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zoom RSS ニセ科学の生産 農林水産省監修のトンデモ本 その後(再掲載)

<<   作成日時 : 2010/10/15 01:33   >>

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○ニセ科学の生産 農林水産省監修のトンデモ本(再掲載)
http://yoshibero.at.webry.info/201010/article_65.html
の続きです。
訳あってちょうど2年前に削除していたエントリーを復活させます。
アップしたのは 2007/06/24 00:51  ですから、3年少し前です。
対象の本の紹介サイトは閉鎖されています。
続編も出ていません。
話題となっている秋川牧園や木次乳業の姿勢を
悪いとは思っていません。
このブログで両者とも多くの商品に登場してもらってますけど。

問題は、対象となった本が農林水産省の監修だという、
ただその一点だけです。
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ニセ科学の生産 農林水産省監修のトンデモ本 その後

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まんが農業ビジネス列伝 vol.5 山口県―食と農の未来を拓く挑戦者たち (5)
以前、ニセ科学の生産 農林水産省監修のトンデモ本 と題するブログを書きました。
農水省が監修する本なのに、農薬や遺伝子組換え作物を徹底的にこき下ろしていたので、本当に監修したの?という内容でした。
実は、ブログにアップする3日前(土曜日)に、ブログとほぼ同じ内容で「農林水産省中国四国農政局」宛に質問メールを出しました。
もしかしたら中国四国農政局は中央の方針にたてついて独自路線に走っているのかも、と心配し、いろいろと質問しました。
返事はあまり期待していなかったのですが、「中国四国農政局企画調整室」から質問から5日後(木曜日、ブログ掲載から2日後)に返事が届きました。
もともと公開するという前提で質問メールを出したわけではありませんので、そのお返事の全文を公開することはできません。
しかし、そのお返事は大変興味深いものであったこと、また、最近、このシリーズ本すべて(農水省中国四国農政局監修本は一挙に9冊同時刊行されています)を読む機会がありましたので、あわせて感想をしたためることにしました。


問題の多い第5巻以外、ほとんどは、次代を担う子供たちに農業の良さをわかってもらうという企画に沿ったよくできた本だと思いました。
農業のすばらしさを伝えようとする意気込みが伝わってきました。
あるひとつの巻だけはストーリー展開が唐突すぎる以外、ストーリーもよく考えられていると思いました。

このシリーズ本全体が変なのではなくて、問題の第5巻のみが突出して変であることがわかりました。

そのことは、各巻のタイトルからも伺えます。
各巻の表紙に大きな字でタイトルが書いてあります。

中四国には9つの県があります。
このシリーズ本の全9巻は、それぞれのお国自慢の商品などモチーフに、農業に親しんでもらおうと意図で描かれた漫画本です。
たとえば、岡山県は「ピオーネ王国への道」、鳥取県は「鳥取ナシ物語」と非常にわかりやすいタイトルと内容で、徳島県は大ブレークしている「つまもの」の物語、「葉っぱがお金に化ける?!」といった調子で、それぞれの特徴ある特産品が物語のネタになっています。
香川県はもちろん讃岐うどん。讃岐うどん用の小麦の新品種開発物語です。

そんな中で、問題の第5巻のタイトルは「食の安全・安心の実現に挑む」
このタイトルが表紙にでかでかと書いてあるわけです。
明らかにシリーズ本の中で浮いたタイトルになっています。

実は、もうひとつ浮いたタイトルの巻があります。
それは第2巻で、「農のはぐくむもの」
第2巻は、ある酪農家の物語です。
「人様の口に届ける以上、ベストを尽くすべきだ」との信念で、「低温保持殺菌法」、化学肥料・農薬を使わない、有機農法などが話題になっています。
農水省は必ずしも、「低温保持殺菌法」だけを推奨しているわけではありませんから、その点をわきまえた上でのストーリー展開になっていると感じました。
追い打ちをかける用語集などはなく、農薬や有機農法の話も、農薬の害があった、今のように規制されていない昔の話としてのみ登場します。
今どうなっているのかの描写がないのが残念ですけど。

