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6月14日付けの朝日新聞におもしろい全面広告を見つけました。 野菜や果物由来の酵素を商品化したサプリメントで、美容やアンチエイジング、ダイエットにいいそうです。 「健康的な若々しさに、欠かせません」 「酵素で身も心もリフレッシュ」 「健康と美しさに前向きな、厳選50種類の野菜・果物から」 「肥満・年齢vs酵素!代謝の衰えに徹底抗戦!!」 「ダイエットに熟成「酵素」の力 酵素ダイエット」 おもしろそうだけど、サンプル請求とかなく、単価も高いので実物を手に入れるのは断念。 販売部に連絡すると、資料なら送ってくれるとのこと。 6月18日、カラー版の広告一枚が届きました。 以下の引用(ピンク地の文)はそのカラー版広告と朝日新聞の全面広告からです。 特に断らなかったらカラー広告版からの引用です。 とにかく、「酵素が栄養素」だとの論理はおもしろい。 基礎代謝力が大切 年齢とともにそれが減少(20歳がピーク) 基礎代謝には多くの酵素がかかわっている 酵素の量が年齢とともに減少、しかも有限 生きた酵素を補う必要あり でも、普通の食事では死んだ酵素ばかり 生きた酵素たっぷりのこのサプリ 1日2粒でたっぷり補給 すると基礎代謝復活 ダイエットッ〜!! 我流で重要なポイントをまとめると、こんなカンジ。 この業界でありがちな論理。 勝手に<不足−補充の黄金側>と呼ぶことにします。 以下、細かいところから本質の順にツッコミを 「アミノ酸が米酢の約84倍、ニンニクの約3.6倍」 「約」と言いながら「84倍」や「3.6倍」とやけに細かいぜ、というツッコミはともかくとして、 このような比較はあまり意味がない。 100g当たりの含有量が多くても量が食べられないのなら意味ないし、含有量が少なくても量が食べられる食材ならたくさん摂取できるし。 そもそも、アミノ酸はサプリで補わなくても普通の食事で十分摂取できています。 全面広告版では、 「合成品にはない、自然なアミノ酸をたっぷり補給可能です」 とあります。 天然アミノ酸と合成アミノ酸は異なる物質らしい。 天然アミノ酸は天然由来であることを覚えていて、その刻印を食べた人が認識できるので、天然モノは健康にいいらしい。 この手の話題はあちこちに書いてあります。 ・ 「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報7 番外「病気にならない生き方」などを読む2 http://yoshibero.at.webry.info/200706/article_11.html ・お笑い天然信仰。天然ビタミンCとL-アスコルビン酸は違うものらしい(その2) http://yoshibero.at.webry.info/200804/article_4.html 100 g中のアミノ酸量をニンニクとこのサプリで比較したグラフがある。 トータルアミノ酸量ではニンニク 5.57 mgに対してサプリでは19.881 mg。確かに3.6倍です。 しかし、有効数字5桁とは。すばらしい分析機器をお持ちのようです。 ニンニクよりサプリのほうがアミノ酸量が多いとはいえ、その飛び抜けて多いアミノ酸とは グルタミン酸(たぶんグルタミンとの合計)、プロリン、グリシン、アラニン の4つです。 この4つだけで3倍を超えそう。 残念ながらいずれも必須アミノ酸ではありません。 「50種類以上の厳選素材」 実際は52種類使っているそうです。 アミノ酸は「約」と言いながら細かいのに、こちらは「50種類以上」 強調したい表現にこだわっていますね。 素材になった野菜や果物のカラーのカット写真が載っている。 数えると、39枚しかない。 しかも、リンゴとキャベツとイチゴはそれぞれ2枚。 小さくてなにかわからない写真もあるが、多くても36種類の野菜と果物しか載っていない。 別のページには、 「どんな原料を使っているんですか?」 の問に、 「52種類に及ぶ野菜・果物類を使用しています」 とあります。 こちらもカラーのカット写真入りで名前も書いてありますが、なぜか47種類。 あとの5種類はどこいった? 「もちろん、遺伝子組み換え原料は一切使用していません」 Non-GMOであることも、さりげなく宣伝しています。 遺伝子組換えでないという表示ができるのは、食品として認可された遺伝子組換え品種がある「ダイズ、トウモロコシ、ジャガイモ、ワタ、ナタネ、アルファルファ、テンサイ」の7作物に限られます。 それ以外の作物に「遺伝子組換えでない」表示をするとJAS法違反になります。 47種のなかに、上記7作物は入っていません。 (原料として名前を伏せている5種に入っていたら知らんけど) したがって、もともと遺伝子組換え品種がない野菜や果物ばかり使っていてながら、「遺伝子組み換え原料は一切使用していません」といったって、もともとないんだから、ないものをつかっていませんって変ですよね。 変なだけでなく、優良誤認になってしまいます。 だからこそJAS法で厳しく規制されています。 詳しくは次の記事など。 ・「遺伝子組換え技術について14 遺伝子換飼料不使用 この世に存在しない遺伝子組換え作物不使用」 http://yoshibero.at.webry.info/200803/article_4.html 全面広告版によれば、 「原料には、北海道の大地で育った野菜、果物などの食物を50種類以上使用」 とあります。 「など」の使い方でごまかしているのかも知れませんが。 