やさしいバイオテクノロジー

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 遺伝子組換え飼料不使用鶏卵04 輸入穀物の現状1

<<   作成日時 : 2008/07/05 02:18   >>

トラックバック 0 / コメント 3

地球温暖化対策という怪物がきっかけと思われる原油やトウモロコシなどの穀物価格の上昇にともない、多くの食品の価格が上がっています
価格の優等生と言われている鶏卵も例外ではないらしい。
日本では、ニワトリのエサはほとんど輸入に頼っていますので、貿易相手国の事情に大きく左右されます。

ニワトリのエサに占めるトウモロコシなどの穀類の割合は、一般の完全配合飼料の場合6-7割で、平飼いのこだわり飼育の場合でも5割強だそうです。
(コメが余っているので、ニワトリさんがコメを食べてくれると良いのですけど)


日本では、穀物としてのトウモロコシをほとんど栽培していませんので、飼料用のトウモロコシはほとんど輸入に頼っています。
貿易相手国はアメリカで、極端に偏っています。



農林水産先端技術産業振興センターの「バイテクコミュニケーションハウス」が発行している冊子
『「遺伝子組換え農作物」を知るためにステップアップ編』によると、
http://www.biotech-house.jp/library/

アメリカのトウモロコシ生産量は28231万トン、そのうち輸出量は4560万トンです(2005年)。
日本は穀物としてのトウモロコシを1688万トン輸入しています。
国産トウモロコシは「万トン」単位で表すと「0」です(2006年)。


「図録主な食料の品目別自給率の推移」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0317.html

をみると、トウモロコシの自給率の低さは一目瞭然の悲惨な状態です。


日本がトウモロコシをどこから輸入しているかというと、アメリカがほとんどで、その割合は97%(1634万トン)です。
中国から45万トン輸入しています。
その他は9万トンとなっています(2006年)。

日本は飼料用として1240万トンの穀物トウモロコシを使っています(448万トンが食品用)。

つまり、家畜のエサに使うトウモロコシは、ほとんどがアメリカに依存していることがわかります。

バイオ燃料などの影響で、穀物の国際価格の値上がりは激しい。

たとえば、次のデータが参考になります。

「図録穀物等の国際価格の推移」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4710.html
(それにしても、コメの値上がりが激しい)



アメリカの穀物が高いのならアメリカ以外の国から買えばいいじゃないかと思うでしょうが、そう簡単にはいきません。
穀物価格は世界的に高騰しています。

そればかりか、日本の需要を満たしてくれるほど余剰のトウモロコシを栽培している国はアメリカ以外にありません。
アメリカはトウモロコシを4560万トンも輸出しており、そのうち日本が1634万トン買っているわけですが、これほど輸出している国は他にありません(2005年)。

日本の穀物需要の1240万トンをクリアしているのはアメリカ以外ではアルゼンチンがあり、1460万トン輸出しています。
しかし、アルゼンチンのトウモロコシ生産量は2048万トンで、その70%以上を輸出するという特殊な国です。
しかもアルゼンチンは主に遺伝子組換えトウモロコシを栽培しています。

3番目にトウモロコシの輸出量が多いのは中国で861万トン。
しかし、中国は国内需要が増大しているため、今後輸出する余裕はないでしょう。

ということで、日本国内で穀物用のトウモロコシを作らないのなら、現状ではアメリカに頼り切るしかないわけです。




で、遺伝子組換えの話ですが、アメリカの遺伝子組換えのトウモロコシの割合は73%です。
その割合は年々増えています。


トウモロコシを食用とする場合は、IPハンドリングという制度があって、組換えと非組換えを分別流通していることが証明できれば、非組換えと表示してもいいことになっています。
分別流通が証明できない、あるいは組換えを使っている場合は、「遺伝子組換え不分別」あるいは「遺伝子組換え」の表示義務が生じます。

飼料に使える遺伝子組換え品種も、食用と同じように安全性の審査がなされ、許可された品種のみエサとして使えます。
ただし、人間の食用ではありませんので、家畜のエサとして使う穀物の遺伝子組換え品種の使用の有無は表示する必要はありません。
というか、一括表示欄に、飼料として遺伝子組換えでない穀物を使っている旨表示すると、JAS法違反になります。

