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zoom RSS 「美味しんぼ第101集 食の安全」を読む 有機無農薬栽培

<<   作成日時 : 2008/09/20 00:06   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 1

美味しんぼ 第101集 食の安全にかんする話題、第二弾。
第一弾は「「美味しんぼ第101集 食の安全」を読む 有機農法」
http://yoshibero.at.webry.info/200809/article_5.html
第一弾の冒頭、この本をなぜ知ったか忘れたと書きましたが、思い出しました。
平沼直人著
ガイドブック食の安全 知識と法律
法学書院
\1,785
2008年08月25日初版第1刷
所有本:初版
画像

この本、題名と新聞広告を見て注文して買ったのですが、
内容がやさしすぎて、あまり役に立たなかった。
法律の勉強になるかなと思ったんだけど、肩透かし。
でも、コラムに載っていた美味しんぼのことが役に立ったのだから、よしとしよう。
このコラムでは、もちろん、美味しんぼを好意的に取り上げています。
コラムに書いてある内容からして、うさんくさいなと思ったので、美味しんぼ第101集を買った次第です。


美味しんぼの「無農薬」論拠
この漫画本には有機無農薬栽培野菜にかんしても面白いことがいっぱい書いてあります。
この本では有機作物、無農薬栽培を神聖化し絶賛しています。
その根拠がなかなか面白い。

先に、
「農薬栽培野菜・減農薬遺伝子組換え野菜・無農薬栽培野菜・有機栽培野菜 どれを選びますか? 」
http://yoshibero.at.webry.info/200809/article_1.html
を書きました。
そこで取り上げたことがこの漫画本には検証できる形で書いてあります。

美味しんぼによると、
有機農法には問題点があると。
それは種(たね)だという。

p187
農水省の規格によれば、
有機農産物は有機で育てた
農産物の種を使うことになっている。


それなのに、種を外国産に頼っているのはおかしいと。
有機農法の根本は種にある。
種にこだわるべきだと言うことです。


p188
品種改良した種は、原則的に
農薬と化学肥料を使う状態で育つように作られているから、
無農薬有機栽培をすると
収量も上がらず、病害虫の被害にかかりやすいのも当然なんです。


p189
自家採取した無農薬の種は
その畑に合った種になるから、
病気にならず虫もわかず
収量が年々増えていく。


こういう説明を読んで、信者さんたちは洗脳されるのでしょう。

でも、ちょっと考えれば、というか、そう考えなくてもこの論法、ヘンですよね。


どこがヘンなのか
品種改良した種は、原則的に
農薬と化学肥料を使う状態で育つように作られているから、
無農薬有機栽培をすると
収量も上がらず、病害虫の被害にかかりやすいのも当然なんです。


というのは、その通り当然ですよね。
でも、ナンでそれが問題なんだろう?

先に書いたように、植物には生体防御のためにさまざまな戦略をとり、そのうちのひとつに生体防御物質をつくることにで身を守っています。

天然農薬です。

この天然農薬は、植物にとっての敵に対抗するだけでなく、ヒトにとっても害になる物も多くあります。
品種改良の目的のひとつに、この天然農薬の量を減らすというのがあり、これが実現しているわけです。
天然農薬の量が少ないわけですから、それを補完する薬剤が必要になります。

それが人工農薬です。

人工農薬として天然の物質と同じ物を作る必要はありません。
ヒトには脳があります。
ヒトには害が少なく、植物の天敵には効果がある人工農薬を作る能力あります。
そして、塩より害の少ない人工農薬が開発されています。
こういう、ヒトに害の少ない人口農薬を使うのが慣行農業です。

品種改良された野菜は天然農薬の量が少ないわけですから、当然、無農薬で栽培すると収量が上がらず、感染症にも罹りやすくなります。


自家採取した無農薬の種は
その畑に合った種になるから、
病気にならず虫もわかず
収量が年々増えていく。


これはちょっとうさんくさいですね。
万一この話が本当だとすると、上の話の流れから言って、大変危険ですよね。

無農薬でも病気にならず収量が年々増えていく、ということは、天然農薬の量が増えていると言うことですよね。

無農薬栽培して、生き残ったものが種を作ります。
その種を翌年まき、そこから生き残った種を取ります。
また翌年と繰り返していけばどうなるか。

無農薬では収量が上がらないことを認めているわけで、それでも育つと言うことは、無農薬に強い、つまり天然農薬の量が多い物を選択していることになります。
その人為選択を繰り返すと言うことは、もう結果は明白ですよね。

それによって、

収量が年々増えていく

というなら、これはちょっと恐ろしいことが起こっているのではないでしょうか。


農薬ってそんなに危険なのか
農薬と聞けば条件反射的にに危険・発癌物質という反応を示す人が多い。
しかし、そんな単純な物ではありません。

確かに1970年頃までの農薬は危険でした。
しかし、現在の農薬の安全性は当時とは雲泥の差で、まるっきり別のものに変わっています。
「公害」が叫ばれていた頃の農薬のイメージが未だに抜け切れていない人が多い。

