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zoom RSS 遺伝子組換え本の新刊 「救え!世界の食料危機 ここまできた遺伝子組換え作物」

<<   作成日時 : 2009/03/15 03:50   >>

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久々に「遺伝子組換え」本が出ました。
具体的に開発された、あるいは開発中の作物などの話題が中心です。
発売日にほぼ同じ内容で市民公開講座(日本科学未来館)が
開かれたようです。
 http://www.kuba.co.jp/160C/
大学にも、その大小2種類のポスターが貼ってありました。
3月12日、大学生協にやっと入荷しました。
比較的わかりやすく書かれていて、値段も手頃です。

日本学術振興会、植物バイオ第160委員会監
「救え!世界の食料危機 ここまできた遺伝子組換え作物」
化学同人
\1,470
2009年03月07日第1刷
初版



救え!世界の食料危機 ここまできた遺伝子組換え作物
化学同人
日本学術振興会・植物バイオ第160委員会

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目次:
プロローグ:等身大の遺伝子組換え作物
1.もっと増やせる植物の生産力
2.畑でつくるサプリメント
3.農薬を使わずに害虫をコントロール
4.雑草から作物を守れ!
5.ハワイのパパイヤを救え!
6.ご飯を食べてスギ花粉症を治す
7.青いバラ―日本の植物バイオの旗手
8.天然に遺伝子組換え植物をつくる細菌がいた
9.有害金属を除く植物のスーパー機能
エピローグ:遺伝子組換え作物は未来を切り開くカード


冒頭に書いたように、本書は一応
遺伝子組換え
本です。
(「遺伝子組換え」本ではないという意味です)
章ごとに執筆者が違いますので、
必ずしも全てが「組換え本」に相当するわけではありませんが。

参照:
○新聞に見られる「遺伝子くみかえの法則」
 http://yoshibero.at.webry.info/200808/article_6.html
○テーマ「コラム・くみかえの法則」のブログ記事
http://yoshibero.at.webry.info/theme/24de9f0512.html





プロローグ:等身大の遺伝子組換え作物

本書全体を一読して感じたのは、
「読書案内」のコーナーがあればよかったなぁ。
ということ。

編者としては、この本よ読むだけで十分と言うことなんでしょうが、
やはり、この本を読んで更に知りたいと思ったとき、
どんな本を読めばいいのか、
推奨図書の一覧とそのコメントがあればよかった。

このプロローグに書いてある趣旨であれば、なおさらのこと
読書案内が欲しかった。




1.もっと増やせる植物の生産力

自給率を倍増させることをいろいろ計算しておられます。

日本が豊かになって、日本人の人口が急激に増えたことが
自給率低下の一番の要因でしょう。

今の人口を維持しつつ、自給率を倍増させることを
いろいろ提案されています。

広い関東平野で集約的農業により、
国際価格に負けない飼料用の作物が作れるはずって、
飼料用作物の輸出国になれるはずって、
すごい自信です。
そして将来、国際的に流通するのはGM作物だけになるかもしれない
大丈夫かなぁ。




2.畑でつくるサプリメント

はて?「サプリメント」?
サプリメントとして摂取するのはダメ。
遺伝子組換えでサプリメントをつくるようにした作物を食べるのはOK。
だそうです。

「サプリメント」が本当に必要で、それが欲しいのであれば、
なにも無理して遺伝子組換え作物から摂らなくても、
錠剤があるので、それを摂ればいいだけでは?

サプリメントだと過剰摂取に陥ることがあるが、
遺伝子組換え作物ならコントロールできるはずって、
その自信はどこから来るんだろう。

ヒアルロン酸をつくる遺伝子組換え作物をヒトが食べると、
肌がキレイになるって
本気で書いているんかなぁ。

  この項では植物の話題ばかりなので、
  この作物というのは植物ですよね?
  植物にヒアルロン酸をつくらせるの?
  それを食べると肌がキレイに?
これだと「遺伝子組み換え本」になってしまいませんか?




3.農薬を使わずに害虫をコントロール

市販されている多くの遺伝子組換え作物に導入されている遺伝子は
いわゆる
害虫抵抗性遺伝子
除草剤耐性遺伝子
のふたつです。

この章は、害虫抵抗性遺伝子の話題で、
それに関連するBtトキシンの話です。

Btトキシンの安全性を証明するため、
ある研究者がそれをゴクゴク飲み込み証明した
とするエピソードが紹介されています。

私は美談とは思いませんが、
こんなエピソードがあるとは知りませんでした。

虫がコロッと死ぬ毒素を食べさせられるのはかなわん
という意見は、根強いですね。
この誤解をとくため、素人にもわかるように述べられています。
おもしろかった。
Btトキシンに対して、これだけの話題をまとめてあって
素人にも読める内容は、この本だけでしょう。

だた、Btトキシンの安全性を強調したいがために
DDTのような明らかに有害と判明した殺虫剤
という表現はいただけませんね。




4.雑草から作物を守れ!

この章は、
除草剤耐性遺伝子の話題と
それに関連する除草剤の話です。

除草剤グリホサートの毒性の程度が説明してあります。
これも、前項同様、消費者や生産者が知りたいと思う情報が
うまくまとめられています。

除草剤耐性の仕組み
除草剤の効く仕組み
動物への毒性
環境への影響
その他諸々、うまくまとめておられます。

食品安全委員会のデータも参考になります。

食品安全委員会
○グリホサートの概要について 用途:除草剤(アミノ酸系)(PDFファイル)
http://www.fsc.go.jp/emerg/inryousui_glyphosate.pdf

除草剤、殺虫剤と言えば即危険、
と反応する人びとにはいくら説明しても伝わらない話でしょうが。




5.ハワイのパパイヤを救え!

アメリカ本土で消費されるパパイヤはどのくらいなんだろう?