つまり、この第2巻も他のシリーズ本から浮いたタイトルになっており、農薬や有機農法などが話題になるのも浮いたタイトルをつけている第2巻と第5巻だけですが、第5巻ほどこれらの話題に力を入れていませんでした。


それだけに、問題の第5巻は突出しています。

このような事情をふまえた上で、中国四国農政局からのお返事を読み直してみました。

中国四国農政局からのお返事の概要は以下の通りです。
 ・まず、型どおりに、このシリーズ本の意義の説明
 ・問題の第5巻の概要の説明
 ・農薬、遺伝子組換え作物に対する農水省の基本的な姿勢の説明
 ・本冊子は「食の安全・安心」 にかかる本ではないこと
などが書かれていました。

最後に「辛口のご指摘も大いに歓迎」という文章がありましたので、実はもう一回メールを出しました。

そのメールの内容をベースに、もう一度第5巻を検討することにします。
ちなみに、二度目のメールの返事は受け取っていません。
やっぱり、「歓迎」というのは、官僚用語のようです。

----------

先のメールではいろいろ書きましたが、一番言いたかったことは監修者としての注釈がなかったことが残念だ、ということにつきます。
お返事いただいた内容の一部でも本書に注釈として書かれていれば、それだけでいい本になっただろうにと思ったわけです。

これが大人向けの本で、農水省の関与していない本であれば、なんら問題はないと思います。
遺伝子組換え技術が大嫌いな人は実際にたくさんおられ、その人達が喜ぶ本を、この出版社(家の光協会)が出版するのも、別に問題にしません。
しかし、このシリーズは子供向けであり、なおかつ農水省が監修している本ですから、その点にこだわったので、先のきついメールになってしまいました。

----------

お返事の中で、農薬や遺伝子組換え作物にかんする「我々のスタンス」というのを述べておられます。
その「我々のスタンス」の内容は、きわめてまっとうな科学的な考え方です。
つまり、農薬や遺伝子組換え作物を嫌う多くの市民団体などの主張とはまるっきり反対の考え方です。

----------

先のメールにも書きましたが、監修とは正しい注釈を加えることだと思います。
この「我々のスタンス」が、なぜ、注釈として書かれなかったのでしょうか?
この文章が本書にあれば、先のメールを差し上げようとは考えませんでした。
ここに書かれた「我々のスタンス」は、まともな大人にとっては当たり前のことです。
しかし、一部の大人やマスコミ、学校教育の中では、これが当たり前でないという悲しく悲惨な現実があります。

だからこそ、お返事に書かれた「我々のスタンス」を注釈で書き加えることに意義があると思うのです。
最後の用語解説の所に書き加えておけば、本文の「感動物語」に水を差すことにはならないと思います。

しかし、現実に、本書に書いてある解説は、たとえば遺伝子組換え技術の解説に限っても、「我々のスタンス」とのあいだに、大きな隔たりがあり、そればかりか、全く正反対のことが書いてあります。

--------

次のようには書いていないとお返事では主張されます。

 ・薬ゼロは安全である。
 ・動物性飼料は危険である。
 ・non-GMOは安全である。

また次のことを否定しているわけではないとも書かれています。

 ・抗生物質入りの飼料
 ・動物性飼料
 ・GMO飼料
 ・ポスト・ハーベスト等

さらに

 ・この冊子は、食の安全・安心の本ではありません。

とまで書かれています。

このように、中国四国農政局からのお返事には多くの詭弁がみられます。
まるで国会答弁のようなものです。

それぞれ、順を追って検討しましょう。

--------

確かに本文の中に上記のような「安全」「危険」の表現はありません。
しかし、これは大人の論理であって、完璧な詭弁です。
子供たちに、そこまで裏を読めと期待するのは酷な話です。

主人公がはっきりと「口に入るものに間違いがあってはならない」と言っており、そのためにいろんな困難を克服するという物語ですから、「薬ゼロ=安全」、「動物性飼料=危険」、「non-GMO=安全」というわかりやすい(ありがちな)考えがないと物語は成立しません。
主人公は「安全なものを提供」という言葉を繰り返しています。

