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zoom RSS 進化について総合的に学べる決定版の本はありますか?

<<   作成日時 : 2012/07/05 23:57   >>

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進化について、いろいろと書いたので、決定版になるような本はないかと質問を受けたことがあります。その時にはカール・ジンマーの本と進化の教科書を推薦しました。
共にちょっと高価なのですけど、かなり良く書けています。
最近、カール・ジンマーの新しい本が出ました。
さんざん書いてきて、まだ大部の本を出すか、と思いますけど、
読んでみて納得できます。
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基本的には進化の入門書です。
ときおり専門的になったりしますけど、
一貫して、初学者にも読めるように工夫してあります。
この手の話題を説明する時、データや素材の選択が難しいのですが、
適切に厳選されたデータを使用しているので、安心して読めます。
化学構造式はほとんど使っていません。

進化――生命のたどる道
岩波書店
カール・ジンマー

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メンデルの法則で、遺伝子型と表現型のハッキリした例を紹介し、
人の身長のヒストグラムが二項分布になることの例をあげ、
一卵性双生児と二卵性双生児における相関、
身長に関係がありそうな遺伝子の紹介など、
うまい具合に書かれていて、納得させられます。
この説明に、優生学の創始者(ダーウィンのいとこ)を登場させたのには、著者なりの理由があったのでしょうが、なんだかわかりません。

最近ひとつの遺伝子型だけで性格やスポーツや芸術の適正などを
鑑定するDNA型鑑定が流行っています。
その様な鑑定に意味があるのか、どのような根拠で鑑定していて、
お金を払ってでも検査してもらう価値があるかどうか見極める考え方が
提示されています。

「バイオインフォマティクス」という大学三年生向けの授業を担当している関係上、「バイオインフォマティクス」ネタには敏感に反応してしまうのですが、この本にはバイオインフォマティクスとの関連のある記述が多く見られます。
進化を語るにはこの分野は必須です。
初心者には難しいかもしれませんが、この本では、豊富な比較的わかりやすい例を取り上げていますし、イラストもわかりやすいですから、全く初めてでもある程度理解出来ると思います。
ある程度勉強していても、新たな発見があるでしょう。

「サルから人が進化した」とか「人はサルから進化した」とか、
平気で書く「文系人」は意外と多い。
その考え方のおかしさに、もし気がついていないのなら、
この本は大いに役立ちます。

進化と言えば恐竜、というような恐竜好きな人には物足りないでしょう。
残念ながら、恐竜はほとんど出てきません。

あるひとつの生物種が進化するのに、そのひとつの生物種だけが環境に適応して進化するわけではありません。このへんもちょっと誤解されやすいのですが、豊富な例をあげて、どのようにして種が誕生したのか、あるいは絶滅したのか、読み物としてわかりやすく書かれていますから、自然と理解できるようになっています。




日本人研究者によるコラムがたくさんあります。
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そのうち最後の「ヒトの脳の進化の舞台裏」というのがおもしろい。

ヒトとチンパンジーの共通の祖先が枝分れしたのは700万年程前。
それから500万年後、今から200万年程前、
ヒトの脳が大きくなりはじめる。

そのきっかけが何だったのか、いろんな説がありますけど、
ここでは食事との関係を論じています。

このブログでは、ナマ食批判をいろいろと書いています。
その話題ともちょっと関連しています。

○遺伝子組換え作物 書籍から ナマ食信仰と進化
http://yoshibero.at.webry.info/201006/article_21.html
○ナマ食はカラダにいいのか? その5
http://yoshibero.at.webry.info/201206/article_6.html



チンパンジーとヒトを比較すると、脳と胃腸の比率が異なるそうです。
脳と心臓、肝臓、腎臓の比率は変わらないので、
胃腸が小さくなったことと脳が大きくなったことの関係を論じています。

脳はエネルギーを多大に消費します。
食べたものの消化にもエネルギーを使います。
使えるエネルギーは限られています。

で、どうするか。

脳に使えるエネルギーを相対的に増すためには、
他を節約して減らす必要がある。
(なんだかどっかで聞いたことがあるような話)

脳が大きくなったからか、食事が変化したから脳が大きくなったのか、
同時進行なのか、その辺はわかりませんけど、
ある時から消化の良い食事をするようになった。

もともと消化の良い食材を探すようになったり、火を使うことを覚え、
加熱食を食べるようになったりした。
加熱食は消化が良いので消化のためのエネルギーの節約になる。

酵素栄養学の人たちが言っていることと全く反対ですね。

で、相対的に胃腸が短くエネルギー消費が低下し、
脳へのエネルギー提供が増えた。
その傾向は、消化の良い食事に改善すればするほど、増していった。

なので、胃腸がコンパクトになり、脳が相対的に増大した。

酵素栄養学を意識して書いてあるわけではありませんが、
結果的に酵素栄養学を否定していて、ちょっと魅力的ですね。




最後に、日本語で読める参考書籍の紹介が載っています。
比較的新しい本もリストアップされており、参考になります。

リストの2番目と3番目に登場するのが、
冒頭で述べた(写真も)ジンマーの本と教科書です。
妥当な選択だと思います。
(1番目は監訳者の本です)

「進化」大全
光文社
カール・ジンマー

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進化―分子・個体・生態系
メディカルサイエンスインターナショナル
ニコラス・H. バートン

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ちなみに、4番目の本は「新しい分子進化学入門」で、
授業のの教科書としても使っています。
ジンマーの本を読んで、さらに突っ込んで理解したい時の最適書です。
他のリスト本は必要以上に難しすぎたり、マニアックスすぎたりします。




自宅の「自然科学第二通り」。ここにリストのほとんどの本がある。
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カール・ジンマーには、次のような楽しい本もあります。
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特に、「大腸菌」はお薦め。
ただし、翻訳に難点あり。
大腸菌のことを「E・コリ」と翻訳されています。
せっかくの内容が、これだけでちょっと残念な本になっています。
大腸菌の学名から「E・コリ」としたそうですが、
私の周りにそう発音する人はいませんでした。
「イーコライ」ならいますけど。
「E・コリ」はどこで流行っている言葉なんだろう?

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