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低温殺菌牛乳を集めている過程で、グリーンコープのカタログを手に入れる機会がありました。 とってもおもしろいカタログです。 タブロイド判で24ページもあります。 残念ながら組合員ではありませんので見本誌ですが。 とにかく、グリーンコープは徹底して遺伝子組換え技術を嫌っています。 関東地方のパルシステムが「遺伝子組換えでない」表示を撤廃したのに、グリーンコープは酒や海産物でも「遺伝子組換えでない」表示を徹底しています。 グリーンコープの考える遺伝子組換えは次のようなものです。 遺伝子組み換え作物に反対(non-GMO) 遺伝子組み換え作物とは、微生物など異種の生物の遺伝子を組み込み、新しい性質をもつようにした作物のこと。人が長期摂取した場合の安全性は確認されておらず、アレルギーや生態系への影響が心配されています。また、輸入された遺伝子組み換え植物の種子による環境汚染が問題になっています。 グリーンコープでは、食品の主原料や畜産の主飼料には、遺伝子組み換え作物を原則使用しません。 例によって、グリーンコープも「組み換え」派です。 この程度の記述への反論はこのブログシリーズをはじめ、あちこちに書いてきました。 この程度の説明には簡単に反駁できてしまいます。 問題なのは、遺伝子組み換えを徹底して嫌い、反対表明をする割には、ここに引用したこと以上の根拠は一切示されていないことです。 つまり、この程度の認識で反対したり嫌ったりしているわけです。 カタログを見ると、「遺伝子組換原料(または飼料)不使用」という表示があちこちに書いてあります。 煎茶やオリーブオイルなど、遺伝子組換えとは関係なさそうな商品にまで「遺伝子組換原料不使用」表示がしてあります。 これは明らかな優良誤認です。 現時点で「遺伝子組換え」関連の表示に関係するものは、ダイズ、とうもろこし、ジャガイモ、ナタネ、綿実、アルファルファ、それにてんさいを使った食品や加工物です(これを書いている時点で)。 「やさしいバイオテクノロジー」157、168ページ参照。 また、この7作物以外に承認された遺伝子組換え作物はありませんので、7作物以外の農作物やそれを使った加工食品に「遺伝子組換え」関連の表示をすることは許されません。 明確に「表示してはならない」とJAS法に規定してあります。 「王将事件」というのがありました。 「王将 遺伝子組換え」でググるとトップに農水省のプレスリリースがヒットします。 簡単に言えば、京都の王将が販売しているラー油に「遺伝子組換え原料不使用」と表示していて、JAS法に触れることから農水省が「指示」したという事件です。 該当するJAS法の条文もプレスリリースに引用してあります。 ということは、グリーンコープの広告もこの事件と同じでJAS法に触れるのでは?と思ったわけです。 あきらかに、煎茶、コーヒー、紅茶、ビール、焼酎、ワイン、青汁、ほうれん草、小松菜、いんげん、わかめ、ところ天、太刀魚切身、鮭切見、塩さんま、開きあじ、しじみ、活あさり、などに遺伝子組換え不使用表示をするのは行き過ぎです。 これとは別に、鶏肉、牛肉、豚肉、牛乳などを使った食品に遺伝子組換飼料不使用の表示がしてあります。 少なくとも、ウシを使った食品で、ウシのエサに遺伝子組換えトウモロコシを使って飼育したウシ由来の加工食品であっても、遺伝子組換え表示はする必要はなく、同時に、遺伝子組換えでない表示もすることはできません。 そもそもウシのエサに遺伝子組換えトウモロコシや遺伝子組換え大豆を使うことにより、どのような健康被害が生じると考えているのでしょうか。 何を恐れているのでしょうか。 さらに「無農薬」、「減農薬」表示まであります。 「特別栽培農産物」制度が平成16年4月以降に収穫された農産物から適用されています。 「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」によれば、「「無農薬栽培農産物」、「無化学肥料栽培農産物」、「減農薬栽培農産物」、「減化学肥料栽培農産物」等の表示」を禁止しています。 ついでに、「「天然栽培」、「自然栽培」等の特別栽培農産物の表示と紛らわしい用語」も禁じられています。 以上の話はすべて「優良誤認」を防止するためです。 グリーンコープの広告表示を組合員が見て、すばらしい商品で安全・安心だと思って買うのでしょうか。 これって、完全に組合員はバカだから、この程度の「優良誤認」も認識できず、まんまと引っかかって買ってくれる、儲かって儲かってウハウハ、という風にも見えますけど。 