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zoom RSS おとなの楽習 理科のおさらい 生物---遺伝子くみかえの法則

<<   作成日時 : 2010/01/31 01:25   >>

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「現代用語の基礎知識」の自由国民社から
「おとなの楽習」シリーズが出ています。
大人のための新しい教科書シリーズで、
「なんで中学生の時にちゃんと学ばなかったんだろう」
ということで、中学レベルのおさらいシリーズです。
私も含め、誰しも、中学レベルのことも知らないこともあるわけですから、
有意義な企画だと思います。
で、最近発売になった「生物」を読んでみました。
画像





理科のおさらい 生物 (おとなの楽習)
自由国民社

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最後のほうに
遺伝子組換え作物は本当に安全なの?
という項目があります。
なかなかおもしろい。


まず、除草剤耐性や害虫抵抗性の話。

細菌から見つけてきた除草剤を分解する酵素の遺伝子が導入されたダイズには、自然のダイズに比べて、強い除草剤を使っても大丈夫になり

強い除草剤」は遺伝子組換えに反対する人たちがよく使いますね。
何度も書いてきたことですけど、「強い」わけではなく
「非選択性」なだけです。
この違い、大変重要です。
「強い」という言葉で、人にも環境にも悪い除草剤を使っているぞと
脅したい(実際脅している人もいる)のでしょうけど、
少なくともヒトに対する急性毒性は食塩以下です。
つまり、食塩より安全性が高いわけです。

それ以上に問題なのは、除草剤耐性遺伝子産物の説明です。
市販されている除草剤耐性遺伝子組換え作物に導入されている
遺伝子として
除草剤を分解する酵素の遺伝子」というのを聞いたことがありません。
いつの間にこんな遺伝子が発見されてたんでしょうか?
まぁ、こんな遺伝子があれば便利でしょうけど。
グルホシネートをN-アセチル化して、
除草剤としての機能を失わせるという酵素ならあります。

細かいことですけど、
自然のダイズ
って何だろう?
非遺伝子組換えのことなんでしょうけど、
品種改良された野生とは異なる植物が「自然」ってヘンですね。


細菌の持つ殺虫性の酵素の遺伝子をトウモロコシに導入して、殺虫性の強い遺伝子組み換えトウモロコシも作られています

Btトキシンって、酵素だったの?
蛇足ですけど、この項でこの一カ所だけ「遺伝子組換え」です。
他の12カ所は「遺伝子組換え」です。

このトウモロコシを食べた害虫は腸が破れて死んでしまう


なんだか怖ろしい「酵素」ですね。
はじめて知りました。
だから、「遺伝子組換え」なのかな?




次は、安全性の話。

長年の間、除草剤に強い酵素あるいは殺虫性の物質が、生体に蓄積していったときの影響についてはまだ結論が出ていないのが現状です

ここでは「除草剤に強い酵素」ということなので、
除草剤を分解する「酵素」ではないらしい。でも「酵素」は生きています。
また、「殺虫性の物質」になってますね。
こちらは「酵素」ではなかったらしい。

それはいいとして、
ここで言う「生体」は、作物を口にしたときの安全性の話のようなので、
人間のことだと思います。
そうだとすると、「除草剤に強い酵素あるいは殺虫性の物質」というのは
両方ともタンパク質ですから、
この話だと、

ダイズやトウモロコシを食べた人間にそれら由来のタンパク質が蓄積する

ってことになってしまいます。
その蓄積の悪影響を心配しておられるようです。
なんでかなぁ?

ダイズやタンパク質には多種類のタンパク質が含まれているはずです。
なのに、そのうち、「除草剤に強い酵素あるいは殺虫性の物質」
だけが蓄積する、ってことなんでしょうか?
そうじゃないなら、「除草剤に強い酵素あるいは殺虫性の物質」
だけ心配し、
なんで他の何万のタンパク質の「蓄積」は心配しないんでしょうか?
不思議です。


最後は環境への影響の話。

生態系からみれば、遺伝子組換え作物はいわば外来生物に当たります

遺伝子組換えする前の作物は外来生物ではないんでしょうか?
なんで遺伝子組換えすると外来生物になるの?
トウモロコシなんて、もともと外来生物じゃなかったの?

だから、

いったん生態系に放たれた遺伝子組換え作物に、万一問題が見つかっても、そのときは生態系から回収するのはほぼ不可能と思われます

って、言いたいことがよくわかりません。
複数の遺伝子を無闇矢鱈に無差別に組換えた通常の品種改良作物は
おもいっきり外来生物だと思うんですけど、
これらは生態系にとって問題ないの?

最後に書かれているように、
遺伝組換え作物について、あれこれ議論するのは重要でしょうけど、
それなら、もうちょっとまともにしませんか?
これでは、単なる市民運動レベルと同じです。
いくら中学レベルの教科書シリーズとはいっても、
ウソや議論のすり替えはいただけません。




一つ前の項目は

遺伝子操作で新種の生物は作れるの?

一つ後の項目は

クローン動物はどのようにつくられるの?

両方とも突っ込みどころがあります。


遺伝子操作で新種の生物は作れるの?
では、なぜか「遺伝子組換え」です。
この技術の説明におかしな所があるのですが、
それ以上に問題なのは、進化の説明です。

生物は遺伝子を変化させながら自然環境に適応してきました。これが進化です

本当でしょうか?
自らの遺伝子を変えるのではなく
と続きます。

これだと、生物が自らの意志で遺伝子を変化させ、
自らの意志で「適応」し、その結果、進化している
と読めます。
ここでいう「適応」って、進化の話だから進化の用語ですよね?
この文章の「思想」は危険です。


クローン動物はどのようにつくられるの?
ドリーの作り方の説明が間違っています。
それはいいとして、クローンを作ることは

生命の尊重という倫理観を根底から覆すことになりかねず

って、どういう意味だろう?
生命倫理の本を数十冊読みましたけど、
生命倫理的立場から
クローン人間を作ってはいけないという論理に成功している本を
いまだに読んだことがありません。

「なりかねず」と書いておられますので、
そのことは認識されているようですけど、
誤解が生じそうです。


参考:
○テーマ「くみかえの法則」の記事
 http://yoshibero.at.webry.info/theme/a34edcc9ad.html

○テーマ「遺伝子組換え」の記事
 http://yoshibero.at.webry.info/theme/50d24de1d2.html




近代科学社に「知ってる?シリーズ」というのがあり、
人生に必要な「数学50」、「哲学50」などがあります。
生物系では
「人生に必要な遺伝50」というのがあります。

人生に必要な遺伝50 (知ってる?シリーズ)
近代科学社
マーク ヘンダーソン

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アマゾンでは、現時点で予約受付中になっていますけど、
書店にあったので購入しました。

こちらは、ほどよい懐疑主義で、安心して読める教養書です。
大人のための新しい教科書として、
こちらの方が格段にタメになります。

ちまたに流布している数々の誤解や伝説を丁寧に解き明かしています。
先の本に登場する誤解やウソも、この本で氷解します。

「心理50」が楽しみ!!


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