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zoom RSS コラーゲンに含まれるヒドロキシプロリン

<<   作成日時 : 2008/03/05 01:51   >>

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コラーゲンをありがたがる健康食品がたくさんあります。
皮膚に塗るタイプ、食べるタイプ。
原料も高級食材由来、フィッシュコラーゲン、すっぽん由来と多彩です。
コラーゲンをそのまま何とか溶かしたものはあまりなく、吸収しやすいようにとかいってペプチドに分解したものが多い。中には、ナノブームに乗ってコラーゲンをナノ化して、吸収を促進したという商品まであります。これは単なるアミノ酸のようですが。
ここでは、コラーゲンをタンパク質として食べるタイプの健康食品について少し考えます。
コラーゲン由来の「ヒドロキシプロリン」がたくさん入っていることを宣伝している健康食品があります。

やさしいバイオテクノロジー」のp82に「コラーゲンに美肌効果がある?」が書いてあります。
また、このブログでもコラーゲンの話題を何度も取り上げています。
コラーゲンにもいろいろあります
ミラクル・エンザイム説とコラーゲン 美容と健康はこれでゲットだ
美容と健康 コラーゲン配合サプリメントと化粧品
必須アミノ酸 不可欠アミノ酸 あめふりひといろばす 健康食品のアミノ酸
食べたタンパク質はどうなるのか 経口摂取した機能性タンパク質の働き方
世の中にはいろんな酵素があります
「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報7 番外「病気にならない生き方」などを読む2
「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報10 番外 52年前の「酵素療法」

それぞれのテーマでコラーゲンが登場しています。
本当にしつこいですが、今日見た広告に「ヒドロキシプロリン」含有を強調しているのがありましたので、もう一つ付け加えることにしました。


ターゲットになる健康食品の広告を見ると、
コラーゲンにはヒドロキシプロリンが含まれていて、これが大切で、この健康食品にはヒドロキシプロリンが大量に含まれていると書いてあります。
だから健康にいいとか何かに効くとか効能は書いてありません。そのへんは慎重に書かれています。

では、ここで出てくるヒドロキシプロリンとはいったい何なのでしょうか。
ほんとうにヒドロキシプロリンが必要なのでしょうか。
高いお金を出すだけの価値があるのでしょうか。


コラーゲンはタンパク質の一種です。
タンパク質はアミノ酸の重合体です。
タンパク質は細胞内で合成されます。
一般的なタンパク質合成に使われるアミノ酸は20種類あります。
タンパク質を部分的に切断するとペプチドになります。
さらに分解すると、アミノ酸になります。

コラーゲンもタンパク質ですから、細胞内でコラーゲン遺伝子の塩基配列の情報にしたがってコラーゲンの前駆体が合成されます。
その後、細胞内でさまざまな修飾を受け、三本らせんの働きを持ったコラーゲンになります。

タンパク質合成に使われるアミノ酸には、細胞内で合成されるものと食事で摂取したタンパク質を分解してできるものがあります。
ヒトでは、タンパク質合成に利用される20種類のアミノ酸の内、すくなくとも8種類は自分で合成できないため、他の生物が合成したタンパク質(アミノ酸)を食べる必要があります。
それが必須アミノ酸です。

コラーゲンを構成するアミノ酸の内、およそ半分はグリシンとプロリンで、両方とも必須アミノ酸ではありません。残り半分にも必須アミノ酸の割合が他の一般的なタンパク質に比べて低いことがわかっています。
したがって、コラーゲンは栄養的にはあまりよいものではありません。
つまり、高価なナノコラーゲン(コラーゲンをアミノ酸にまで分解したもの?)を食べてもあまり意味がありません。

コラーゲンとして働くためには、高次構造を保っている必要があります。
ペプチドに分解したり変性したゼラチンではコラーゲンとしての機能は失われているので、それを食べても意味がありません。
たとえ、コラーゲンとして機能が保たれていても、食べたところで消化器官によって分解されるだけですので、意味がありません。


前置きが長くなってしまいました。
本題のヒドロキシプロリンの話です。

細胞内でコラーゲン合成された後の修飾の一つにプロリンのヒドロキシル化があります。
コラーゲン合成に使われるのはプロリンであってヒドロキシプロリンは使われません。
ヒドロキシプロリンはコラーゲンが合成されてからプロリン4-モノオキシゲナーゼ(ヒドロキシラーゼ)という酵素の働きによりヒドロキシル化されて生じます。

ヒドロキシプロリンを食べたところで、そのままコラーゲンの成分になるわけではありません。
ヒドロキシプロリンは細胞内でアラニンやグリシンといった別のアミノ酸に代謝されたり、ピルビン酸などに分解されたりします。
つまり、ヒドロキシプロリンをがんばって摂取してもヒドロキシプロリンとしての機能はすぐに失われ、コラーゲン合成に貢献するわけではなく、コラーゲン合成に必要なプロリンもアミノ酸の一種であるグルタミン酸から合成されます。


ターゲットの健康食品には、「美容にはコラーゲン、とよく言われます」といって、コラーゲンが美容にいいとは書いていません。それはいいのですが、「コラーゲンであれば何でもいいというわけではありません」といってコラーゲンには品質差があると言っています。

