられます。




「消化酵素の種類」という一覧表があります。

小腸=アミノペプチターゼ=たんぱく質をポリペプチドにする
小腸=ジペプチターゼ=たんぱく質をジペプチドにする
膵臓=キモトリプシン=ポリペプチドを分解し、アミノ酸にする
膵臓=トリプシン=ポリペプチドを分解し、アミノ酸にする

これらの何がどう「おもしろい」かは、先のエントリーに書きました。
○食べた酵素は働いてくれるのか? その13  新規酵素発見?
http://yoshibero.at.webry.info/201208/article_8.html
改善されていません。

この一覧表の後に、「胃には、炭水化物の消化酵素は存在しません」と断言しています。
だけど、先の一覧表には、
上層胃=アミラーゼ=炭水化物の分解をおおざっぱにおこなう
とあります。
どっちが正しいんだろう?

一度、きちんと校正した方がいいと思いますけど。
(ホントは、そういう問題ではないんだけど)




巨匠にとってハウエルは絶対的な神様のような存在でしょうから、
彼の言うことは信じるようです。懐疑精神はありません。

ハウエルが「酵素とはたんぱく質の外殻に被われた生命体である」
というと、この奇妙な言い回しをそのまま信じ、
最新の分子生物学や生化学の成果を無視して、
「アミノ酸(タンパク質)の外殻を持つ酵素は、DNAによってつくられ、DNAの構造上に存在するものと考えられます」
とさらにバージョンアップしたトンデモで説明してくれます。
このことは先のエントリーでも取り上げました。
○久しぶりです。 酵素栄養学の巨匠に登場してもらいます。
http://yoshibero.at.webry.info/201303/article_1.html

この本にはDNAの二重らせん構造の図が載っていませんけど、
巨匠にはDNAに張り付いた酵素が見えているようです。

この酵素は生まれたときからDNAに張り付いているらしく、
年をとるたびに減っていくらしい。

生まれたばかりの新生児には、高齢者の数百倍の酵素が存在するといいます。生まれた瞬間に一定量の酵素を与えられ、それがどんどん減っていくことから「一生に一定の酵素貯蔵があって、それを使い切ったときが死ぬときだ」という研究者もいます。
という与太話を無批判で受け入れています。
まぁ、そんな「研究者」もいるでしょうけど、もうちょっとまともな人の
本を読むとか、教科書を読むとか、辞典を読むとかした方がいいのでは?

これを信じておられますから、最新の寿命や老化の研究なんかバッサリ切り捨て、貯蔵していた酵素が尽きると寿命が来る、節約すると長生きできる説の方が正しいと、鼻息が荒い。
150歳分の貯蔵があるそうです。
どこにどんな「酵素」があるか、具体的な数値なり実験結果なりは
一切書いてありません。当たり前だけど。

たとえば、1日に合成される膵臓の酵素が何グラムなのか知るだけで、
この説が破綻するのが簡単にわかると思います。
新生児の体重は何グラム?

いやいや、基幹酵素があって、それが変化することで実際に働く酵素になるんだ、と言うのなら、それは二大巨匠のもうひとりの巨匠の珍説です。これも与太ですけど。
○「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報7 番外
「病気にならない生き方」などを読む2
http://yoshibero.at.webry.info/200706/article_11.html
○「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報2
酵素栄養学とは何か
http://yoshibero.at.webry.info/200705/article_7.html

いずれも、このブログで何度も書いてきたことの繰り返しにしかなりません。
それほど、進歩がない。




○テーマ「コラム・酵素」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/a2710f5053.html

酵素栄養学関連の本は180冊持っています。
○蔵書リスト
http://www2.biglobe.ne.jp/~ashida/kurekousen/books.pdf
今だと、p5-p11
画像

その中でも今回の巨匠の本が突出しています。
画像

(1冊、このブログで登場した本が行方不明。
 酵素とは関係ない本も雑じっています)

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