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zoom RSS これって「哲学」?

<<   作成日時 : 2012/04/12 20:52   >>

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2012年03月08日第1刷
2012年02月25日初版
通俗的哲学というのがあって、本物の哲学ではないけど、入門向けの哲学もどきというのがある。日常生活の生き方や道徳を語るらしい。
以前流行って、今はどこへ行ったかわからない「正義」のサンデルあたりもその仲間らしい。
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「いま使える哲学スキル」って表紙に書いてある、「深夜の赤信号は渡ってもいいか?」って本があります。
タイトルがおもしろそうなので、アマゾンのマーケットプレイスで買って読んでみました。

深夜の赤信号は渡ってもいいか? いま使える哲学スキル
さくら舎
富増 章成

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タイトルの話はp26に出てきます。
「あなたが、深夜の山奥で、人っ子ひとりいな横断歩道を渡ろうとします。もし信号が赤だったら、あなたはそのまま渡りますか。それとも、歩行者用ボタンを押して、静まりかえった道で青になるまで待ちますか」


言いたいことは痛いほどよくわかるんですけど、う〜ん。なんだかなぁ。
この問に答える前に、ひねくれ者は別の意味で立ち止まってしまいます。

そんな山奥なら、そもそも信号がないのでは?
昼間は車が通る道だとしても、深夜になれば、普通、点滅信号になりますよね。

自分の周りでは、たとえば大学に隣接する信号で、結構車が通る道でも、夜になると自動車の信号も点滅になり、早朝通るときでもまだ点滅なんだけど。
深夜の山奥なんでしょ? ちょっと設定がマズイのでは。

それに、歩行者用ボタンってことは、歩行者用の押しボタン式信号機ですよね。
それなら、ますます、この設定のような場所なら、最初っから点滅していると思うんですけど。
赤ですか???

ってのがいきなり出てきますから、つっかえてしまいます。
肝心の赤信号の件を考える余裕がありません。

なので、私の答えは、普通に渡ります!

気を取り直してして読み進めると、結構おもしろい。
いろんな哲学者が出てきます。
とはいっても、一部地域に偏っています。
日常的な事柄を哲学者の言葉を借りて色々と解釈しておられるわけですが、やっぱり通俗的哲学の域を出ない。なんだか、高校の倫理みたいだなぁ。と思っていたら、その通りだった。倫理の予備校の先生とのこと。それで納得。

高校の倫理って、あんまり思想的なことを考えさせるようになっていませんよね。それなりに考えてみようってコーナーがあったとしても、世界史に毛が生えた程度で、どう見ても歴史にしか見えない。
世界史でええやん。って感じ。

確かに日常的な問題点を提起しているところがあるのですけど、その掘り下げが浅い。
対象の読者からみて、それはそれでいいのでしょうが、遊びもなく、ただひたすら平坦です。

行儀よすぎて、真面目すぎます。毒がない。




次は「世界を変えた哲学者たち」。
同じく哲学の入門書ですけど、これは痛快。
おもしろすぎ。毒吐きすぎです。
二十世紀の哲学シーンを振り返るということで、ニーチェからはじまりサンデル、ローティーといったアメリカ哲学で終わります。15人出てきます。どれも秀逸。

世界を変えた哲学者たち (角川ソフィア文庫)
角川学芸出版
2012-02-25
堀川 哲

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この方の本を読むのははじめてでしたが、他も読んでみたいなと思わせる痛快ぶり。
断定的な物言いがなかなか心地よい。ここまで書くためには相当読みこなしていないと書けないなという感じで、通俗書のように、通俗書だけを読んで内容も通俗の域を出ない本とはちょっと違います。プロだから当たり前でしょうけど。

「p161 日本では哲学者や大学教授の社会的な発言には誰も注目しないし期待もしない。テレビなどのマスメディアにひんぱんに登場する教授はもうそれだけで軽蔑される」

確かにおっしゃるとおり。
その通り過ぎるんですけど、それを言っちゃあおしまいよ過ぎて、「何も言えねぇ」。

サンデルの項。
「p249 サンデルたちがハーヴァードの講義でとりあげるような問題を日本の大学生にやってみても、たいして関心をひかない。関心があるようにみえるばあいでも、それは無理しているか、ものめずらしかからの関心である」

