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zoom RSS 食べた酵素は働いてくれるのか? その10  酵素パワー 

<<   作成日時 : 2012/06/28 00:48   >>

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「酵素パワー」とくれば、年配の人なら「トップ」と返すでしょう。
一風変わった本を紹介します。平成18年改訂版で、ちょっと古い。
「驚異の酵素パワー」
「健康維持はこれだ!!」
「ガン・内蔵病・美容まで幅広いつながり」
このタイトルからどんな本を想像しますか?
普通なら、サプリメント酵素により健康維持が保たれ、
重い病気の予防や美容にとっても良い効果が期待できる、
と考えそうです。
でも、全く違います。
こんな本もあるから要注意。

酵素栄養学がおかしいのは、文字通り、酵素が栄養だという考えです。
つまり、食べた酵素の働きを期待し、
実際に食べた酵素が体のあちこちで働いてくれる
とするその考え方がヘンなのです。

今回の本は、酵素栄養学的なことは(それを否定する形でチラッと
出てくる以外)出てこず、酵素そのものの「パワー」の解説です。

ハート出版の「ふるさと文庫」には数10ページの小冊子シリーズがあります。それぞれなにやらあやしいことが書いてありそうなタイトルばかりです。
今回登場する本は、その中の一冊なんですけど、
書いている人はまともです。なので、書いてあることもまともです。
画像

藤本大三郎著「驚異の酵素パワー」250円




酵素は生物にとって重要な働きをしている、っていう説明が、
例によって延々と書いてあります。
「人は酵素なくしては生きられない」確かにそうです。

サプリメント業界では発酵と酵素を区別していないことが多い。
なので、酵素は物質であって生物ではない、
発酵には単細胞生物である微生物が必要だ、との解説もあります。
これも納得です。
単なる発酵物なのに、酵素だと偽って商品化しているのもありますから。
中には○○発酵という会社が○○酵素という商品を売っています。
ただ、ここは酵素自身の効能はいっさい宣伝しておらず、
発酵物だと言ってますけど、消費者の多くは酵素を摂っている
と思っていそうです。

酵素が病気や日常生活や健康維持に関与しているとの解説もあります。

ただ、ひとつあやしい説明も雑じっています。
風邪薬のリゾチームです。これは日本独特の「風習」です。

じゃあ、どうすれば良いのか。
タイトルにある酵素パワーを手に入れるにはどうしたら良いの、
とせっかちな人は思うでしょう。
本書の中程を過ぎて、やっとそれらしい記述が出てきます。

現代人は酵素パワー不足
酵素パワーにはミネラル、ビタミンが必要
現代人にはミネラル、ビタミンが不足
また、睡眠不足は疲労を生む最大の要因

充分な睡眠と栄養バランス満点の食生活が理想なのです。
そのうえで、どうしても不足しがちな微量栄養素を十分とり、
「酵素パワー」を補ってください。


ここでいう微量栄養素はミネラル、ビタミンのことです。

手っ取り早くこれを摂れば良い、これをすれば良い、
と言う情報を期待している人には肩すかしですね。




健康の話の次は美容です。入浴剤や化粧品の話です。
栄養の話としては、糖の代わりに使われている甘味料は酵素で
作られているという話。

要するに、酵素を利用して何かを作ったり体の外から影響を
与えたりといった話です。

ひとつ気になる話が。

強い日差し→チロシラーゼ活性化→メラニン色素過剰

美肌にするため、チロシラーゼ阻害剤を化粧品に添加
→美白に
って事なんですが、紫外線あびてチロシラーゼ活性化、
メラニン色素生産、にはちゃんと意味があるはず。
なのに、紫外線あびてもその過程を阻害しちゃうってもええの?




酵素風呂の話も出てきます。
例によって、発酵風呂なんだけど、なぜか酵素風呂。
その矛盾が指摘してあります。
酵素、ぜんぜん関係ないじゃん、と。

ひとつ気になる点。
絵を担当している人はたぶん酵素風呂を知らないんでしょう。
普通のお湯の風呂屋さんの絵を描いて「本日は酵素風呂」って札を
掲げています。普通にタオルと洗剤で体洗ってるし、
富士山の絵を背景にした湯船につかっています。




で、最後になってやっと「酵素飲料」の話。

きちんと説明してあります。
この本の価値があるとしたら、この1ページ。

酵素飲料は微生物が発酵する過程で作ってくれたものが入っている。
その発酵の過程で微生物内の酵素が働いているだけで、
酵素そのものを飲んでいるわけではない。

その発酵されてできたモノが問題。
この本では、悪口はいっさい書いていませんから、発酵によって
人に有用なモノができるだろうとの前提だけで書かれています。
しかし、微生物は人のためを思って発酵してくれるわけではありませんから、人のためにならないものだって作ります。
しかも、何年も発酵させるのが良いというヘンな空気もありますから、
そのために訳のわからない化合物もどんどん濃縮されていきます。

一カ所、誤植らしいのがあります。
(本書は平成6年に初版、平成17年までに34刷、平成18年に改訂版、
持っているのは平成22年の11刷)

原料としては多糖類(数十種類におよぶ)の植物性素材が使われています。

たぶん多糖類ではなく多種類でしょう。
多糖類は関係ないよね。


ちなみに、
万田酵素は「53種類以上の原材料を3年3ヵ月以上長期自然発酵」。
野草酵素は「66種類の原料を1年2ヵ月発酵・熟成」。
酵素八十八選は「野草(61種類)、野菜・果実・海草・きのこ類(27種類)からなる88種類の酵素原料」を「発酵期間は2〜3週間、発酵、熟成期間は1年〜1年半です」。

多けりゃいいってもんじゃないけどね。

http://www.manda.co.jp/
http://www.yasoukouso.com/
http://shop.slow-village.jp/




以上のように、酵素の本なのに次のようなおとぎ話はいっさい出てきません。っていうか、出てこないのがまともな酵素の本です。

・酵素は栄養素である。
・酵素には体内酵素(潜在酵素)と食物酵素がある
・潜在酵素には限りがある
・潜在酵素には消化酵素と代謝酵素の2種類ある
・消化酵素と代謝酵素の合計量は常に一定である
・消化酵素を使いすぎると代謝酵素が減る
・食物酵素は潜在酵素の代わりになる
・ナマ食品で食物酵素を補うと潜在酵素の節約になる
・潜在酵素を節約すると長生きでき、浪費すると早死にする
・一定量持って生まれた体内酵素が尽きると死ぬ

いろんな流派がありますが、上記のいずれかを主張していたら、それは速攻でトンデモ本です。全体でも個別でも科学的根拠皆無で、実践する価値もありません。

なぜかは、このシリーズで延々説明してきました。


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食べた酵素は働いてくれるのか? その11  最強の酵素
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