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zoom RSS 「発達障害と向き合う」

<<   作成日時 : 2012/07/12 01:42   >>

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今日2012年07月11日の新聞を見ていると、
幻冬舎ルネッサンス新書の広告が出ていて、
「発達障害と向き合う」という本の広告が出ていました。
「大反響6刷!」ということで、売れています。
特別支援教育士スーパーバイザーという肩書きの人が著者です。
「士」ですし、国家資格ではありません。
この分野にはまだ心理師のような国家資格がありませんから、
残念ながら診断することができません。
臨床心理士のようなかなりハードルの高い資格はあります。

発達障害と向き合う (幻冬舎ルネッサンス新書 た-6-1)
幻冬舎ルネッサンス
竹内 吉和

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この本のほとんどは、学習障害、注意欠陥多動性障害、
高機能自閉症、広汎性発達障害などについて、解説です。

精神科医、臨床心理士等による類書は多いのですが、
この本は実際の教育の現場で得られた経験談がウリだと思います。
画像


前半は発達障害に関する解説です。
後半の半分は子供と大人の発達障害への具体的な対処方法です。
ここまではよくある話で解りやすっくコンパクトにまとめられています。

ところが、最後の章がちょっと変わっています。
暴走気味のようですけど、著者が一番書きたかった章のようです。


著者は広島の人ですから広島の例が出てきます。
10年以上前、市内(広島県人が市内というと広島市のこと)で
暴走族が深刻化していました。
「とうかさん(稲荷を「とうか」読む)」という浴衣を着る大きなお祭りが
あるのですけど、そこでも彼らは大暴れしていて、
社会問題になっていました。
そこで、広島県警が体当たりの対策をし、これが功を奏して
騒ぎは収まりました。
この時の広島県警の対応方法が詳しく紹介されていて、
この方法こそが発達障害対策として鏡になるようなものだ
と紹介されています。

発達障害に対して、通常は個人による個人へのカウンセリングを行うわけですが、社会によるカウンセリングも重要だという話です。


ただどうも解せないところがあります。

このような反社会的行動をする人たちは、どうやら発達障害の人に対して適切な対応をしなかったから生じたのだと書かれている点です。

・発達障害が少年犯罪を引き起こすのではない
・親や教師や社会の対応がまずかったので、犯罪を起こす

いいたいことはわかります。
でも、どうもちょっとずれているような気がします。

p241
今から思えば、私が教師となった1985年当時から中学校で生活指導をしていた2000年前後頃に暴走族となっていった生徒のほとんどが、認知に凹凸があったり発達障害のある子どもだった今では確信しています。

当時、誤った指導を反省するという文脈で登場する文章ですが、
どうなんでしょう?

暴走族に入るような人たちがどのような性格なのか、その手の人が身近にいませんからわかりませんけど、本当にその「ほとんど」が「確信」できるほど発達障害の人たちだったのでしょうか?
今でもそうなのでしょうか?

著者は、発達障害について詳しいですけど、診断する資格はお持ちでありません。私も持っていません。なので、わかりません。
暴走族に入るような子供のほとんどが発達障害だといっているだけで、発達障害の人のほとんどが暴走族に入るといっているわけではありません。

でも、どうなんだろう、とひっかかります。


加害少年が広汎性発達障害であった主な事件
の一覧が載っています(p244)。
その中から、広島の人ですので、「佐賀バスジャック事件」について、詳しく紹介しておられます。
私もよく利用するパーキングエリアやサービスエリアが事件の舞台になりました。

少年犯罪の原因を発達障害に求めるのは、間違いです。ここにはっきり、声を大にして言います。発達障害に原因を求めるのは、少年個人だけに責任を押し付け、我々大人や社会の責任を回避しようとする欺瞞です。(p247)

早期発見により早期に対応する必要性が強調されています。
発達障害に対する正しい科学的知識を持つことの重要性も説いておられます。
正しい知識にもとづく正しい指導、確かに重要でしょう。

どこかの政治家(市議会議員)が作った条例案のなかに、発達障害は親の育て方が原因だといわんばかりの条文が入っていたとして問題になりました(2012年5月)。
発達障害の原因が親だとするのは、あきらかに間違いですけど、
この本は、親や教育の対応が間違ったから症状がひどくなった、犯罪に走った、暴走族に入った、という認識です。
だからこそ教育が重要だと。

【そういえば、この本には発達障害の原因の追及は見当たりません。複数の遺伝子などのコピー数多型とアスペルガー症候群が関与している、つまり、遺伝的な(親から子へ遺伝するという意味ではない)原因の追及も進んでいます】

先の「加害少年が広汎性発達障害だった主の事件」のリストにのっているのは、ほとんどが殺人事件です。
広汎性発達障害だった少年が犯した殺人リストです。

この凶悪犯リストを載せたのは、広汎性発達障害だったから殺人を犯したというわけではなく、広汎性発達障害の人たちに対する親や教師や社会の対応が悪かったので殺人を犯してしまった、周りの対応が良ければ防げたはずだ、というわけです。

これを証明するためには、同年代の人のうち発達障害の割合や殺人事件の頻度など、多くのデータが必要だと思うのですけど、その様な説明はなされていません。
著者の経験から述べておられるようにしか見えないところが残念です。
ちゃんとしたデータがあるんだけど、割愛した、と思いたい。


証明のないこの手の論理は、私の知るかぎり精神科医の書いた本では見かけません。

新聞広告には、編集者のコピーでしょうけど、

早期発見、早期対応で症状が必ず改善します

と言いきっています。この自信はスゴイ!
必ず改善」!
それは、いくらなんでも科学ではないでしょう。

p247
責任は、社会にあるのです。親を含めて周りの大人にあるのです。早期に発見して適切に対応すれば、自立して革新的な社会の形成者ともなる可能性を秘めた少年たちです。それを台無しにしているのは、社会であり周りの大人たちです。

発達障害に対する正しい科学的認識を持つこと。

知識のない愛は力にならない。

全ての人間が優しさを取り戻すためのバイブルとなればと思っています。



どうでしょう?

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