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zoom RSS 構造と機能 モノとコト5 タンパク質の失活と脳死

<<   作成日時 : 2008/06/23 01:50   >>

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酵素(タンパク質)が変性により失活する、という言葉があります。
研究者は、俗に擬人化して「酵素が死ぬ」とも言います。
失活とはその機能が失われた状態といえます。
タンパク質の場合、立体的な構造が変化しています。
ある構造によりある機能が付随していたわけですから、その構造が崩れれば機能も変化し、場合によっては失われます。

どんな物質も不変ではありません。
どんな物質も構造が変化し、それに伴って機能も変化します。


たとえば、卵白にはリゾチームという酵素(タンパク質)があります。
リゾチームという構造を保っているときは細菌の細胞壁を分解するという現象を触媒する機能を持っています。

卵白を加熱すると固まりますが、それはタンパク質の構造が熱により不可逆的に変化するからです。
卵白中のリゾチームも同様で、加熱によりリゾチームとしての機能は失われます。
 だからこそ、生卵は細菌に強くて長持ちしますが、ゆで卵は細菌に弱くて長持ちしません。

と書いていけばわかるように、構造と機能は分離できるわけではありません。
構造が死ねば機能が無くなるのなら、つまり、機能が消えて構造だけの状態になると言うのなら、構造と機能は分離可能だといえなくもない。

しかし、実際には構造と機能は一体であり、ある構造をとっているからある機能があり、その構造が変化するからその機能も変化し、場合によっては失われる、それだけのことです。
ですから、構造と機能は分離できません。


ここで大切なのは、たとえばリゾチームというタンパク質の「機能がある状態」と「機能がない状態」の2つしかないと勘違いするのはよくないとうことです。
熱による構造の変化は瞬間的であろうがゆっくりであろうが、必ずある時間経過を必要とします。
その時間が短いか長いかは問題ではなく、変化は持続的だと言うことです。
構造の変化は一気に起ころうがゆっくりであろうが、AとBという2つの構造しかないのではなくAからBへ至るあいだに小さな変化の積み重ねで変化しているということです。

その結果として、機能も変化していきます。
機能が完全にある状態と完全にない状態しかないのではなく、その中間の機能の状態もあると言うことです。
そして、機能だけが単独で変化するのではなく、必ず構造の変化に伴って機能が変化すると言うことが重要です。

つまり、構造変化の連続性はありますが、機能変化の連続性は無いように見えます。



上から下へ時間が流れているとすると、

構造1 -> 機能1

構造2 -> 機能2

構造3 -> 機能3

(つまり、機能1 -> 機能2 といった連続性はない)



タンパク質の失活を身体の死に置き換えればよくわかります。

全身の死ではなく脳の死を考えても同じことです。


脳にしろ身体にしろ、それぞれ構造というモノがあって機能というコトがあります。
脳死になれば、人が死ねば、構造は残っているが機能だけ無くなったように見えます。
もしそうなら、構造と機能は分離できることになります。
脳であれば、脳という構造は残っていても機能である心が無くなった状態があるのなら、心身は分離可能なモノという解釈が成り立ちます。
でも、それは間違っています。

タンパク質の構造と機能の話で見たように、脳が生きている状態と死んでいる状態、脳の機能が完全な状態と完全に死んでいる状態の2つの状態しかない、というわけではありません。

不幸なことに(老化であったり病気であったり)、脳は徐々に死んでいきます。
その「徐々に」の速度が速いか遅いかの違いです。
そして、いずれは死にます。つまり、機能停止します。

その過程を見れば、脳の構造が徐々に変化していき、それにともなって徐々に機能も失われていきます。
つまり、心も徐々に失われていきます。
心というのがある状態とない状態の2つだけというわけではありません。
その中間があるわけです。
その中間があるのは、構造にも中間があるからです。

したがって、身体と心とは一体であり、分離できるわけではありません。
死んだときに、身体と心が分離したように見えたのは単なる錯覚に過ぎません。

心身二元論は錯覚です。


タンパク質における構造と機能の時間変化にかんする議論が正しく、脳と心や意識の関係が構造と機能で語れるのであれば、物質としての脳の構造変化は連続しており、おのおのの構造(脳)から機能(心や意識)を発しているのであれば、心の変化は連続していないことになります。
心はいつも同じではないし、連続性もなく、断裂していることになります。


では、ヒトの死とは、脳死とはどんな現象なのでしょうか。

どの瞬間で脳が死んだのか、どの瞬間で身体全体が死んだのか、それは誰にもわかりません。
同時に、どの瞬間で心が失われたのかもやはり誰にもわかりません。


すくなくとも、肉体の構造が変化すると、その変化に伴って機能も変化し、それが脳であれば、心も変化していくと考えられます。

最終的には脳の機能停止、心の消滅へと向かうことになるのでしょう。

物質は消滅しません。形が変わるだけです。
脳から生じる心も、脳の変化で変化するだけでしょうが、脳という構造を保てなくなるほど変化すれば、その壊れた機能を持つだけになり、そのとき心は消滅しているでしょう。


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