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zoom RSS 「植物はすごい」を読む

<<   作成日時 : 2012/09/07 01:46   >>

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「植物はすごい」(中公新書)
我々が普段食べている食材の多くは植物由来です。
学校で植物は独立栄養性物だとか光合成をするとか習いますが、
植物の生態系であるとか食べられる植物でも毒を持っているとか
意外と知られていない。
そんな植物の中でも比較的身近な植物に焦点を当て、
数々の「すごい」を紹介している本です。

植物はすごい - 身近な緑の生き残り戦略 (中公新書)
中央公論新社
田中 修

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「自分のからだは、自分で守る」
人間や野生の動物に食べられる植物は多い。
しかし、ただで食べられるためだけに植物は存在するわけではない。
被害に遭いにくいような物理的な工夫もある。
ここでは「トゲ」の効用を説明しています。

「味は、防衛手段!」
食べられないようにするために、化学的な防御機構もある。
食べられても被害を最小限に食い止める方法もある。
ただでは転ばない。
ここで多くの化学物質の名前が出てきます。
残念ながら、構造式は出てきません。
植物には人間が「渋い」「苦い」と感じる化合物がたくさんあります。
それは、何のため? 人間にとっては毒?

「病気になりたくない!」
植物にだって病気はある。感染症もある。
そのための防御機構も発達している。
微生物を「ねばねば」物質で物理的に絡め取る。
タンパク質分解酵素の「効能」は?
「かさぶた」で物理的に守ることもある。
「香り」の成分は何のため? アロマテラピーって?

「食べつくされない!」
有毒植物、食べられる植物、勝手に人間は分類しているけど、
どんな植物にだって人間に対する毒はある。
もちろん、人間に対抗するためだけに毒を作っているわけではない。
トリカブトの毒。彼岸花の怪。
球根に毒を持つという彼岸花、タネを作らず、球根でしか増えない。
なのに、あぜ道に整然と並んで生えてくるのはなぜ?
飢えの切り札にもなる有用植物。

「やさしくない太陽に抗して、生きる」
光合成の秘密。野外で太陽光に当たりっぱなしの植物の生体防御。
意外なことに、植物は太陽とも喧嘩もしている。

「逆境に生きるしくみ」
巧みな環境応答機構。
乾燥、寒暖、その他諸々の不都合な環境にも適応している。

「次の世代へ命をつなぐしくみ」
タネ、花粉、無性生殖、数々の不思議。
動物とは違った生存戦略。


このブログでも何度も書いていますけど、植物は動けない。動けないなりに身を守るしくみがたくさんあります。その生存にとって重要な戦略の話がメインになります。




身近な有毒植物の例として「アジサイ」が出てきます(p100)。
私も以前書いたことがあります。

○ナマ食はカラダにいいのか? その5
http://yoshibero.at.webry.info/201206/article_6.html

飲食店で出された飾り用の葉っぱを食べて食中毒になったという例です。
その葉っぱがアジサイの葉だったと言うことで、意外性もあり報道されました。

葉っぱビジネスで有名な徳島県上勝町からもアジサイの葉が出荷されているようです。
http://www.irodori.co.jp/

この本では、その原因物質が追求されています。
一般には青酸系の化合物が含まれているので、それが原因だろうと思われています。
ところが調べてみると、意外なことに食中毒になるほど青酸が葉っぱに含まれていない。

実は、まだ食中毒の原因物質はわかっていません。
「人体実験」により、食中毒を起こすことは間違いないのですけど。


他にも身近な植物で食中毒が発生した例はたくさんあります。

例えば、広島市の花であるキョウチクトウ(p103)。
葉っぱや枝に毒があり、葉っぱを食べる虫がいませんから、
キレイな葉っぱをしています。
この毒は人間にも毒で、バーベキューの串の代わりにキョウチクトウの枝を使って死亡した例まであるそうです(フランス)。
西南戦争の官軍の兵士がキョウチクトウの枝をお箸の代わりに使っていたところ、中毒にあったらしい。

青くなったジャガイモやギンナンも要注意。
毎年のように中毒が報告されます。

セレブにとって意外なのはモロヘイヤ。
葉をそれなりに食べている分にはいいのですけど、家庭菜園で誤って花やタネ(実)を食べると、大変な事になります。
実のついた枝を食べた牛が死んだ例もあります。

あげれば切りがないのですけど、その辺に生えている野草や栽培種の毒にやられて中毒や死亡事故など数多く報告されています。

以前のエントリーにもにも書いたのですが、公益財団法人
日本中毒情報センターのWebサイトの情報が役に立ちます。

「中毒情報データベース」というのがあり、そこにシュウ酸塩による中毒の解説が書いてあります。
http://www.j-poison-ic.or.jp/tebiki.nsf/SchHyodai/E72A88B17ECABDDC492567DE002B89B8/$FILE/M70120.pdf

○ナマ食はカラダにいいのか? その5
http://yoshibero.at.webry.info/201206/article_6.html




誤解する人はいないでしょうけど、念のため補足すると、この本では植物を擬人化して書いているところがたくさんあります。
その手の記述をたくさん読んでいると、つい、次のように誤解しがちです。

植物はその「すごい」を獲得するために進化した。
植物はその「すごい」を獲得する方向に進化した。

もちろん、ちがいますね。 

結果から見れば「すごい」し、よくそんな「すごい」を持つことができたと驚いてしまいますし、関心してしまいます。
しかし、その「すごい」を現代から過去にさかのぼって考えるときに、多くの人は躓いてしまうわけです。
これは気をつけないといけない。

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植物はすごいけど怖い
ある人からの質問の中で、ちょっと気になることが書いてありました。 先のエントリーの続きにもなりますので、ここに書き留めておきます。 植物の食べるタネの話です。 「食に関する健全な情報」に関わっているジャーナリストの方によると 「何かの材料から抽出・濃縮した商品は恐ろしくて絶対に摂らない」 とのことです。別のジャーナリストの方からの又聞きですけど。 私もこれに同意します。 ...続きを見る
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2012/09/08 01:15

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