ちょっと疑問です。 この広告は不当表示じゃないかと思い、農林水産省の「消費者の部屋」へ行って担当者に聞いてみました。 「王将事件」がありましたので、そのときに農水省が作った資料と例の広告を見せ、どうなのかききました。 しかし、この「消費者の部屋」ではわかりかねると言うことでしたので、表示・規格課の担当の方を紹介していただき、小一時間、お話を聞くことができました。 いろんなことがわかりました。 まずは、基本的なことを押さえておきます。 食品に占める遺伝子組換え作物の割合が重量で5%以下であれば「遺伝子組換え」表示は免除され、「遺伝子組換え不使用」表示をしてもいいことになっています。 ただし、この場合、IPハンドリングがしっかりしていて、分別されている原料を使った場合の話です。 分別されていない原料を使った場合は「遺伝子組換え不分別」の表示が義務づけられています。 また、5%条項というのは「意図せざる混入」に対してもうけられたものです。 流通の過程で100%分別は不可能ですので、意図しない混入というのは常に考えられるため、上限を5%にして、それ以下の混入は見逃してあげましょうという制度です。 したがって、たとえば、意図的に遺伝子組換え原料を混ぜて、たとえそれが食品の全重量の5%以下であったとしても、「遺伝子組換え」表示が義務づけられ、「遺伝子組換え不使用」表示をすることはウソの表示をすることになりますので、罰せられます。 「不分別」のものが混じっているのがわかっている場合でも、たとえその割合が5%以下であったとしても、ウソの表示と言うことになるので、「遺伝子組換えでない」表示はできません。 この場合は「遺伝子組換え不分別」の義務表示になります。 ちょっと複雑なのですが、食品の中で遺伝子組換え農産物が主な原材料でない場合には表示義務がありません。 主原料というのは、原材料の上位3位以内で、かつ、全重量の5%以上を占めるものです。 早とちりしてはいけないのは、この話は表示義務がないと言うだけの話です。 「組換え」の義務表示でないだけで、任意表示の「組換えでない」を無条件でしてよいというわけではなく、たとえ主原料でない、つまり原材料の上位4位以下で全重量の5%以下であっても遺伝子組換え、あるいは遺伝子組換え不分別の原料を使っていることがわかっているのであれば、「遺伝子組換えでない」表示はウソになるので、してはならないと言うことでした。 ただ、この話は、「ウソはよくない」というだけで、そのような罰則があるのかはわかりませんでした。 さて、グリーンコープの表示の件です。 該当する説明が次のサイトにあることを教えてもらいました。 食品表示に関する共通Q&A (第3集:遺伝子組換え食品 に関する表示について http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/qa_j.pdf 表示禁止事項 (問X−1)以下のような表示は可能ですか。 @「遺伝子組換え飼料不使用牛乳(卵)」や A「遺伝子組換えでない牛乳(卵)」 (答) (@について) 1 加工食品品質表示基準では、一括表示事項欄の原材料名欄には使用した原材料 を表示することとしており、牛乳(卵)の原材料に当たらない飼料の表示はでき ません。したがって、@の例のように、「遺伝子組換え飼料不使用牛乳(卵)」と いった遺伝子組換えに関する表示を一括表示事項欄に表示することはできません。 なお、遺伝子組換え飼料(とうもろこしなど)については、組み換えられたD NA等は家畜体内で消化酵素により分解されてしまい、牛乳や卵には残らないた め、遺伝子組換えに関する表示を義務づけることは難しいと考えていますが、@ のような表示を一括表示事項の欄外に任意で表示することは可能です。 (Aについて) 2 また、Aの例のように、「遺伝子組換えでない牛乳(卵)」という表示は、現時 点では、遺伝子組換え技術を用いて作られた牛乳(卵)が流通しているような誤 解を与えることから、基準第5条に規定する表示禁止事項と同様に表示できませ ん。 商品には「一括表示事項欄」というのがあって、そこにたとえば、 「遺伝子組換え飼料不使用」 と書くのは許されませんが、 一括表示事項欄以外のところであれば「遺伝子組換え飼料不使用」と表示していいことになります。 広告やWebサイトは一括表示欄に該当しませんので、広告やWebサイトの宣伝文句に「遺伝子組換え飼料不使用」を使うのもいいそうです。 つまり、グリーンコープの広告に違法性はないという判断です。 