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zoom RSS 糖鎖栄養学ってなに?その2

<<   作成日時 : 2009/02/25 20:33   >>

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糖鎖栄養学ってなに?その1」の続きです。
「糖鎖のチカラ」本の話しの続きです。
糖鎖が生命現象にとって重要だというのはよくわかります。
確かにいろいろと調べられています。
糖鎖の活躍の場も多岐にわたっていることも確かでしょう。
ただ、よくわからないのは、だからなぜ糖鎖が栄養素なのか?
糖鎖が「ガン治療の最終兵器」なのか?
糖鎖栄養素になぜ「驚異の治療効果」があるのか?

この本のサブタイトルは
病気を防ぎ 病気を治す
です。
帯によれば、
その決め手は糖鎖!
<糖鎖>が健康と長寿のカギを握っている!

糖鎖のサプリメントを摂る、あるいは治療に役立てるだけで
上記のように何でも実現できるそうです。

本書の第6章は、
これがガン治療の最終兵器
病気を防ぎ、病気を治す「糖鎖」の療法」で
かなり具体的な「治療成果」が語られています。

本当に糖鎖サプリメントでそんなことが可能なのか。
糖鎖の本質に迫ってみましょう。



糖鎖に必要な単糖は次の8種類だそうです。
グルコース
ガラクトース
マンノース
フコース
キシロース
N-アセチルグルコサミン
N-アセチルガラクトサミン
N-アセチルノイラミン酸

糖の生成(簡略図)
というのが、p144に書いてあります。
またその隣のp145に「糖の種類とたんぱくへの付き方
というのが載っています。


おもいっきり蛇足ですが、
前回「免疫力」の記述の有無でその本の信頼度が測れると
書きましたが、同様に「たんぱく」の記述の有無でも
同様にその本の信頼度が測れます。
私の大学院時代の指導教官は、「たんぱく」という言葉に
大変厳しく、報告会などで不用意に「たんぱく」を使うと怒られました。
生化学などの学術用語に「たんぱく」なる言葉はありません。
「タンパク質」あるいは「蛋白質」です。
大阪大学には「蛋白質研究所」が未だに健在です。
雑誌「蛋白質・核酸・酵素」もまだ生き残っています。
ようするに「質」が絶対欠かせないと言うことです。
栄養学では「たんぱく」を使うようですが。


「糖鎖の構造」について
先ほどあげた「糖の種類とたんぱくへの付き方」の図には、
いわゆる「アスパラギン結合型オリゴ糖」の図が描いてあります。
本書で「糖鎖の構造」らしいのが描いてあるのはこの図だけです。
このことから、この本の言うところの「糖鎖」の代表選手が
「アスパラギン結合型オリゴ糖」なのだと思います。

小胞体やゴルジ体での修飾過程を知っている人は
この本で言う糖鎖が、「アスパラギン結合型オリゴ糖」
のことだと思えば、理解が早いと思います。

ところが、、、
糖鎖は立体的にも複雑な構造を持ち、結びつき方はさまざまです
8種類の糖が数個から十数個という数で結合するとなると、その結合パターンは無限で、それゆえ膨大な情報を持つことになります

奥が深いですねぇ。
糖タンパク質のオリゴ糖の話ではなさそうです。
そして、次のように話しがどんどん拡散していってしまいます。


遺伝子DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンという四つの塩基の結びつきからなります
DNAはそれぞれ結びつく相手が決まっていて糖のような複雑な結合はできません

だれか、この考えの間違っているところを指摘する人が
いなかったのでしょうか?
どうやらDNAの二重らせん構造を誤解しておられるようです。


そのことから考えても、糖鎖がいかに多くの情報をもつかがわかります

いやいや、わかりません。



「糖の生成」について
先ほどあげたように、簡単な糖の代謝図が載っています。
その代謝図の中には、
糖鎖に含まれる8種類の糖が全て載っています。
例えば、グルコースから出発すると、
残りの7種類の糖全てが体内で生成できることがわかります。

この図の説明はほとんどなく、
糖鎖を作るのに必要な単糖が摂取不足であることが
いろいろ書いてあります。
グルコースやガラクトースはいいとして、
それ以外の6種類は食事だけでは補うのが難しいと。
ところが、、、

糖鎖の材料として必要な8種類の単糖を十分に摂れなくても、さほど心配することはありません

えっ?! さんざん必要な栄養素だといっておきながら、
この突き放しは何?


足りないものは、ブドウ糖やガラクトースなど余分にある単糖を材料に、体内で合成していると考えられているからです

単に考えられているのではなく、いろんな実験で証明されています。
でも、必要な栄養素の話しにしないといけませんから、
次のような苦しい説明が続きます。


体内合成には酵素やエネルギーが必要です
補酵素のコエンザイムQ10も多量に必要になります
けれどもそれらの酵素やコエンザイムQ10も、材料となるアミノ酸不足や活性酸素対策に使われて、体内合成には十分ではないと考えられるのです


なんで?なんで足りないの?
アミノ酸不足ってなに?
注目する物質、サプリメントとして摂らないといけないと主張する必要のある物質が不足しがち、というのは、この手の話しではありがちです。
逆に、注目する物質が重要だと強調しすぎて
同様の物質をおろそかにしたり。
コラーゲン、酵素、ヒアルロン酸、
多くのサプリメントに共通する論理です。

エネルギー不足の話しもちょっとわからない。
一方でグルコースは摂りすぎだといいながら、
他方でグルコースが足りない?
なんでぇ?


