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zoom RSS 食べた酵素は働いてくれるのか? その08  合成されたタンパク質の行方

<<   作成日時 : 2012/06/20 23:27   >>

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合成されたタンパク質は働く場所へ移動する
「その07」で述べたように、全てのタンパク質は細胞の中で合成されます。食べたタンパク質や酵素がそのままの構造を保って働くことはなく、人体を構成している10キログラムあまりのタンパク質は細胞がそのつど作っているわけです。
「その05」で述べたように、いらなくなったり古くなったりしたタンパク質は分解され、新しく作られたタンパク質と入れ替わります。ほとんどのタンパク質は常に作り替えられています。

タンパク質は細胞の中だけでなく、細胞の膜の中や細胞の外にもあります。血液中にだってタンパク質はあります。
それらのタンパク質は全て細胞の中のリボソームという装置で合成されるわけですから(「その07」)、合成直後の全てのタンパク質は細胞の中にあります。このタンパク質がそれぞれ働き場に移動するわけです。

細胞膜は水に溶けませんし、タンパク質の多くは水に溶けます。
なので、通常、タンパク質が細胞膜の中に入り込んだり、細胞膜を通過したりすることはできません。合成されたタンパク質が細胞の外へ出るためには、おもしろい方法をとります。
アミノ酸の中には水に溶けにくい性質を持つものもあり、このようなアミノ酸が連続している部分が針の役割をして、細胞膜に突き刺さったり、膜を通過させたりします。
細胞の外へ出て行くためには、ちょっと複雑な工程があるのですけど、ここで言いたいのは、合成されたタンパク質がどこで働くかまで、タンパク質のアミノ酸配列に書いてあるということです。

細胞の外へ出る、細胞の膜に埋め込まれる、核の中に入る、ミトコンドリアの中に入る、などなど、それぞれのタンパク質はその機能が発揮できる場所で役割を演じます。せっかくの働きを持っていても、その働きを発揮する場所へ行かなければ意味がありません。
自分がどこで働くかということが自分自身の形の中に書いてあるわけです。

タンパク質合成はかなり正確に行われますけど、100%完璧じゃありませんから、ときおり失敗します。失敗したタンパク質は邪魔ですし、そのまま残っていますと悪い影響もでてくるかもしれませんし、たまってきても大変です。
そこで失敗タンパク質には印がつき、分解装置で分解され、その分解で生じたアミノ酸はリサイクルされます。


合成後、そのままの形で働くわけではない

このように、それぞれの遺伝子の情報から作られた多種多様なタンパク質は、それぞれの働き場所へ行って働くわけです。
実は、このように働きを持つ状態のタンパク質の構造は合成直後の構造と異なることが多い。

遺伝情報にしたがってアミノ酸が順次連なることでタンパク質は合成されます。そのタンパク質の三次元的な構造は1つに決まります。比較的安定な構造を取ろうとするからです。
タンパク質といっても多種多様ですから、放っておいてある形をとる物から別のタンパク質などの助けをかりて、ある形をとる物まで色々です。

いずれにしても、遺伝情報により、つまり、DNAの遺伝子部分の塩基配列は、作られるタンパク質の立体的な構造まで決めています。
そして、そのままの形で働くわけではなく、途中で切れたり、分子内でくっついたり、別の分子とくっついたり、小さな分子がくっついたり離れたり、と、いろんな構造変化が起こります。これらの変化も他のタンパク質などの働きかけで起こることが多い。

食べた酵素が体内で働くためには、その酵素の構造を保ったまま、その酵素が本来働く場所へ行く必要があります。
そもそも、構造を保っていることは不可能ですから、移動するかもと考える必要がありませんけど、万一構造を保っていたとしても、その酵素が本来働く場所へ行くという補償はありません。

自分のタンパク質なら、その細胞の中にすでに用意されているタンパク質の助けをかりて、移動したり構造を変えたりするわけですが、食べた酵素というのは完成形のタンパク質です。すでに移動しながら働く形になるという工程は終わっています。それが突然体内に入ってくるというわけです(実際には入ってきませんけど)。
どうなるでしょう?


