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zoom RSS 古き良き博物学の時代

<<   作成日時 : 2012/04/25 00:54   >>

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2012年02月21日第1刷
少しボリュームがありすぎます。しかし、中身は濃い。
18世紀から19世紀にかけて、地球上の生物コレクションに明け暮れた時代のお話です。
帯には
「絶滅した巨大生物から未知の病原体まで」
「歴史的英雄から奇人・変人まで」

とあります。
英雄はリンネウスやダーウィンでしょう。
一方、奇人・変人はロスチャイルド家のはみ出し者など数多く登場します。奇人・変人ではありますけど、愛すべき人たちで、その後の世界に役に立った人たちの物語です。

新種発見に挑んだ冒険者たち 地球生命の驚異に魅せられた博物学の時代
青土社
リチャード・コニフ

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地球上の生物は一体何種類なのか? これは誰にもわかりません。新しい種が次々に誕生し、自然の力で次々と絶滅していることは確かです(環境主義者や先日の天声人語のように、人の手で絶滅した生物種を不当にカウントする人たちもいます)。
大型哺乳動物などはもう新種は見つからないかもしれませんけど、昆虫や微生物となると、まだまだ記述されていない生物が多いはず。

大航海時代に新天地を求めただけでなく、珍しい生物を集め、新種を発見することに情熱を燃やした人たちもいました。同時に「人種」の発見や分類も熱心だったようですが、その話はあまりふれていません。化石の発見も多様な生物の記述に大変重要なのですけど、それも一部に留めてあります。

もちろん、白人種の目から見た一部地域の一部の人たちの物語です。




本書に登場する時代的は、ダーウィンが航海に出る前から「種の起原」を出版する時期がすっぽり入っています。
ダーウィンの話も要所要所で出てきます。
ダーウィン自身も航海中に多くの生物標本を集め、本国へ送り、分析して貰ったり自分で分析したりしています。

いろんな人が生物の記述をしていますから、中には標本がなく想像上の紙の上だけの生物も雑じっていたりします。その辺がまたおもしろい。

もう大型哺乳類のカタログは完成した、新しい種の発見はないだろう、と思われていた時期にゴリラが見つかったときには、西洋人にとっては衝撃だったでしょう。
映画のキングコングのキャラとゴリラは全く違う生態や性格なんですけど、この時期に誤って広まったゴリラの話がキングコングのキャラに影響しているそうです。

映画のキングコングでは生け捕りにされたのが盛大なショーとして見世物になります。この時期のゴリラらを生け捕りにするのは難しかったようで、標本ではありますが、それでも衝撃的だったようです。
人間にきわめて近い霊長類の存在は当時の人々を不安に陥れたという話は、何となく理解できます。




動物や植物の新種を追い求めるだけでなく、人類の「新種」の発見にもいそしんでいます。ダーウィンのいとこであるゴルトンの時代の話でもありますから、優生学へとつながる話も出てきます。

白人至上主義者にとって、地球上での文明の発祥地にいた人たちが白人でないことはつごうの悪いことのようで、この辺の葛藤もおもしろい。




この物語の時代の終わりの方にヘッケルが登場します。
次の本はダーウィン年を記念して出版された本です。
反復説を唱えたあのヘッケルの画集です。

生物の驚異的な形
河出書房新社
エルンスト・ヘッケル

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ヘッケルによる詳細かつデフォルメされた動物や植物の絵が集められています。
1枚の絵にタコ類とかカエルとかトカゲとかをそれぞれ押し込んで書かれています。
反復説の有名な絵では種々の動物の胚の絵を縦方向に同じ長さに揃えて描いています。この画集でも縮尺を揃えずに自由に描かれた絵があり、一つの生物をいろんな角度から捉えたり、幼生と成体を交えたりと、おそらく生物の形態に詳しい人がみると楽しめるように書かれているのだと思います。




18、19世紀の日本はどうだったんだろう?この時期の初め頃、寺島良安による和漢三才図会が出ています。
下の2巻は妖怪系が載っているものす。
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全巻を通じ、生物をきちんと分類し、一つ一つの生き物に名前、簡単な絵、そして多くは「本草綱目」を引いていますけど簡単なコメントが載っています。
東洋文庫版は現代仮名遣いに書き換えてありますので、大変読みやすい。
シンプルな絵をながめているだけでも結構楽しい。




同じ頃の安永年間、石燕の手になる有名な本が出ています。
画図百鬼夜行です。
さらに当時の多くの絵師たちが妖怪をとらえ、収録しています。
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石燕などは1ページに1体の妖怪を描き、簡単なコメントを書いています。百鬼夜行絵巻だと、巻物に行進している妖怪たちが描かれています。

画図百鬼夜行
国書刊行会
鳥山 石燕

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これらも一種のカタログ収集、博物誌でしょう。
いずれも当時ちまたで流布していた怪異を絵にしているわけですから、実際に存在する生物ではありません。音だけの怪異を絵師たちによって視覚化されたものもあるようです。

妖怪と言えば水木しげる大先生。氏が生み出した多くのキャラクターのほとんどは、石燕の絵や柳田国男の文章を起源にしていると言われています。
また、京極夏彦氏の小説に出てくる妖怪も、この石燕の本からとられています。

同じ時代に洋の東西を問わず、未知の生物や怪異を追い求めカタログ化していたのは、おもしろいことです。、

博物館の特別展の図録など。
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