ただし、ウソはいけません。 遺伝子組換えトウモロコシを飼料に含むことがわかっているのであれば、たとえ一括表示事項欄以外であっても許されないと言うことでした。 だだ、この場合も、どのような罰則があるのかはわかりませんでした。 結局、ウソでなければ何書いてもいいことになります。 優良誤認の考えは、商品の一括表示欄に限った話らしく、それ以外の場所での表示は野放しらしい。 何書いてもいいわけではありません。ウソはいけません。 と担当官は何度もおっしゃいましたが、 なんかしっくりしませんね。 この世に全く存在しないものを使用していませんと書くのは容認されているらしい。 たとえば、遺伝子組換えひじきは存在しません。 承認されている遺伝子組換え農産物は先に書いた7作物に限られます。 7作物以外に、例えば米などで遺伝子組換え作物は存在します。 ただし、まだ承認されていません。 このように、現在開発中や研究中の農産物は7作物以外にあります。 それに該当しない農産物は圧倒的多数あります。 その存在しない農産物を使用していませんと書くのは、確かに使用していないわけでウソではありませんが、存在しないものはそもそも使用できないわけで、その存在しないものを使用していないと書くのは、広告やWebサイトであっても何らとがめられないというのは、どうも納得できません。 スーパーのひじき売り場で、 「遺伝子組換えでない」と一括表示欄以外に書かれた商品と、これと全く同じ原料を使っているが遺伝子組換え関連の表示がない商品が並んで置いてあるとすると、一般には遺伝子組換え作物に対する悪いイメージが浸透していますから、「遺伝子組換えでない」と書いた商品のほうが無表示の商品より優れていると思うでしょう。 この場合、原料は同じで、しかも使用していませんという遺伝子組換えひじきは存在しません。 それでも「無表示」より「遺伝子組換え不使用表示」のほうが優れていると誤って思ってしまうのが優良誤認のはずです。 消費者には選択の自由がありますし知る権利もあるでしょう。 しかし、存在しないものを使っていませんといって優良なイメージを売り込むのはまっとうな商法なのでしょうか? 「遺伝子組換え飼料不使用」表示も同様です。 飼料に使うとうもろこしが遺伝子組換えであろうとなかろうと、それを食べて育った牛の肉や牛乳の安全性に何ら違いがないことは原理的にわかります。 実際、遺伝子組換えトウモロコシを食べた牛のほうが遺伝子組換えでないトウモロコシを食べた牛より危険性の高い肉や牛乳が生産するという報告は今のところありません。 遺伝子組換え飼料を使っていないと書くことは、存在しない恐怖を煽っていることになります。 一般には、存在しないにもかかわらず、その恐怖があると言ってその恐怖の対象を使っていませんという商品のほうが、その恐怖を表示していない商品より優良だと誤認してしまいます。 それでも、遺伝子組換え飼料を使っていないことが証明できるのであれば、使っていないという表示を一括表示欄以外であれば書き放題です。 トウモロコシに限らず、ウソでなければ、牛の餌に遺伝子組換えニンジンを使っていないとか、遺伝子組換え雑穀を使っていないとか、広告やWebサイトに何を書いてもいいことになります。 ウソはいけません、と担当官はおっしゃいますが、こちらは、そもそも存在しないのですから、使用していませんという表示でウソのつきようがありません。 <<遺伝子組換え技術について>> ○01 ゲノムに占める遺伝子のイメージ01 ○02 ゲノムに占める遺伝子のイメージ02 ○03 遺伝子くみかえの法則 単行本編 ○04 遺伝子くみかえの法則 教科書編01 イントロ ○05 遺伝子くみかえの法則 教科書編02 集計 ○06 遺伝子くみかえの法則 教科書編03 生物II ○07 遺伝子くみかえの法則 教科書編04 理科基礎・図録 ○08 遺伝子くみかえの法則 教科書編05 家庭基礎 ○09 遺伝子くみかえの法則 教科書編06 保健体育 ○10 遺伝子くみかえの法則 教科書編07 現代社会 ○11 遺伝子くみかえの法則 教科書編08 中学校教科書 ○12 遺伝子くみかえの法則 教科書編09 現代社会02 スターリンク事件 ○13 遺伝子くみかえの法則 教科書編10 農業科用教科書 ○14 遺伝子換飼料不使用 この世に存在しない遺伝子組換え作物不使用 やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
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