日本は食品安全委員会という立派な組織を持っています。
そこから多くの情報が発信されています。
小学生にもわかるような内容で、農薬や食品添加物がどんな物であるか懇親丁寧に説明されています。

読めば、あるいは見れば(DVDなど)わかる、という内容ばかりなので、そちらを見てもらった方が私が紹介するよりいいでしょう。

現在の農薬がどのようなもので、どのように検査して、どのように基準値が決められているか、天然の毒素、たとえば、唐辛子の辛味成分、ニコチン、カフェイン、食塩、医薬品のアスピリンなどと比べてどの程度の毒性の違いがあるのか、残留農薬として摂取する量はどの程度なのか、毒性の違いを見るのに、急性毒性、短期毒性、長期毒性、遺伝毒性、生殖毒性などの違いにも目を向け、これらの情報に接すれば、慣行栽培に使われている農薬と普段の生活で自ずと摂取している天然毒物のことを総合的に判断する能力が身につきます。


われわれはいったい何をやっているのか
無農薬栽培すれば、農薬の飼料量は減るかも知れない。
しかし天然農薬が増える。
結局、食べる消費者にとっては直接的なリスクが増大する。
しかも、高い!金持ちじゃないと継続して買えない。
貧乏人には手が出ないのが救い。

非組換え野菜の通常の農薬栽培では、農薬の使用量が多い。
天然農薬は特に増えないが、農薬使用量は多いことは確か。
ただし、人工の残留農薬は人体に特に危険というわけではない。
しかも、安い。


嫌われている農薬使用量を減らし、天然農薬の量も減らせれば「安心」が得られやすい。


現在、その目的に一番合うのが遺伝子組換え作物です。
まだまだ改良できる可能性を持っています。

除草剤耐性や害虫抵抗性をもつ組換え野菜であれば、農薬の量が減らせる。
これらの組換えによって特に天然農薬の量が増えるわけではない。
種子は管理されているので、農家が自家採種しても翌年も同じ品種の作物ができるわけではない。
これは、種苗メーカが儲けるためでもありますが、安全性の観点からいっても重要なこと。

組換え技術を使えば、天然農薬の量を従来の方法より効率よく減らすことができる。
これを使えば、より天然農薬の量が少なく、また、農薬使用量もより少なくできる品種への改良も可能。
栽培コストが安く、労働力も少なくて済み、消費者にとってもより安全で安い。


天然農薬の量を増やすのが安心・安全 高価
人工農薬をたっぷり使う農法が安心・安全 安価
天然農薬を減らし、かつ人工農薬使用量も減らす農法が危険・絶対食べるな! 一番安いのに

いったいなにをやっているのでしょうか?


遺伝子組換え作物の普及によって、種苗メーカの寡占化が進むとよく言われます。
私が講演したとき、公演後にも同様の質問を受けました。
種苗メーカはたくさんありますし、実際には開発メーカがライセンスを売ってもうけているだけで、実際に組換え品種を売っているメーカはたくさんあります。

もし、寡占化が進んでいるというのであれば、その方向性に一役買っているのが日本の(美味しんぼのような)姿勢だとも言えます。

日本のメーカによる遺伝子組換え作物の開発・販売は、国内での圧倒的な反対によって、停滞しています。
この停滞をよそに、欧米のメーカのシェア拡大が進んでいるわけです。
日本が一生懸命に遺伝子組換えに反対することが、じつは、欧米の一部のメーカの寡占化に貢献していると言えます。


ここでおもしろい資料を紹介します。

梅津憲治著
農薬と食:安全と安心 農薬の安全性を科学として考える
ソフトサイエンス社
\2,625
2003年09月10日初版第1刷
所有本:初版
画像

興味深いデータ満載です。
詳細は別の機会に。


念のため
無農薬野菜が危険だから食べるなと言っているわけではありませんからね。
念のため。
農薬栽培が危険で無農薬栽培が安全という単純な発想がおかしいという話ですので。
念のため。

無農薬栽培野菜を食べたってもいいですよ。

無農薬栽培をしている農家の方も悪くないですよ。

ヘンなのは、ただただ、無農薬有機を何の根拠もなく安心・安全だと叫んでいるニセインテリ、ニセセレブ人たちのことです。
ガンバって栽培してくださっている農家の方は、悪くないですからね。



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ソフトバンククリエイティブ
芦田 嘉之

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
有機とはorganicというがこの化合物で人類が制御しているのが石油などの化石燃料。すこしイメージ悪いよね。
大同
2012/03/11 21:21

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