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農林中央金庫のWebサイトにおもしろいアンケート結果が載っています。 結果のコメントを読むことで、この組織の考え方がわかります。 2008年03月19日付けのニュースリリースの 「〜東京近郊の20代の独身男女400人に聞く〜 現代の独身20代の食生活・食の安全への意識」 と題するもので、PDF版で読めます。 「食の安全」に「関心があるか」という項目が特におもしろい。 食の安全にかんする関心が、「性別でみると、女性の方が高い割合となっている項目が多く、特に「食品添加物」(男性35.3%、女性62.0%)における差が大きくなっています」だそうです。 これって、男性のほうがより科学的にものを考えている証拠ととらえても良さそうですが、農林中央金庫はそうとは思っていません。 調査結果全体を通じて、男性が「食の安全」に無関心で無頓着だと非難しています。 いまどき、適正に使われている食品添加物が食の安全を脅かしていると思っている人は、一部の扇動家とそれに踊らされている人たちだけだと思うのですが。 農林中央金庫(農協)もこの人たちに含まれるのだから、この書き方はあたりまえか。 次の質問の解説からわかるように、「中国産野菜」「アメリカ産牛肉」「遺伝子組み換え食品」を「食べてもかまわない」と考えることは、食品の安全性に無頓着な人と決めつけています。 本当に食の安全に関心があるのなら、それこそ農協の垂れ流す情報なんか信じず、科学的かつ客観的なデータを集めて判断するのではないでしょうか? 少なくとも日本国産なら安全だと判断することは、食品の安全を真剣に考えているとはいえないと思いますが。 農林中央金庫さんはそうではなさそうです。 「中国産野菜」「アメリカ産牛肉」「遺伝子組み換え食品」の3種類の食品について、日頃から食べている、あるいは食べてもかまわないと思っているものをあげてもらいました。 「アメリカ産牛肉」(50.5%)でも半数、「遺伝子組み換え食品」(14.8%)と「中国産野菜」(10.5%)については1割程度しかおらず、ほとんどの人が食べないと判断しています。 3種のいずれについても、男性は食品の安全性に対して無頓着な傾向で、特に「アメリカ産牛肉」では男性は約3分の2(66.0%)が食べてもかまわないと考えており、女性(35.0%)とはかなり意識に開きがあります。女性では「どれも食べていない・食べたくない」が6割(60.0%)と高率です。 アメリカ産牛肉を「食べてもかまわない」と多くの男性が答えることは、「食品の安全性に対して無頓着な傾向」と決めつけるところがおもしろい。 実は、知ろうとしないのは日本人ばかりで、国際的な安全性基準では、日本産牛肉はイギリスなどのヨーロッパ諸国と同じで最低ランクであって、アメリカ産牛肉は日本産牛肉より安全性の評価は高いのです。 これは当たり前の話で、日本ではBSE高発生国であり、初期の頃には無策でした。 多くの国民は全頭検査をしているから安全だと思っているらしいが、検査し陰性でもBSEに感染していないことを保証するわけでも安全であるわけでもありませんし、そもそも全頭検査は国際的には評価されていません。 検査は本来、頻度を調べるためのものであって、安全であることを保証するために実施するわけではありません。 日本は全頭検査をしているから安全、米国は抜き出し部分検査だから危険、なんて、科学的に判断する国際機関が評価するはずがありません。 病原体と見られている異常型プリオンタンパク質の検出には限界があって、これに感染していても検査結果が陰性となることはあります。 異常型プリオンタンパク質が蓄積する危険部位は特定されていますので、その危険部位を除けば安全性は格段に増します(安全だといっているわけではありません。念のため)。 ところが、この危険部位の除去方法という点でも問題があり、アメリカ式の方が日本式より危険部位の除き方は徹底しています。 日本は、全頭検査で安心しており、最も安全性が保証されるはずの危険部位の除去にかんして杜撰すぎます。 あれやこれやで、日本産牛肉はイギリス産牛肉並みの危険性を依然として持っており、アメリカ産牛肉はまだましです。 アメリカは日本からの牛肉の輸入禁止をまだ解除していません。 日本産牛肉は輸入するけどアメリカ産牛肉は輸入しないという国はあるのかなぁ。 全頭検査は単なる政治家のパフォーマンスに過ぎません。 いくら日本の検査態勢は世界一です、とガンバって言っても、検査が安全を保証するわけではないことを知っている国にとっては暖簾に腕押しです。 日本国産の牛肉が安心して食べられるのであれば、アメリカ産牛肉のほうがもっと安心して食べられるはずです。 