他のタンパク質などと協調しながら働く
このように、合成されたタンパク質は形を整えながら、それぞれ働く場所に移動していきます。このとき、細胞の中や外にあるいろんなタンパク質との相互作用の助けを受けます。

どんなタンパク質でもたった1つで働くことはありません。働く場所にいる同類や仲間や異種同士が複雑に絡み合って働きます。

大切なのは、協調して働く多くのタンパク質群も、すべてヒトゲノムの遺伝情報にしたがって合成されていることです。

食べたタンパク質がそのままの形で細胞の中に入っていくことはありませんけど(後述)、もし入ってきたとしても、また、よく似た働きを持っていたとしても、ヒトとヒト以外の生物のあいだで、微妙に構造が違いますから、単独での働きが似ていたとしても、相互作用に関わる構造が違っていたり、あるいはなかったりして、本来の働きを発揮することは稀でしょうし、場合によっては、巧妙に構築された細胞内システムにとってよそ者ですから、悪い影響を受けることの方が多いでしょう。

代謝は1つの化学反応で独立しているわけではなく、一連の反応が連続的に起こります。そのため、それぞれの反応に関わる酵素が効率よく働いていきます。

コラーゲンのような構造を決めているタンパク質も、単独で構造物を作るわけではありませんから、多くの種類のタンパク質やそれに類した化合物がたくさん集まることで、最終的にある構造物を作り上げます。
このように多くのタンパク質などが集まって構造物作る場合でも、それに必要なタンパク質などは、ヒトゲノムの情報にしたがってそれぞれの細胞がそれぞれ作り、それぞれの場所で相互作用し、構築されていきます。

ついでに言うなら、どの細胞でどのタイミングでどのくらいの量のタンパク質を作るかも、結果的にはゲノムに書いてあります。生まれて来る前からある程度決まっているわけです。

食べた酵素が働いてくれると期待するには、どのような条件が必要なのか、その条件はあり得るのか、ちょこっと考えてみれば、その可能性はほとんどないことに気がつくと思います。

ヒトは何十兆個という細胞からなります。
元を正せば、たった1個の受精卵から始まっています。
1個の細胞から何十兆個の細胞になり、120年ぐらいは生き続けることができるわけです。
勝手に細胞が分裂しているだけなら、増えるだけしか能のない単なる細胞の塊です。これは腫瘍ですね。
でもそうはなりませんようね。

かといって、自分の意思で細胞をコントロールしているわけでもあありません。
食べたものを分解しろ、飲んだアルコールを解毒しろ、怪我したところをこの酵素を使って直せ、なんて意思で命令しませんよね。

どうやってコントロールしているのか、何が恒常性を保っているのか、このシステムの中に食べた食物の中にある機能を持った酵素が入ってきたらどうなるのか、食べた酵素が自分の思惑通り、都合よく働かすことができるのか、ちょこっと考えて見ましょう。


トンデモさんの主張
こんなこと当たり前と思うかもしれませんけど、酵素栄養学の巨匠たちにとっては当たり前ではありません。
二大巨匠のうちのひとりは次のように書いています。

鶴見式 酵素ダイエット レシピブック
マイナビ
鶴見 隆史

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Q:お酒に弱いのは酵素不足のせい?
A:アセトアルデヒド脱水素酵素が少ないせい。飲むときは生野菜や果物を。
 お酒に弱い人は、たしかにアルコールを分解する「アセトアルデヒド脱水素酵素」が少ないといえます。この酵素は生野菜や果物から摂れますので、お酒を飲むとき意識してたくさん摂るといいでしょう。


酵素栄養学なんて都市伝説かネタだろう、と思った人もいるかもしれません。
でも、しっかり、食べた生きている酵素がヒトの代謝の代役をしてくれると言ってるでしょ!
食べたナマ野菜の酵素が肝臓へ行って、アセトアルデヒドを分解してくれるらしい。ここまでストレートに(脳天気とも言う)書いてくれれば、むしろ清々しい気分になれます。

また、次のような文章が続きます。
受け狙い? 笑いをとろうとしてる?

分解には「水」も必要ですので、たくさんお水を飲んでください。弱くない人でも深飲すると二日酔いになるのは、アセトアルデヒドが分解しきれないから。生野菜、果物、水をたっぷり摂るようにしてください。

どうやらホンキらしい。


Q:酵素は胃酸で死んじゃう?
A:「胃酸失活説」は昔の間違った情報です。酵素の中には胃酸で失活するものもありますが、そのほとんどが腸で蘇り、腸で働くことがわかっています。


こうやってホラー話がコピペ拡散していくわけです。
言ったもの勝ちです。何でもありです。

そもそも「失活」の使い方が間違っていますけど。

次の「その09」ではこのQ&Aのおかしさをこれまでと違う角度からも検証し、まとめます。

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