アメリカ本土で栽培面積が爆発的に上昇している作物は
トウモロコシと大豆です。
遺伝子組換えの作付割合(2007年)が、それぞれ73%と91%だそうです。
いずれの作物も、アメリカ人にとっては家畜のエサです。
直接アメリカ人が食べるものではありません。
#日本人は大豆を食べますね。

主要穀物である小麦の遺伝子組換え品種はありません
主要穀物でない米の遺伝子組換え改良が盛んです。

こういう事情(家畜のエサ)で、アメリカでは遺伝子組換え作物が
受け入れられているのだと思います。

で、同じアメリカのハワイのパパイヤはどうなんだろう?
その辺のところが知りたかった。




6.ご飯を食べてスギ花粉症を治す

花粉症の話、
花粉症緩和米開発の話、
そして、すでに完成ししている花粉症緩和米のさまざまな試験データ、
などなど、
これも、わかりやすくまとめられています。

厚生労働省さん、早くしましょうよ。
縄張り意識は捨てましょうよ。
本来ならもう市販されていてもおかしくないはずです。

農水省側として悔しい思いをした、という話は書いてありませんでした。
大人ですねぇ。




7.青いバラ―日本の植物バイオの旗手

早く発売にならんかなぁ。

青いカーネーションはコロンビア・エクアドルで大量栽培され、
日本に空輸、販売されています。
そこで起こっているさまざまな(楽しい・怖い?)エピソード、、、、
は、もちろん書いてありません。
残念です。
っていうか、それは無理ですね。
本の趣旨も違いますし。

青いバラは国内で栽培されており、
これが市販されれば、
カルタヘナ法施行後、
国内初の遺伝子組換え植物の商業栽培ということになります。

青いバラは「淡い上品な青紫色」と表現されています。
もちろんこの色で満足しているわけではなく、
今回つくられた青いバラよりもっと青いバラ(濃い青やスカイブルー)が誕生するに違いない」。

期待しています。




8.天然に遺伝子組換え植物をつくる細菌がいた

虫こぶクラウンゴールとアグロバクテリウムの話です。
つまり、ある植物ゲノムに、どうやって遺伝子を導入するかという話です。
遺伝子導入方法。

ちょっと一般向きにしては難しいかも。
専門用語が出てくるだけでアレルギーを示す人には無理かもしれません。

アグロバクテリウム法を知りたかったけど、
簡単すぎたり、専門的で難しすぎたりして適当な本が見あたらなかった、
という人にとっては、とても役に立ちます。
ある程度原理的なことも知ることができます。




9.有害金属を除く植物のスーパー機能

遺伝子組み換え技術の環境問題への応用例です。

健康に悪い植物は環境によい植物
良いコピーですね。
他で使わしてもらお。

「健康に悪い植物」の特性を利用して、「環境によい植物」として利用し、
植物を使って環境修復しようという話です。
単なる環境汚染対策ではなく、
毒物汚染された野菜などの植物を「環境によい植物」として使って
土壌浄化し、より安全な栽培か可能になることで、
食物の安全性を高めようという話です。

その成果がどうかは、私には判断できませんのでわかりません。

「健康に悪い植物」なんて存在しないという天然信仰の篤い方にも
読んでもらいたい。




エピローグ:遺伝子組換え作物は未来を切り開くカード

遺伝子組換え作物に対する国内外の現状、
本書の内容等が説明してあります。

ちょっと気になること。
トウモロコシの話。

アメリカのトウモロコシは○○%が遺伝子組換え。
(本書では約80%)
日本のトウモロコシ自給率はほぼゼロ。
輸入相手国の9割近くはアメリカ。
だから、日本で消費されるトウモロコシの○○%は遺伝子組換え。
(本書では8割)

この手の単純計算の話をよく見かけます。
日本はこんなに遺伝子組換え作物を消費しているんだよ
という意味ではよくわかるんですが、
このトウモロコシは「穀類」に限った話です。
穀類のトウモロコシの3/4は家畜のエサです。
残り1/4も、ほとんどがコーンスターチ利用です。

トウモロコシと聞いて普通に思い浮かべるあの形のものは
「スイートコーン」で、これは「穀類」ではなく「野菜」です。
これはほとんど国内自給されています。

また、家畜のエサであっても、
アメリカにある「全農グレイン」という組織が
日本が消費するトウモロコシの1/4を輸出しています。

全農グレインはアメリカの生産者から直接買い付け
自前で集荷から輸出を行っているらしい。
どんなトウモロコシかというと、
すべて「非遺伝子組換え」だそうです。
自前で遺伝子組換えと分別流通させているらしい。

残り3/4は穀物メジャー由来でしょうから
ほぼ全部遺伝子組換えでしょう。

直接トウモロコシの形で食べているスイートコーンは
一応遺伝子組換え品種はないことになっていますし、
家畜のエサでも、全農グレイン経由であれば、
非遺伝子組換えとうことになります。

トータルで見ても、単純計算の○○%にはなりません。
アメリカの非遺伝子組換えトウモロコシの生産量の方が
日本の輸入量より圧倒的に多い。
そのうちどのくらいアメリカが輸出しているかわかりませんが、
意地悪な言い方をすれば、
計算上、全て非遺伝子組換えを輸入している
と言うこともできます。
(実際どのくらいの割合で輸入しているか統計がないらしい)


参照
○テーマ「遺伝子組換え」の記事
 http://yoshibero.at.webry.info/theme/50d24de1d2.html
○サントリー 青いバラ 遺伝子くみかえ表記ミス
 http://yoshibero.at.webry.info/200903/article_3.html
○遺伝子組換え飼料不使用鶏卵04 輸入穀物の現状1
 http://yoshibero.at.webry.info/200807/article_6.html


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