「コラーゲンはアミノ酸の組み合わせからできています。その組み合わせにヒドロキシプロリンというコラーゲンの元になるアミノ酸が含まれていることが大切なのです」というよくわからない文章も書いてあります。
そして「ヒドロキシプロリンをたっぷり含んでいるのが」この商品なのだそうです。

つまり、ヒドロキシプロリンを多く含むコラーゲンが高品質であるらしい。

そこで、この商品にどのくらいヒドロキシプロリンが含まれているかが書いてあります。
「豊富に含まれています」と自慢するだけに、一応「アミノ酸含有量」という一覧表が載っていて、ちゃんとヒドロキシプロリン含有量が書いてあります。
「大切な働きをするコラーゲンです。もし今お飲みのサプリメントなどがありましたらぜひ一度、コラーゲンの成分をご確認なさってみてください」とあります。

ヒドロキシプロリンが含まれていることがなぜ美容にいいことなのか、もちろんどこにも書いてありません。
「美容にはコラーゲン」、コラーゲンにはヒドロキシプロリンが含まれている、この商品には豊富にヒドロキシプロリンが含まれている、というのが書いてあるだけです。

これだけで宣伝効果を持たせようとするのですから、すごいことです。


広告には、タンパク質合成に必要な20種類のアミノ酸のうち18種類とヒドロキシプロリンが商品1袋当たり何ミリグラム入っているか一覧に書いてあります。
この商品に含まれるのは、合計19種類のアミノ酸ということになります。

「必須アミノ酸8種を含む19種類のアミノ酸をはじめ、良質のコラーゲンがたぷり」
とあり、「19種類のアミノ酸」という表現が2度出てきます。

なんで19種類と中途半端なの?と思うでしょう。
それには理由があります。

この商品には「原材料」として「すっぽん粉末」「ぜらちん」等が使われています。
タンパク質が1袋当たり8.6g含まれていて、そのうちコラーゲンが「約8308mg」だそうです。
(約といいながら1mg単位まで有効数字4桁で書かれているところがトンデモっぽくてよい)
ということは、コラーゲン以外のタンパク質は約0.3gということになります。

一覧にある19種類のアミノ酸の含有量を合計すると、8228.7mgになります。
これが1袋当たりのアミノ酸含有量になります。
これは、コラーゲンと特に断っていませんので、商品に含まれるすべてのタンパク質由来のアミノ酸の含有量のことだと思います。


ちなみに、タンパク質をアミノ酸に分解するときは加水分解反応が起こっています。
タンパク質中のアミノ酸の平均分子量は110ぐらいです。
水の分子量は18です。

たとえば、アミノ酸100個のタンパク質があるとすると、アミノ酸同士をつないでいる結合は99個ありますので、完全加水分解後のアミノ酸の分子量の合計は、加水分解前のタンパク質の分子量より99x18分の多くなります。
もっとも、加水分解時にアミノ酸にまで完全に分解されるだけでなく、他にも反応が起こりますので、この通り厳密ではありません。


原材料の「すっぽん粉末」にはコラーゲン以外のタンパク質が含まれているはずです。
1袋に含まれるタンパク質は8.6gで、そのアミノ酸含有量を全部足すと8.2gで、コラーゲンが8.3g含まれているそうです。
よくわからないデータです。
もしかしたら、商品からコラーゲンだけ単離して、そのアミノ酸組成を調べたのかもしれませんが、それだと、1袋当たり含まれているアミノ酸の含有量のデータがおかしくなってしまいます。

それはともかくとして、なぜ19種類のアミノ酸なのか。
ヒドロキシプロリンを除くと、この商品に含まれるアミノ酸は18種類ということになってしまいます。
なぜこんなことになるのか。
なぜ「必須アミノ酸8種を含む19種類のアミノ酸をはじめ、良質のコラーゲンがたぷり」
という中途半端なコピーになるのか。

商品にすっぽん粉末が使われているわけですから、アミノ酸が含まれるでしょうが、タンパク質も含まれているはずです。
商品にはタンパク質8.6g含有でアミノ酸がいくら含まれているかは書いてありません。

アミノ酸含有量というのは、商品に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解して、そのアミノ酸組成を調べることで出た数字でしょう。
商品に含まれるタンパク質を定量し、抽出したタンパク質のアミノ酸組成を調べて、その組成を全タンパク質量に掛けて、アミノ酸含有量を算出したのだと思います。

もしそうだとすると、アミノ酸組成を定量した方法が問題になります。
どんな方法を使ったのか知りませんが、ある程度想像できます。
たぶん、古い方法をとったのでしょう。
その方法だと、グルタミンはグルタミン酸に、アスパラギンはアスパラギン酸に分解されてしまいます。
つまり、グルタミンやアスパラギンが定量したい試料に含まれていてもデータとしてはグルタミン酸やアスパラギン酸との合計の値しか出てきません。

商品のアミノ酸含有量をみてみますと、グルタミンとアスパラギンが含まれていません。
つまり、商品にはヒドロキシプロリンを含む19種類のアミノ酸が入っているように書いていて、その中にはグルタミンとアスパラギンが含まれてないことになります。
グルタミンとアスパラギンは必須アミノ酸ではありませんので、8種類の必須アミノ酸は確かに含まれています。

もうこの商品のコピーの何がおかしいかわかりますね。

「必須アミノ酸8種を含む19種類のアミノ酸をはじめ、良質のコラーゲンがたぷり」




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