それでも、一括表示欄以外の場所であれば、非組換え穀物使用だと書くことは一応許されています。
このことは以前書きました。


遺伝子組換え技術について14 
遺伝子換飼料不使用 この世に存在しない遺伝子組換え作物不使用
http://yoshibero.at.webry.info/200803/article_4.html


商品には「一括表示事項欄」というのがあって、そこにたとえば、
「遺伝子組換え飼料不使用」
と書くのは許されませんが、
一括表示事項欄以外のところであれば「遺伝子組換え飼料不使用」と表示していいことになります。
広告やWebサイトは一括表示欄に該当しませんので、広告やWebサイトの宣伝文句に「遺伝子組換え飼料不使用」を使うのもいいそうです。

ただし、ウソはいけません。

遺伝子組換えトウモロコシを飼料に含むことがわかっているのであれば、たとえ一括表示事項欄以外であっても(非遺伝子組換えであることを表示することは)許されないと言うことでした。
だだ、この場合も、どのような罰則があるのかはわかりませんでした。

結局、ウソでなければ何書いてもいいことになります。
優良誤認の考えは、商品の一括表示欄に限った話らしく、それ以外の場所での表示は野放しらしい。



鶏卵や牛乳や牛肉をいくら検査しても、遺伝子組換えか非組換えか、どちらのトウモロコシを食べて育てられたかは検出することはできません。
また、遺伝子組換え飼料を使ったところで家畜に悪い影響が出るとは考えられませんので、遺伝子組換え飼料の有無の表示制度はありません。

(人間が食べる食品に遺伝子組換え表示制度がありますが、これは消費者の選択の便宜のためであって、安全性の問題ではありません。また、遺伝子組換えか非組換えか検出できる食品にのみ表示義務があります。食用油や醤油など、検出が不可能な食品には表示義務が無く、まして、家畜が食べた穀物が組換えか非組換えかは検出できませんので、飼料の種類に対する表示制度を考える前提すらありません)


==========
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵01 イントロ
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵02 入手した鶏卵
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵03 入手した牛乳
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵04 輸入穀物の現状1
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵05 輸入穀物の現状2
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵06 輸入穀物の現状3
遺伝子組換え飼料不使用鶏卵07 分子生物学で考えると


やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
飼料として、キャッサバパルプは、可能性はあるでしょうか?
kazmcqueen
2008/08/18 16:12
 低温殺菌牛乳の記事の内容に疑問を持ったので、質問させていただきたいと思います。
 前回の記事において、「低温殺菌も高温殺菌どちらも栄養的には変化しない」と記述されておられますね。これは私も疑問は抱きません。しかし、体内に摂取した場合の、消化器官における物理的流動性は変化しないのでしょうか?たとえば、胃や小腸における牛乳の通過速度が異なれば、牛乳に含まれる物質は同じでも、物質の吸収効率および様相は変化すると思いますが、どうでしょうか。
 例えば、卵でもゆで卵で摂取するか、生卵にするかによって、栄養的には同じでも、吸収効率は変化すると思いますが、どのようにお考えでしょうか?
 ちなみに私は不勉強ゆえ、牛乳の知識をあまり持ち合わせていませんので、一般者の素朴な疑問としてお答えいただけたら幸いです。
 
2008/08/29 18:23
どうもコメントありがとうございます。
「キャッサバパルプ」よくわかりません。

「物理的流動性」というのがどういうことなのか知りませんので、ちょっとわかりません。
牛乳を高温殺菌したからといって、タンパク質がすべて(生化学用語で言うところの)変性するわけではありませんし、タンパク質分解酵素による感受性が大きく変化するとは考えにくいと思います。
もし、違いがあったとしても、吸収速度の違い、速いか遅いか(それもそれほど違わないでしょうが)という程度で、最終的にはそれほど変化がないのでは?
おっしゃっている「吸収効率」が吸収されないものも出てくるかも、という話で、もしそれがあったとしても、たとえば高温殺菌のほうが低温殺菌より1割「吸収効率」が悪いとしても、高温殺菌を1割多く飲めばいいだけですし、牛乳以外にも多くの食品を食べているわけですし、そもそも1日に摂取する食事から得られる栄養量からみれば、殺菌条件の異なる牛乳から来る微細な変化があったとしても、全体としてそれほど影響がないのでは?
どうもコメントありがとうございます。
2008/08/31 01:08

コメントする help

ニックネーム
本 文