やさしいバイオテクノロジー

アクセスカウンタ

zoom RSS 遺伝子組換え作物 書籍から ナマ食信仰と進化

<<   作成日時 : 2010/06/15 02:45   >>

面白い ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

遺伝子組換え関連の感想を書くと言ってから、サボっています。
今回登場するのは、前回予告した本ではなく、別の本です。
途中から脱線します。
画像


帯刀益夫著
われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、
 われわれはどこへ行くのか
ハヤカワ新書juice
\1,470
2010年05月25日初版




ゴーギャンの絵のタイトルと同じ本書は、生物としての人間の歴史を
多角的に論じています。
人類のの誕生、人の生物としての特徴、そして、未来の展望。
それぞれ興味深いトピックスを交えて論じています。

最後のほうの「持続可能人間の未来を求めて」という章に
遺伝子組換え作物は安全で有効な作物である」という項があります。

人類1万年の農業の歴史で、品種改良は
遺伝子組換え実験の歴史的な積み上げによるものといってもよいもの
と位置づけ、近年の遺伝子操作技術は
「飛躍的に速い速度で、意図的に優れた品種を作り出すことができるようになった
と説明しています。

それを踏まえ、遺伝子組換え作物の種類や現状を説明し、
次のように断言しておられます。

組換え食品がとくに安全でないという主張は、まったく科学的な根拠を持っていないので、消費者に正しい認識を与えることが必要です

そこまで断言するのは勇気がいることですけど、まぁ本音ですね。


消費者に正しい認識を与える」という上から目線ですが、
実際、ハナから受け入れようとしない、
単なる感情的な反対論を主張する人たちがいることも確かです。
その場合、「正しい認識を与える」努力は単なるムダでしょうから、
ほどほどにしておかないと、疲れるだけです。


遺伝子組換え作物の環境への影響を懸念する人もいます。
こぼれタネと思われる遺伝子組換えナタネがはえているのを
見つけただけで、鬼の首を取ったように
「危険性」や「遺伝子汚染」を主張する人たちもいます。
困ったものです。

この本には、その困った人たちへの解答もきちんと書いてあります。

このブログにも、こぼれタネが見つかったと、嬉しそうに
トラックバックをつけている人もいます。
○遺伝子組換え飼料不使用食品25 マヨネーズ
 http://yoshibero.at.webry.info/201005/article_2.html
その影響がどの程度なのか、
専門家の意見を読むなり聞くなりされた方がよろしいのでは?




遺伝子組換えネタとは違いますけど、
人類の進化の中で、興味深い話が載っています。

食材はヒトの遺伝形質を変えたか」p188
火を使って調理することが正の選択に影響した

タイトルの通りの内容で、
ヒトは加熱した食物を食べる唯一の霊長類であり、火をうまく使うようになった最も初期の証拠は、四○万年前にまでさかのぼることができます

そう、ヒト以外の動物は火を使いません。
ヒトだけが料理した物を食べます。
ヒトだけ生(ナマ)食ではありません。

このネタとして、まとまったおもしろい本も出ています。

ランガム著、依田卓巳訳
火の賜物 ヒトは料理で進化した
NTT出版
\2,520
2010年03月31日初版第1刷

火の賜物―ヒトは料理で進化した
エヌティティ出版
リチャード・ランガム

ユーザレビュー:
「料理」をキーワード ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る



少しだけ触れておくと、
火の使用を「われわれはどこから・・・」では40万年前としていますが、
「火の賜物」では180万年としています。
しかも、「ヒトは料理で進化した」という大胆な仮説です。
この本の感想はいっぱいありますので、別の機会に。