いやぁ。ごもっともで。ついでに大学生に限らず、テレビでありがたがってご拝聴している文化人たちも同じでしょう。

痛快すぎて「何も言えねぇ」。

もちろん、引用したような毒ばかりでなく真面目に分析しておられます。

なぜサンデルは日本人に受けないのか。
知らないエピソードがいろいろと書かれており、いずれも納得。
そうだったのか。ならそうだねぇ。

私はサンデル本を2冊しか読んでいません。「正義」本だけで充分だし、2冊目は、あのサンデルの本と知らずにタイトルのおもしろさだけで買った本で、読み終わって解説を読んでから気がついた。

確かにサンデルはおもしろくない。使えないし、タメにならない。
これが「哲学」っていうのもなんか引っかかる。哲学者が出てきて哲学者の考えが紹介されているけど、でも「正義」の話って、哲学なの? というのがずっと引きずってしまう。

哲学と切り離せば、ちょっとは読めるかも。

サンデルの思想はこうだという解説本は色々出ているようですが、この本のような切り口で、なんで日本人に受けないのかを解説してくれる本は、多分あまりないと思う。

たぶん、池田晶子氏が存命中なら、痛快なエッセイが読めたかも知れません。この人ならどんなことを書いてくれただろうと想像するのは楽しいのですけど、今回の本のようにきっちり切ってくれる人がいると知って、うれしくなった。

他の哲学者のエピソードも知らないのが多く、大変タメになる。
著者独特の断定調の文体で、痛快に言いきってくれるので、楽しみながら一気に読めます。

レーニンの話なんか、通俗書には出てこない内容だし、ハイエクはケインズとの対比で、もう涙なしには読めない。ヴィトゲンシュタインは、もう神です。

最後に出てくるローティ。
残念ながら、この人の本は読んだことがない。「柏木達彦の多忙な」シリーズによく出てくるので、その程度しか知らなかった。なので、タメになった。
柏木達彦シリーズ(一応小説)、科学哲学からはじまって、哲学の多様な場面を対話式の小説仕立ての本です。

授業のシーンもあり、その進め方がなかなかおもしろく、問題提起からその解決法にいたる道筋がシッカリ書かれています。実は、その方法をちょっとパクッてマネさせてもらっています。



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で、科学哲学といえば、沢山ありすぎるほど本が出ているわけですが、
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その中でも秀逸は飲茶さんかもしれない。
まだ本になる前のWebサイトに書かれていた頃からのファンで、そのころからWebサイトの内容を引用しながら授業で使わせて貰っていたわけですが、Webサイトの内容がそっくりそのまま本になって(この点だけ私とよく似ている)、あれよあれよというまに偉くなれました。

哲学的な何か、あと科学とか
二見書房
飲茶

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科学哲学の項目では、権威主義、帰納主義、論理実証主義、反証主義などが独特の文体でわかりやすく書かれており、はじめて学ぶ人にも取っつきやすく、理解もしやすい(つまり、門外漢が授業で紹介するネタとしても使いやすい)。
ちょっと気持ちの悪いたとえ話などが出てきますけど、哲学の本質を突く真面目な記述もあり、考えさせてくれます。


この方の新刊が今日(2012年04月12日)の朝日新聞の広告にも載っていて、緊急重版決定、話題沸騰、とのこと。

通俗哲学書なら通り一遍の思想史のようなものはわかった気になりますけど、うわべをなぞっているだけですから、血を吐くような思考が見られませんし、覚悟も見えてきません。
しかし、この方の哲学は、本を書くために会社を辞めるほどの覚悟と本気度が見えてきて、読む方も気合いが入ります。書かれている内容の真偽はともかくとして。


史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (SUN MAGAZINE MOOK)
マガジン・マガジン
2012-03-14
飲茶

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現在、アマゾンでは在庫切れで、新刊で買うことが出来ません。
発売直後、大学生協には平積みしてありました。
最近生協に行ってないので、どうなったか知りません。
多分売れてるでしょう。

分厚い本ですけど、一気に読み終えました。
長くなりそうなので、また後ほど。

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