食材には「パイン」、「バナナ」が含まれています。 「ミカンの皮」もあります。 これらが北海道で採れるとは、はじめて知りました! カラー広告版では 「広大な北海道の新鮮な空気のもと」 製造していると書いてあるので、原材料が北海道産なのでなく、北海道で発酵させているのでしょう。 「『酵素』って何ですか?」 という問に対して、 「酵素は体に不可欠な物質で、自然由来の滋養エキスと言われています」 とあります。 体に不可欠なのはわかるのですが、「滋養エキス」ってなに? はじめて知りました。 酵素が滋養エキス! 「もともと私たちの体の中に存在していますが、年齢とともに失われてしまいます」 よくあるパターンですね。 もともと私たちの体を構成している細胞が毎日酵素を合成しています。 しかし、年齢とともにその合成能力が衰えていきます。 ともし書いてあると、合成能力を高めるようにすればいいのかも、って考えますよね。 少なくとも、酵素を食べないといけない!という発想にはならない。 ところが、サプリ業界はそう書きません。 大切なモノなんだけど、しだいに失われていく 普通の食事では補えない。 このサプリなら補充できる! って書いてあると、じゃあ買わなくては、という発想になってしまいます。 そう、サプリ業界にある「不足−補給の黄金則」はこの論理から来ているのですね。 ヒトの酵素の代替品が植物酵素でOKという発想も、おそらく酵素が滋養エキス?なので、酵素にはあまり種類がなく、ビタミンかなにかと勘違いしていることから来るのかもしれません。 「酵素は体内でどんな働きをするんですか?」 という問には、 「酵素は食事によって摂取した栄養を体の組織やエネルギーに変える役割を果たしています」 まぁこれはいいとしましょう。 「体内の酵素が不足するとさまざまな不具合が生じてしまうため、『体内酵素がなくなったときが人間の寿命』という説もあるくらいです」 って、そりゃないでしょう。 例の「酵素栄養学」ですね。 この話題は別のところにも長々と書きました。例えば、 ・「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報2 酵素栄養学とは何か http://yoshibero.at.webry.info/200705/article_7.html ・世の中にはいろんな酵素があります http://yoshibero.at.webry.info/200703/article_8.html 「製法について教えてください」 の問に対しては、 「酵母が住み着いた杉樽で熟成させ、化学的に調合することなく、自然のチカラだけを利用した、伝統の『浸透圧製法』により抽出される酵素はまさに貴重な一滴」 化学的に調合って何だろう 化学物質は使っていないという例のトンデモのことかも。 「熱処理も一切行われていないため、自然由来の『生きた』生の酵素が作られるのです」 いやぁ、怖いモノですなぁ。 殺菌処理なしですか。 「天然発酵」するのなら当然腐敗も同時に起こっているでしょう。 人間にとって都合のいい発酵だけが起こって腐敗は一切起こらないという発想はどこから来るんだろう? 雑菌のコンタミはないのかなぁ。 培養した素性のわかっている微生物を使うのではなく、杉樽の天然の酵母だけなら、ロットの違いが激しくありそう。 まぁ、この業界には「手についている常在菌で発酵」させるために、「食材を素手で仕込む」なんていう製法もあるぐらいだから、それよりましかな。 「安全性についてどんな配慮をしていますか」 には、 「安心して続けていただける品質をお約束するため、国内の工場で、ひと粒、一粒、人間の目で確かめて品質をチェック」 えっ?人間の目だけで品質チェック。 どんなチェックだろう?激しく個人差が出そう。 恐ろしいですねぇ。 このサプリはクリーム色のどろっとしたモノです。 色をつけているんかなぁ。「化学的」に何もしていないんかなぁ。心配ですねぇ。 いろんな食材を杉樽詰め込んだだけなら、酸化して褐変化したり黒ずんだりすると思うんだけど。 新聞広告によれば、 「むりやり搾るのではなく、自然にしみ出る生の酵素だけを抽出しています」 すばらしいテクニックじゃないですか。 これができるのなら、科学実験も楽なんだけどなぁ。 以下、新聞の全面広告の解説 「酵素とは、もとも人間の体内に存在している成分で、さまざまな役割を担っている、大切なもの」 確かに。 「たとえば摂取した栄養を吸収しカラダに行き渡らせる『消化酵素』や、吸収した栄養を効率よく使ってカラダを正しいバランスで保とうとする『維持酵素』など、それぞれが大切な機能を持っています」 ふむふむ。例の「酵素栄養学」ね。 「まさに生命活動になくてはならないものです」 確かに。 「体内酵素は年齢とともに減少するうえ、人間が一生に生産できる酵素の量には上限があるといわれているため、酵素を含んだ食物を摂取し、体内の酵素を補っていくことが大切」 えっ? そんな上限があったら大変。 でも安心です。 これは例の「酵素栄養学」。 さっきも引用した次の記事に詳しく書きました。 ・「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報2 酵素栄養学とは何か http://yoshibero.at.webry.info/200705/article_7.html 「その科学的根拠は、ミジンコの実験結果から来ています。 ミジンコですよ。ミジンコ!」 それにしても、ヒトの酵素の代わりが植物の酵素でいいのかなぁ? 