その実現のため、薬は絶対に使わない、動物性飼料も使わない、遺伝子組換え作物も使わない、という考えで、これらを含まない肥料を作ったり探したりする困難克服物語です。
しかも、過去のことだけではなく、現在も続いている考えとして物語は作られています。

たとえば、「遺伝子組換え作物を使わなければ安全であるとは言っていない」と主張されますが、主人公は遺伝子組換え作物を拒絶しており、その理由は「安全なものを提供」するためです。そうであれば、遺伝子組換えでない作物は安全であって、遺伝子組換え作物は危険なものと判断するでしょう。
この物語を読んで、遺伝子組換えでない作物は安全であるという意味ではありませんよ、と子供たちに理解させることができると考えられているのでしょうか。

あるいは、「薬ゼロは安全とは言っていない」と主張されますが、これも、物語では薬ゼロを目指し、それが実現できたとしています。もちろんその理由は「安全なものを提供」するためであり、「口に入るものに間違いがあってはならない」というものです。
この物語を読んで、薬がゼロというのは安全という意味ではありませんというように、子供に理解させるなんて、ナンセンスです。

また、「動物性飼料は危険とは言っていない」と主張されますが、「安全が確認できないエサをうちの鶏に食べさせるわけにはいかない!!」と主人公は言っています。そして、動物性飼料を拒絶されます。それに成功したという物語です。
その物語を子供が読んで、この物語では動物性飼料は危険だということを言ったのではありませんよと、深読みさせるのは酷な話です。



お返事の中で、抗生物質入りの飼料、動物性飼料、GMO飼料、ポスト・ハーベスト等を否定しているわけではないとも述べられています。

しかし、これも苦しい言い訳です。

現実の物語では、これらをすべて完璧に拒絶し、その拒絶に成功したとし、拒絶したままで終わっています。
だからこそ、この物語は一農園の物語に過ぎないのであって、農水省としてはこの考え方とは違うと言うことを是非とも注釈するべきだったと思います。

私が質問調で書いてしまったので、「当農政局は否定しているわけではありません」と書かれただけだと思いますが、「否定しているわけでない」と考えながら、本書で沈黙していたのでは、否定しているように受け取れます。

子供たちに、「この本を作った人たちは、本当は逆のことを考えているんだけど、そして、そのことはどこにも書いてないんだけど、そこんところをよくくみ取って読んでね」というふうに解釈してもらうことには無理があるのでは、という意味です。



さらに追い打ちをかけるのは、「食の安全・安心」にかかる本でないとの詭弁です。

表紙に「食の安全・安心の実現に挑む」と大きく書いてあります。
ちなみに、私がこの本を読もうと思ったのは、このタイトルが検索に引っかかり、ネットでこの表紙の写真を見たからです。
「食の安全・安心の実現に挑む」と大きく書かれているわけですから、どのような考え方から「食の安全・安心」の実現に挑もうとしているのかと思って購入しました。
農林水産省企画・監修の名前も見えますし。

「食の安全・安心」の本ではないという主張の中に、「食の安全・安心」が主題なのではないから、この点にケチつけるのは筋違いだといっているように聞こえます。

----------

実際、お返事には、このシリーズはコミック版プロジェクトXであって、困難への挑戦→克服→感動の物語だと書かれています。

----------

これも、おっしゃりたいことがよくわかるのですが、その言い方だと、単に、困難克服の感動物語であれば、内容などどうでもいいという風に聞こえてしまいます。

そもそも「困難への挑戦」の「困難」が主人公の単なる思いこみですし、「我々のスタンス」ではこれは「困難」ではないはずですし、したがってそれを本来「克服」しなければならない理由もないはずです。
この物語から、もし「感動」するのであれば、農水省として考えている「食の安全・安心」を全否定しないと「困難への挑戦→克服→感動」というストーリーは成り立たないのではないでしょうか。

