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zoom RSS 健康・栄養食品アドバイザリースタッフの教科書

<<   作成日時 : 2010/09/04 02:17   >>

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食品の安全に関連した資格はたくさんあるようです。
たとえば、講演したことがある「健康食品管理士会」とか
「日本フードスペシャリスト協会」とか、、、
少し前ですが、
「健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック」
という本を買いました。
国立健康・栄養研究所監修の本で、第7版です。
第1版が2003年に出版されていますので、
毎年のように改定されています。

健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック
第一出版
国立健康栄養研究所

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アドバイザリースタッフ、というカタカナ用語が気になりますけど、
健康食品や栄養食品について科学的な判断ができる人材のようです。
いずれも食品ですから、安全性が問われるのはもちろん、
「有効性」についても、科学的、客観的に判断する応用力が
問われています。

この本は、このような人たちのための、教科書です。

値段の割には情報量も多く、1冊にまとまっているという点で
結構使えます。

栄養学的な基礎知識から、具体的な健康食品のまとめ、
表示制度、リスク管理、関連法規など幅広く書かれています。
「遺伝子組換え食品」についても、短いながらもまとめてあります。

このブログでお馴染みの「酵素」「コラーゲン」も
丁寧に説明されています。

ニセ科学の本ではお馴染みの、
科学的根拠に基づく情報の取捨選択の仕方も1章をさいています。

網羅的ですから、読み物としては使えません。

項目毎に著者が異なりますので、記述のレベルに差があります。
初学者には、かゆいところに手が届く、というわけにはいかない
かもしれません。
それでも、酵素栄養学や健康食品やサプリメントに
なんとなくうさんくささを感じ始めた人にも有用だと思います。




日本は、健康食品・サプリメント大国だそうです。
以前、何かの講演を聞きに行った時にも出てきたデータですが、
アメリカ 2.5 兆円
EU 約2兆円
日本 約1.8兆円
その他 約2兆円
だそうです。
p216(Nutrition Business Journal (2009)からの引用)

一人あたりに換算すれば、
日本で消費される健康食品・サプリメントは異常に多い。
もちろん、国ごとに定義や法律が違いますので、一概には言えませし、
その辺はきちんと分析されています。

いずれにしても、余ったお金でか、なけなしのお金でか知りませんが、
日本で健康食品などがかなり消費されていることは確かです。

そんな中で、怪しい商品が出回っていることは確かですから、
これらをどうとらえ、指導していけばいいかというのが本書の狙いです。


第1章は栄養学の基礎知識。
このブログでも高分子であるタンパク質と分解されてできるアミノ酸の
違いについて、いろいろと書いていますけど、
マスコミに登場する「専門家」の中には栄養学の基礎知識が
乏しい人がいることを痛烈に批判することから始まっています。
(そういえば、今日もテレビに出てましたねぇ)

食べたものがどのように分解・消化されて栄養となっていくか、
小学校や中学校で習う当たり前のことが意外と知られていません。
この当たり前のことが知れ渡れば、
この業界も健全なものになることでしょう。




p49からの「食品の成分変化と栄養」がおもしろい。
貯蔵や加工により
栄養成分などがどのように変化するかがまとめられています。
ナマ食命の人にも読んでもらいたいものです。

p53からの「健康食品の消化と吸収」はなかなかよい。
食物に含まれる高分子化合物に焦点を当てています。

このブログで何度も取り上げている、コラーゲン、酵素、核酸
といった高分子化合物について、具体的に説明してあります。

総論の後、「酵素」、「コラーゲン」、「核酸」について
それぞれ基礎、具体的な宣伝文、そのおかしな点など
まとめてあります。

具体例の取り上げ方がちょっとずれているなと感じ、
また、科学的な論拠として一般の人にもわかりやすくするためなのか
「動的平衡」の方のちょっとヘンな論を引用しているのが気になります。

それらを差し引けば、なかなかよくまとまっていると思います。




高分子化合物が含まれていていると称する健康食品があり、
高分子化合物の重要な機能を説明し、
年齢とともに減少するので、この大切な高分子化合物を
摂取する必要があるという、
いわゆる「黄金パターン」をよく見かけます。

これらの高分子化合物は全く構造の違う低分子化合物に分解され、
吸収されるわけですが、たとえそのことがわかっていても、
伝統的な美容食にはそれなりの効果があるはずだ
と主張する人もいます。

どんな食材でも、いろんな化合物が含まれているわけですから、
そんな食品でもそれなりに機能は期待できます。
しかし、その中にコラーゲンが入っているからといって、
美容食としてコラーゲンが効いているとは言えません。
その「美容食」を説明するのに、
なぜ無理矢理コラーゲンを出してくるのか理解に苦しみます。


核酸や酵素の話とも関連しますけど、
高分子の化合物を摂っても分解することは百も承知。
でも、その分解物に効能があるんだ、という、
悪あがきとしか思えない話もよくあります。

コラーゲンなら、分解してできたジペプチドに効果ありだとか。
あまりその手の研究がやられていないので残念だとか。

普通、
高分子化合物の分解物がその高分子化合物の合成を促進するかも
といった発想はわいてきません。
研究費も人手も時間も限られている中、何も好きこのんで、
こんな研究をする人はあまりいないでしょう。

タンパク質なら、分解されてアミノ酸になり、
個々のアミノ酸には固有の機能があるのは当たり前ですから、
コラーゲンや酵素を分解してできたモノになにがしらの効果が
あるのは当たり前です。
しかし、その低分子の機能が元の高分子の合成に密接に関わっている、
というデータは見たことがありません。

「核酸」も同様です。


核酸というのは罪作りな言葉です。
普通、研究者は「核酸」という言葉を使いません。
あいまいで、モノとしての実態がつかみきれないからです。

それをいいことにか、あるいは単なる無知からか、
核酸栄養学というのが意外と幅をきかせているようで、
ワザとなのか無知なのか知りませんが、
DNAやRNAや遺伝子やゲノムやヌクレオチドやヌクレオシドなど、
すべて「核酸」で説明する説もあります。

これもタンパク質(コラーゲンや酵素)の例と同じように、
高分子としてのDNAやRNAの機能、あるいは遺伝子の働きを説明し、
摂るとよい、摂る必要があると説明されます。
あるいは、これまた同じように、分解されるのは百も承知である。
分解された核酸が大切なんだと、
これまた悪あがきの説明もよく見かけます。




この「テキストブック」では、「動的平衡」の先生のヘンな説を引用するだけで、
具体的な健康食品やサプリメントの宣伝戦略の分析が弱く、
分解してできた低分子化合物の機能を説明することで売ろうとする商品の
分析が弱いと感じました。


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「核酸」のおばあさまは87歳に戻られました。
我が家では朝日新聞を購読しています。 健康食品関連の全面広告がおもしろい。 の書き出しで、「核酸」の広告を取り上げたのは2009年05月。 もう3年も経ちました。最近ちょっと変化があったようです。 ○新聞広告に登場する健康食品のモデルさんはサザエさん方式らしい http://yoshibero.at.webry.info/200905/article_16.html ...続きを見る
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