「酵素は熱を加えると壊れてしまうため、加熱食品の多い現代の食生活では不足しがちになってしまうのが問題になっています」 生きた酵素がどうやって体内で働くの? これが信じられるというヒトの脳の中を見てみたい。 どういう発想なんだろう。 このサプリは錠剤ですから口にします。 その後、胃液でおそらくカプセルが溶け、中身が出て、強酸にさらされるでしょう。 酵素などタンパク質のほとんどは胃液で分解されます。 もちろん、酵素は失活します。 万一、胃液に耐えた酵素があったとしましょう。 その酵素は機能を保ったままどうやって必要なところへ行くんだろう? 例えば、肝臓。 酵素の助けで複雑な代謝反応が昼夜進行しています。 その酵素の数はよくわかっていませんが、未知のモノもあるでしょうから、千種以上はあるでしょう。 サプリ理論によれば、 年をとると肝臓の酵素は少なくなっていき、やがてなくなります。 そうならないように生きた酵素を補わないといけません。 そのために生きた酵素たっぷりの植物酵素を摂りましょう! すると、その酵素の働きにより、肝機能が復活します。 若さと美しさを保ち、基礎代謝を活発にするのでダイエットにも効果あり! そもそも、食べた植物酵素がその酵素活性を保ったまま肝臓へ行くはずだという発想はどこから来るんだろう。 酵素が機能を発揮するには、そのタンパク質としての構造を保っていないといけません。 機能を保ったまま、この巨大な分子がどこを通って肝細胞の中にまで入っていくのだろう? 万一、生きた植物酵素が肝細胞の中にまで入っていけたとして、その植物由来の酵素がヒトの代謝反応を正しく触媒してくれるはずといった発想はどこから来るんだろう。 そもそも、ヒトの細胞に食べた植物酵素が入ってくることはありませんけど、万一入ってきたとして、ヒトの細胞内にその植物酵素の基質になり得るものがあったら反応を触媒してしまいます。 ありえん話ですが、もしこんなことが全身の細胞で起こったら、ヒトとしての有機的統合性どころじゃなくて、代謝系が目茶苦茶になってしまいます。 ひとつの酵素が本来の働きをしなくなるだけでも病気になったりするのに、何百種類もの植物酵素がヒトの細胞内に侵入してくると、もう何が何だかわからなくなってしまいます。 たぶん、死んじゃうでしょう。 ヒトの細胞に食べた植物酵素が侵入してくると言うなら、その前に、食べた植物酵素がその機能を保ったまま、つまり、本来のタンパク質としての構造を保ったまま全身にばらまかれるわけです。 そうなると、ヒトの免疫系は黙っていません。 黙ってもらうと困ります。 そうすると、全身で、免疫系による、これはもう壮絶な戦いが始まるわけです。 これも、たぶん、あっという間に死んじゃうでしょう。 でも心配ありません。 そんなことは起こり得ませんから。 つまり、食べた植物酵素がその構造を保ったまま吸収されて、ヒトの基礎代謝を助けたり、なんてことは起こりませんから、ダイエットにも美容にもアンチエイジングにも、みんな効果は期待できません。 もし効果が期待できるのなら、もしそのサプリの理論が正しいのなら、酵素サプリによりダイエットや美容やアンチエイジングに効果が現れるより先に、壮絶な多臓器不全により、苦しみ、悶絶しながら死んでいくことになるでしょう。 「酵素サプリで上手に補給して、本来のカラダの元気さを大切にしていきたいですね」 はいはい。了解しました! このサプリが特にヘンというわけでもありませんので、 商品名は伏せておきます。 次のような記事があります。 ・自然信仰、天然信仰の考え方を学ぶ3 万田発酵の工場見学をして 天然信仰は傲慢か http://yoshibero.at.webry.info/200706/article_14.html (最後に関連記事のリンクがあります) 今回話題にした酵素サプリは上記の万田酵素とよく似ていますが、全く別の商品です。 万田酵素は酵素としての機能を宣伝していません。 あくまでも「発酵食品」です。 今回取り上げた商品は、モロに酵素の機能を期待する宣伝になっていたので、このように長々としてツッコミを書きました。 しかし、朝日新聞もうまいことやるなぁ。 ニセ科学を糾弾する記事書いたり、ニセ科学摘発のニュースはいっぱい書くけど、そのときに、全面広告を入れてくれる業界のニセ科学はうまいこと外している。 やっぱり、広告主は大切やし、広告主をたたく記事は書けんもんなぁ。 やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書) ソフトバンククリエイティブ 芦田 嘉之 ユーザレビュー: 真面目な学者のきちん ...Amazonアソシエイト by ウェブリブログ |
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ヴィルカーゲル 2008/06/26 20:35 |
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鼻血ランド 2008/06/29 13:02 |
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野草酵素「萬葉」 2008/07/13 17:27 |
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健康維持することは、自分を知ることから 2008/09/04 11:57 |
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