生命活動は実に巧妙な仕組みで成り立っていますが、それも体内における無数の情報が正確に伝わってこそのことです。

確かにその通りですね。


実際に糖鎖の材料が不足して、一部でも不完全な糖鎖ができれば、体内の情報はことごとく混乱してしまいます

確かに混乱してしまうでしょう。
そうであれば、サプリメントとして、
普段摂取量の少ない糖鎖をの成分を大量摂取すること
による混乱は考えなくていいのでしょうか。
著者のいうとおりであれば、人類誕生以来、
グルコースとガラクトース以外の糖鎖成分は
摂取不足のはずです。
その条件で進化してきました。
摂取不足の環境下で適応し、
著者のいう「巧妙な仕組み」が築かれたはずです。
その中で、今まで経験したことのない物質をサプリメントとして大量摂取することのほうが、よほど危ないと思うのですが、どうなんでしょう。

注目している物質が重要であって欲しいと願う気持ちだけはよくわかります。


結局よくわかりません
糖鎖が生命活動にとって重要だというのはよくわかります。
コラーゲンが重要だ、酵素が重要だ、ヒアルロン酸が重要だ、
というのもよくわかります。

たとえば、糖鎖の場合、
最近(2月20日)発売された本にわかりやすくまとめられています。
第3の生命鎖糖鎖の謎が今解る
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この本は1年前に開かれた科研費研究成果の公開シンポジウムをまとめたものです。
比較的わかりやすく書かれています。
もちろん、かなりの予備知識が必要ですが。

「脳・神経・筋肉」、「がん」、「免疫・感染症」の
3つのセッションで糖鎖との関連研究の研究報告です。

一般公開されていましたので、
おそらく糖鎖信者の方も聞きに行かれたと思います。
しかし、糖鎖信者にとっては不満の残るシンポジウムだったのではないでしょうか。
多少一般向けにアレンジされているとはいえ、
普通の研究報告ですから、敷居が高かったでしょう。

それ以前に、当たり前のことですが、一線の糖鎖研究者が、
いくら糖鎖が生命活動にとって重要だからといって、
糖鎖サプリメントを摂れば病気が治るとか、健康維持ができるとか、
そんな研究はしません。
そもそも、そんな発想はありません。

一番最後にひとつだけコンドロイチン硫酸の経口摂取(マウス)の
研究例が紹介されていますが、
これは、糖鎖とはちょっと意味合いが違います。
それでも、経口摂取に対して否定的な結果報告です。


先の話に戻りましょう。
糖鎖信者やコラーゲン信者などの考え方は次のようです。
糖鎖が生命活動にとって重要だというのはよくわかります。
これは間違いありません。
コラーゲンが重要だ、酵素が重要だ、ヒアルロン酸が重要だ、
というのもよくわかります。

でも、現代人はいずれも不足しがちだと。
なぜか知りませんが、不足しがちだそうです。
この辺から話がわからなくなります。


過剰に摂取していると思われているグルコースから、糖
鎖に必要な全ての単糖が合成されています。
コラーゲンや酵素に必要なアミノ酸も、
普通の食品から十分摂取しています。
非必須アミノ酸は自身で合成しています。
ヒアルロン酸も、必要な場所で、
必要な量を自分で作っています。

でも、不足しがちなんだからサプリメントとして摂らないといけない。

糖鎖不足には糖鎖に含まれる単糖を、
コラーゲンを、
酵素を、
ヒアルロン酸を摂取する必要があると脅します。


でも、摂取したさまざま糖はいったん肝臓でグルコースになってしまいます。
コラーゲンや酵素もアミノ酸にまで分解されます。
もともとのコラーゲンや酵素の役割は食べる前から失われていたり、食べた後消化されたりします。
ヒアルロン酸も不完全な形のものを摂取するわけで、
これも分解されます。
いずれももし分解されずに必要な場所に行くのなら、
これはそれで大問題です。
それ以上に、ヒトの材料ではありませんし、
代替品でもありませんから、
ハッキリ言って不良品のがらくたです。
百歩譲って、摂取したものが必要な場所で働くとしても、
がらくたの不良品が使われるわけですから、
まともに代替機能を発揮してくれると考えること自体間違っています。

糖鎖の場合、分解されて単糖になりますから、
とりあえず吸収されるでしょう。
しかし、糖鎖合成に必要な場所に輸送される前に、
まずグルコースに代謝され、
さらにいろんな物質に代謝されるわけですから、
摂取したグルコース以外の糖鎖材料が、
そのまま糖鎖合成の場所にまで運ばれるという発想はあまりにも無邪気すぎます。

もちろん、糖鎖構造を保ったまま必要な細胞に運ばれというのもありません。
万が一、糖鎖が、たとえばタンパク質合成の途中の小胞体内に運ばれたとしても、それが、たとえばアスパラギンに結合するなどという芸当もできません。



著者は最後にはスピリチュアルな話しで締めくくっています。
怪しい遺伝子の話が出てきます。
そう、あの「生命の暗号」です。


次回は「糖鎖のチカラ」以外の信者本の話です。


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