しつこいですが、この本のタイトルは「食の安全・安心の実現に挑む」です。
「食の安全・安心」の本ではないと言い訳されていますが、どうみても「食の安全・安心」が主題のひとつです。
このタイトルとこの内容でありながら、「食の安全・安心」の本ではないと言い切れる厚顔さはなんなのでしょう。

この本のタイトルにある「実現に挑む」ために、農水省のスタンスを全否定して、その反対の道を歩む物語です。
そして、それが様々な困難にすべて打ち勝って実現したという感動物語です。
農水省のスタンスを全否定していて、それでいて、農水省は全くそのことに注釈を加えず、その本の監修をしてお墨付きを与えているわけです。
変だと思わなかったのでしょうか。

このストーリーで「農業の持つ可能性を知ってもらうこと」には無理があると思います。
単なる感動物語だけであれば、農水省の監修でなくてもいいと思いますし、わざわざ小中学校に寄贈する必要もないと思います。

中四国のすべての小中学校に寄贈されるということは、副読本にして使って欲しいとの意図だと解釈しています。
したがって、学校で教えるのに耐えうる内容である必要があると思います。

さらに、「用語解説」が巻末にあります。
用語解説があるということは、「感動物語」で伝えられなかったことの補足や解説として作られたものと解釈します。
そうであれば、出版社の意向(だと私は思っています)にそった解説だけではなく、農水省としての見解を明確に用語解説に載せるべきだったと思います。
その注釈を加えることはできたと思いますし、一読するだけでその必要性を感じたはずです。
編集の途中に、この内容での出版にストップをかける機会があったはずです。

また、子供向け、だからといって、いい加減な内容でいいわけではないと思います。
遺伝子組換え技術の説明(遺伝子に遺伝子を打ち込む、カビの遺伝子、交配の説明、安全性や環境への影響)などに、明らかな間違いや詭弁があります。
(この件を含め科学的なことにかんするお返事は全くありませんでした)

先のメールにも書きましたが、この出版社や一般の市民団体がこのレベルの用語解説を書くのは、ある意味仕方がないですし、読者もそう思って、その程度のレベルだと思って読んでいると思います。
しかし、農水省監修の本としては、このレベルの解説ではよくないと思います。
もちろん、やさしくとか難しくとか言う話ではなく、正確に、科学的に正しくという意味です。



この農園の行っている活動に対して、私はどこも悪いとは思っていません。
この農園に抗議しようとか、ボイコットしようとか、そんなことは一切思いません。
どのような方針で農園を経営されるかは自由です。
この農園が消費者の意向に沿って、売れるものを作りたい、というのも、よくわかります。
農業の発展を祈る気持ちも同じです。

また、この出版社がこの内容で本を出すというのも、よくわかります。
この出版社ならありがちな本だと思いますし、このような内容の本を出版すること自体、悪いとは思っていません。
それぞれ、一私企業のやっていることです。

しかし、しつこいようですが、、、少なくとも国の公的機関である農水省監修の子供向けの本ですから、それなりに責任を持った監修をしていただきたかったわけです。
また、子供たちに農水省がなにを訴えたいのかわかるように、悲惨な日本の自給率を上げ、日本国民の胃袋を満たすための農業はどうあるべきか、農水省の顔が見える正しい注釈付きの本にもしていただきたかった、と残念に思うだけです。


お返事の中で、言い訳と詭弁はたくさん書いてあり、本書の内容が「我々のスタンス」と違う内容であることを認めながらも、何度も私が質問した監修者としての責任の部分には一切触れられていませんでした。
この点でも非常に残念に思います。


私には、農水省が、この本のどこにいるのか全く見えませんでした。

「食の安全・安心」をテーマにするなら(これがテーマでないとおっしゃってますが)、非現実的な極端な一部の過激な人たちの話を紹介するのではなく、多くの農家が実践しておられる実情に即したお話にするほうがよかったのでは、とも思いました。

(他のシリーズ本ではそれが実現していることが、後にシリーズ本全部読むことでわかりました)


やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)


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