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zoom RSS AERA 死ぬ間際に見える風景

<<   作成日時 : 2012/08/25 22:31   >>

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新聞広告におもしろそうな記事が載っていたので買いました。
AERA 2012年08月27日号の「死ぬ間際に見える風景」です。
遺族575人への調査で解明された「お迎え」現象
というサブタイトルから何となく想像出来ますけど、
やっぱりなぁ、って感じの記事でした。
画像





記事は次の4部構成です。

1. ある在宅緩和ケア専門の医院でみられる「お迎え」現象
2. 「せん妄」の解説
3. 1.の医者へのインタビュー
4. 「チャプレン」の紹介

1. は本記事のサブタイトルにある「遺族575人への調査で解明された「お迎え」現象」の説明です。
でもこれは聞き取り調査したというだけです。
「解明された」は言い過ぎでしょう。何も解明されていませんから。
なので、記者の書き方はおかしい。

この時点ではその医院の先生がおかしいわけではありません。
「お迎え」現象を受け入れ、終末期の緩和ケアにある意味利用しようとされているようです。科学的に解明しようとかそんなことをいっているわけではなく、「お迎え」を受け入れることでいいことがあるのなら、積極的に関わろうとしてるわけです。
これは臨床現場の考えとしては必要なことだと思います。
臨床は必ずしも科学的である必要は無い。


2. はせん妄の解説。
これは付け足しなのかどうか知りませんが、記事の中では中途半端な位置づけです。
多くの終末期患者に「せん妄現象」が見られることを具体的に説明し、これはどのような生理状態から生じるかの説明も試みています。
この分野の研究はかなり進んでいますから、「お迎え」やいわゆるオカルト的な現象もある程度説明できます。なので、そういう話かと思うと、どうやら記者の向いている方向はそうではないらしい。

両論併記のつもりなのか、とりあえず付け足したという感じ。
記者は魂や死後の世界を信じているようです。

せん妄に頼らなくても、他にいくらでも科学的な説明方法があります。


3. は1.の病院長のインタビューです。1.とちょっと様子が違います。

この医者が大学生にあの世があると思うか聞いてみると、偏差値が高いほどあの世がないと答えるそうです。
偏差値で分類するなんて、なんだかイヤらしい調査ですけど、ある旧帝国大学で300人ほどに聞くとあの世があると答えたのは3人だったそうです。
どうかなぁ? たぶんこの医者の聞き方が悪かったんじゃないかなぁ? ホントはもうちょっと高い気がするんですけど、何となくこの人に聞かれると反発したくなったんじゃないかな?

それはともかく、この調査(?)を受けて、次のように語ります。

死後の世界を信じないというのならば、人は恐怖と不安の中で死ななくてはならない。いつから日本人は「あの世」を失ったのでしょうか。

やっぱり 1. で書いたことは撤回だな。
こんな「脅迫」されたのなら、大学生の反応は正常だと思うけどなぁ。

「あの世」については信じるか信じないかの話に過ぎません。
どちらの立場をとるかは、それぞれ自由です。
どっちだってかまわない。

この医者は信じただけです。
それだけなのに、「あの世」を人に押しつける意味がわからない。

先の大学生へのアンケートが講義(講演?)のどの時点で行われたのかわかりませんが、引用文のような話を聞いた後なら、3/300と言う結果はあり得るなと思います。
普通にアンケートをとれば、もっと多くの人が「あの世」を受け入れていると言う結果がでたと思います。


4. 次の見出しから見て、記者のいやらしさが読み取れます。
それでも「お迎え」が信じられない人へ
なんだこりゃ? 「それでも」って何だよぉ? 「それでも」って!

米国では「チャプレン」制度が充実しているそうです。
一方、日本にはほとんどいない。
「チャプレン」が何で、記者が何を言いたいのかは記事を読んでもらうとして、ここで思ったのは、どうやら記者も「お迎え」や「あの世」を信じているようで、取材した医者の言うとおり、「お迎え」や「あの世」を信じていれば安らかに死んでいけるけど、信じないのなら悲惨なことになると思っているらしい。

どこからそんな思い込みが生まれるんだろう?


世の中にはいつでもどこでも死者と交信できるという人もいますが、普通こういう人は教祖になって特定の信者からあがめられないかぎり、信用されていないでしょう。

この記事で出てくる「あの世」容認派はそうではなくて、肉親などがある時突然現れたり、死ぬ間際に遠隔通信したりとか、素朴な体験ばかりです。

死んだ人がどう思っているかはわからないわけですから、この手の「お迎え」現象により、癒やされたり安心したりするのは、あくまでも生きている遺族側の問題です。
残された遺族が死んだ人と会えて良かったと言うだけでなく、死んだ肉親の何かがわかってよかったというのも、死者を思ってと言うより、そう感じた生きた人間側の話です。

どこまで行っても、「あの世」が語られるわけではなく、現に生きている人間側の話です。
「あの世」を語っているつもりでも、「あの世」は誰にもわからないわけですから何とでもいえますし、語っている内容や体験はあくまでも生きている「この世」の人の話であり体験です。

宗教や信念や神の掟が生きている人間の癒やしや安心に役立つものというのなら、それはそれで結構なことで、問題はありません。
しかし、その信念を信じないからと言って、信じない人を攻撃するのは間違っています。

信じるか信じないかの話に過ぎないわけですから、
信じる人が信じない人を変人呼ばわりするのはおかしい。

少なくとも偏差値の高い(?)若者の300人のうち3人だけ(といっても1度きりの偏ったアンケートだから意味の無いデータですけど)がまともで、残り99%の人々は変人扱いにする記事は(偏差値の低い人なら「あの世」を信じるというのなら、もっと問題)、まともとは思えません。

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