知らぬは日本人ばかりなり。 2/3の若者がアメリカ産牛肉に抵抗がないというのは朗報です。 この2/3が全頭検査をどう思っているのかきいてみたい。 2005年8月から20ヶ月齢以下の牛のBSE検査は免除されています。 それでも全頭検査といっているのは、当面は国が補助して上記の牛も検査していいことにしているからで、国の補助がなくなると地方独自に検査を続けるところが続出し、結果的に全頭検査状態になっています。 国も地方も(特に地方は)金がないといっているのに、こんな無駄な検査をいつまで続けるんでしょうか? 地方が検査を継続したいという理由は圧倒的多数の消費者の声ということになっています。 しかし、農林中央金庫の調査が正しいのなら、すくなくとも若い男性はこの無駄な検査に反対するのではないでしょうか。 繰り返しますが、農林中央金庫の人にとっては、アメリカ産牛肉を食べてもいいと思うことは「食の安全に無頓着」であり非難の対象だそうです。 一方、アメリカ産牛肉を食べることを拒否する人は(このような人はおそらく日本国産牛肉を食べたがっているでしょう)、食の安全に関心がある人だということになります。 なんだかなぁ。 急いで補足しますが、もちろん、日本国産の牛肉が危険だから食べるなと言っているわけではありません。 アメリカ産牛肉が話題になっているので、それと日本国産とを比べての話であって、 アメリカ産牛肉を拒否することが食の安全に関心が高いと決めつける農林中央金庫の姿勢に対する突っ込みです。 実際にはどちらも同じくらい安心して食べてもかまわないでしょうから、食の安全の関心が高い低いというのは関係なく、おいしく食べればいいだけの話です。 牛さんと飼育してくださった酪農家の方々に感謝しながら。 次に「遺伝子組換え食品」 報告書に「遺伝子くみかえ」は5回出てきます。 「組換え」が1回、「組み換え」が4回です。 どの「くみかえ」で調査したかは、調査票とデータが未記載ですので、不明です。 (「遺伝子組みかえの法則」は「やさしいバイオテクノロジー」p180。またはこのブログシリーズ参照) (この記事にも「組換え」と「組み換え」が混ざっていますが、ママで引用しているためです) 結果をうだうだ羅列しているところで「組換え」が1回出てきて、4回の「組み換え」は解説のところに出てきます。このことから、もしかしたら調査は「組換え」だったのかもしれません。 調査結果によれば、遺伝子組換え食品は中国産野菜並みに嫌われています。 これも女性による拒否のほうが男性より強いようです。 このような若者の考えは、このブログのシリーズで書いたように、高等学校の偏向教科書の「成果」かもしれません。 遺伝子組換え食品は、実際の健康被害のあった中国産野菜並みに食べたくないとの結果はある程度予想できるものです。 ただ、調査の仕方に問題があります。 調査結果の書き方がイマイチよくわかりません。 「日頃から食べている、あるいは食べてもかまわないと思っているもの」をきいていることになっています。 しつこいですが、調査票が明示してありませんので、どんな項目できいたかわかりません。 もしこの通りなら、「日頃から食べている」のと「食べてもかまわない」というのはかなり異質な項目を一緒にきいていることになります。 普段食べている食事の中に遺伝子組換え作物や中国産野菜が含まれているかどうかなど、実質的には判断するのは不可能なのに、200人全員がきちんと答えたのでしょうか? ホントは食べたくないんだけど間違いなく普段食べている食事の中に3項目が含まれているだろうと認識している人は、この質問に答えられません。 通常、質問票の後ろに書いてある項目が印象に残るため、それに引っかかって答えてしまうものです。 前半の「日頃から食べている」は○だけど、後半の「食べてもかまわないと思っている」は×だったら、後半の強印象から×をつけてしまいます。 したがって、どんな質問票でどんな結果だったのか、具体的に示さないと、調査結果を客観的に評価できず、調査機関が独断で評価しても意味がありません。 それより一番気になることは、100人の男女、計200人にきいて200人とも答えたように書いてあることです。 つまり、回収率100%。そんな調査あり得るの? アメリカ産牛肉を「食べてもかまわない」人が、男性66.0%、女性35.0%、全体50.5%と書いてあるので、確かに計算上は男女同数です。 しかも、有効数字3桁でぴったり計算が合います。 本当に集計したんかなぁ。 やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
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