「われわれはどこから・・・」にもどると、
加熱料理することで、ヒト独特の食事スタイルが生み出され、

肝臓や腎臓などの特定の臓器の代謝経路において、関連する遺伝子の発現量の調節を強い、それが、現代のヒトへとつながる進化をもたらした可能性があります

ちなみに、「火の賜物」では、遺伝子発現の話は全く出てきません。
あっ、遺伝子発現というのは、
遺伝子が転写や翻訳されるときの調節です。
って、余計ワカランか。

この仮説は十分あり得る話だと思いますが、
証明するのは容易ではありません。
ヒトとチンパンジーの発現を直接比べただけでは分かりません。


そこで、おもしろい実験が紹介されています。

マウスにヒトとチンパンジーの典型的な食事を与えたとき、マウスの遺伝子発現にどのような差が出るかを観察した人がいました

きちんとした対照実験を含めてやってみると、

肝臓での遺伝子発現のパターンにかなり差があったそうです。
脳での遺伝子発現には差がないことから、
全体的に差が出るわけではなく、臓器特異的らしい。

どんな遺伝子に差が見られたかというと、
この実験とは別に確認されている、
単にヒトとチンパンジーの肝臓での遺伝子発現の
差が見られた遺伝子の1割は、
ヒトとチンパンジーの食事を与えられたマウスの肝臓での発現に
差があった遺伝子だそうです。

ややこしいですね。


ようするに、ヒトとチンパンジーは、
塩基配列で見るとそれほど違いがないのですが(99%は一致)
つまり、持っている遺伝子の種類もよく似ているのですけど、
その発現パターンが違います。
肝臓でもヒトとチンパンジーで同じような発現をするものから
異なる発現をするものまでいろいろある。
そのうち、ヒトとチンパンジーで違う発現をする遺伝子のいくつかは
食べ物の違いによって生じていたことが分かったわけです。

さらに、おもしろいことに、
食べ物の違いによって発現が異なる遺伝子は、
他のランダムに選んだ遺伝子よりも
その構造(つまり塩基配列)も調節領域(転写因子の結合するところなど)も
大きな違いがあるそうです。

つまり、ヒトとチンパンジーは
トータルで見ると、塩基配列に大きな違いがないわけですが(1%強)、
遺伝子を個別に見るとほとんど同じ塩基配列のものから
大きく異なるものまであって、
さらに、遺伝子領域がよく似ていても、その上流の遺伝子調節領域は
異なるものもあります。

そんななかで、食べ物によって異なる発現パターンを示す遺伝子は
遺伝子の塩基配列も、
その上流の遺伝子調節領域も違いが大きいことから、
そこで自然淘汰が働いたことになります。
「適応」ですね。

これは、なかなかおもしろい。


で、実際、どんなものをマウスに食べさせたかというと、

コントロールのマウスは、例の固形飼料。
といっても、マウスを飼ったことがない人には分からないかもしれませが、
円柱形の不味そうな餌です。
この中には
カロリー比率でナマのタンパク質(19%)、ナマの脂肪(3.3%)が
含まれているそうです。

チンパンジー食としては、ナマのバナナ、りんご、ぶどう、キウイ、
パイナップル、マンゴー、セロリ、赤カブ、キュウリ、ピーマン、
トマト、ニンジンといった菜食主義者のエサです。
結構豪華。
チンパンジー食と言っても、野生のチンパンジーが食べるものではなく、
ヒトの菜食主義者の食べ物なのね。


ヒト役のエサは、
ルッコラ、リゾット、ゆでたジャガイモやキャベツ、焼いた鳩胸肉、白米、
焼いたズッキーニ、煮たトマト、野菜クロッケー、ザウアークラウト、
パンケーキ、ローストビーフ、パスタ、天ぷらなどの美食家の料理です。
どんな食事なのか想像できません。

ヒト役はもう一つあって、
マクドナルドのチーズバーガー、フライドポテト、アップルパイ、
チキンマックナゲット、果物、ヨーグルト、ベーコン、マックマフィン、
卵などだそうです。
なんで特定のメーカのものばかりなのかは不明ですけど。
もしかしたら、その影響を見たかったのかな?


これらを4群のマウスに食べさせたそうです。

美食家とファストフードの違いも知りたいところですが、
引用してないので分かりません。

この点も含め、この論文、読んでみたいんだけど、
この本には、引用文献や参考文献は一切ないのでわかりません。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

関連リンク集

遺伝子組換え作物 書籍から ナマ食信仰と進化 やさしいバイオテクノロジー/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる