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zoom RSS 金メダルか死か、「遺伝子組み換えアスリート」の実現性

<<   作成日時 : 2012/08/10 23:52   >>

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先日(2012年08月08日)、Yahoo!ニュースを見ていると、
刺激的なタイトルの記事が載っていました。
アングル:金メダルか死か、「遺伝子組み換えアスリート」の実現性
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120808-00000102-reut-int
中身を見ると、ロイターの記事です。
タイトルから何となく内容が想像できますけど、ちょっとヒドイ。




ロンドンオリンピックがらみの記事なんでしょうが、内容が古い。
「遺伝子組み換えアスリート」という刺激的な名前を付けています。
記事内容があっちこっち飛んでいて、まとまりがありません。

注意しないといけないのは、次の2つをきちんと区別することです。

今、生きている人間に対して遺伝子組み換えを施す
遺伝子組み換えを施した人間を誕生させる

そして、マウスなどを使った動物実験で可能なことと、
人間で実際に応用可能かどうかの区別も重要です。




記事には「遺伝子ドーピング」が出てきます。
記事に出てくる「マラソンマウス」は、遺伝子組換えを行って誕生したマウスのようです。
「遺伝子ドーピング」というのがこのような話だというのなら、
今、生きている人間に対して遺伝子を利用した改良をするのではなく、
遺伝子を組換えた人間を新たに作る話になります。

しかし、どうやら記事の後半を読んでみると、
アスリートとして活躍している人に「遺伝子ドーピング」したいかどうか、
といった話になっています。

意味不明です。




いずれにしても問題はたくさんあります。

両者に共通する問題として、どの遺伝子をどのように改良するのか?
どんな方法で組換えるのか?

運動能力など身体能力に「遺伝」が関わっていることは確かでしょう。
しかし、その「遺伝」に対し具体的にどんな「遺伝子」が関わっているのかを見極めるのは難しい。
たとえ見つかったとしても、その「遺伝子」の貢献度は誤差の範囲かと思うくらい小さい場合が多い。
複数の遺伝子(100種類とか)が関わっているらしいことはわかっていますけど、どの組み合わせでどんな形でどのように発現コントロールさせながら導入するのか、これを見つけるのは至難の業です。

1つの遺伝子を導入すればいいだけではありません。
たとえ、貢献度の高い遺伝子が見つかったところで、その遺伝子をどのタイミングでどの程度発現させるのかも重要なポイントになります。そのコントロールもきちんとしてやらないと、充分に機能を発揮してくれないでしょう。

今、アスリートとして活躍している人に「遺伝子ドーピング」するなら、上記の問題点の他に、どの細胞にどのようにして遺伝子を導入するのかが問題になります。
ウイルスで感染させて導入するとしても、その感染した細胞にしか遺伝子は導入されません。

身体能力と遺伝子との関係が十分にあきらかにされていないのに、
上記の問題がクリアされるとはとても思えません。

単純に「血液型占い」を信じる人とか、99%の確率で当たると豪語している遺伝子検査会社(知能、運動、音楽なの潜在能力)を信用している人たちなら、「遺伝子ドーピング」も現実的な話になるのかもしれません。

ちなみに、記事に登場するマウスは「2001年撮影」とのこと。
エライ古い。


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