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zoom RSS 遺伝子組換え技術について08 遺伝子くみかえの法則 教科書編05 家庭基礎

<<   作成日時 : 2008/02/23 03:21   >>

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高等学校の教科書に見られる「遺伝子くみかえ」表記を検討するシリーズ。
今回は「家庭基礎」と「家庭総合」です。
両教科とも同じ出版社で、「家庭基礎」は7社10種、「家庭総合」は7社8種です。
(ひとつの出版社が複数の教科書を出している)

まず、「家庭基礎」では、遺伝子組み換え派(2社2種)と遺伝子組換え派(6社8種)と分かれてます。
(一橋出版が「組み換え」本と「組換え」本を出しているので、変な集計になる)

「家庭総合」では、遺伝子組み換え派が1社1種、遺伝子組換え派が5社6種、そしてなぜか平仮名の遺伝子組みかえ派が1社1種です。

それぞれの派で、それなりの記述が見られておもしろい。


それでは、数少ない「遺伝子組み換え」本を俎上に載せましょう。


教科書3 「家庭基礎」(一橋出版)p78、
 2002年03月10日検定済、2005年01月20日発行
【食品の安全性について知る】
「アレルギーを引きおこしやすいたんぱく質や有害な物質がつくられる可能性、昆虫に対する耐性が自然生態系を攪乱する可能性など、いくつかの懸念も完全には否定できない」

食中毒、食品添加物、有害化学物質、輸入食品の各問題点の指摘のあと、「遺伝子組み換え食品の問題点」として上記のように指摘しています。

食品の安全性について知る」というタイトルで「遺伝子組換え食品の問題点」の「可能性」を人体に対する影響と環境榎影響という観点から考えて、「いくつかの懸念も完全には否定できない」と結んでいます。

まず、結びの言葉について。
ここに引用されている「可能性」は当然のことながら「完全には否定でき」ません。
科学の力で、これらの可能性が「完全に否定」することは永遠に不可能です。そもそも科学はそういうものです。
遺伝子組換え技術に限った話ではありません。
これは当たり前のことであって、もし、この教科書の執筆者が科学によって完全に否定できることもあり得ると考えているのであれば、それはまた別の意味で恐ろしい問題です。

この「完全には否定できない」論は、「安全性が100%保証されているとはいえない」という表現で東京書籍版「生物II」にも出てきたときにも検証しています。


アレルギーを引きおこしやすいたんぱく質や有害な物質がつくられる可能性
アレルギーの話は次回の教科書4のところでにもでてきますので、そのときに詳しく書きます。

「有害な物質がつくられる可能性」というのは、かの有名な「トリプトファン事件」が念頭にあるのでしょう。
しかし、残念ながら、この事件はとっくに否定されていますし、そもそも高等植物を遺伝子組換えによって食品とするものと、細菌を遺伝子組換えによって有用物質を抽出するので技術的な問題点は全く異なります。


昆虫に対する耐性が自然生態系を攪乱する可能性
遺伝子組換え作物の茎や葉を食べる昆虫は遺伝子組換え作物由来の導入された遺伝子由来のタンパク質を食べることになりますが、その機会のある昆虫(の幼虫)の種類は限られています。
昆虫の幼虫が食べる植物は昆虫の種ごとに限られています。
同じ毒素タンパク質を散布するという形で長い間農薬として使われてきており、現在も、遺伝子組換え作物を栽培していないところでは散布され続けています。
こちらは、タンパク質として単離されたものを散布していますので、つまり、葉や茎に含まれるタンパク質ではなく裸のタンパク質ですので、この毒素タンパク質に触れる機会のある昆虫やその幼虫は無差別に食べることになります。
このように、もし、この毒素タンパク質により「昆虫に対する耐性が自然生態系を攪乱する可能性」があるのなら、裸の毒素タンパク質を散布するほうが危険性が高いのではないでしょうか。


遺伝子組換え派の教科書を簡単に見ていきます。

「家庭基礎」と「家庭総合」で同じ文章で説明してある出版社もあります。
「遺伝子組換え食品」の話題は、食品の表示制度の項目のひとつとして取りあげられるのが多く、また、食品添加物や食中毒などの食品の安全性について書かれた項目のひとつとしても登場します。



「家庭総合」(開體ー)p118、
 2002年02月28日検定済、2005年03月05日発行 A組換え
「家庭基礎」(開體ー)p107、
 2002年03月10日検定済、2005年03月05日発行 A組換え
「安全性へのあらたな課題」という項目の中で登場する。
問題点の指摘は簡明で弱いが、環境ホルモンと同列扱いされている。



「家庭総合」(教育図書)p123、
 2002年02月28日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「家庭基礎」(教育図書)p101、
 2002年03月10日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「家庭基礎+」(教育図書)p105、
 2002年03月10日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「安全に食べる」という項目の中で登場する。
食品添加物、食中毒の説明のあと、遺伝子組換えの話題が出てくるが、その内容は普通。



「家庭総合」(実教出版)p141, p144、
 2002年02月28日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭総合21」(実教出版)p105、
 2002年02月28日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭基礎」(実教出版)p108, p110、
 2002年03月10日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭基礎21」(実教出版)p90、
 2002年03月10日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「安全な食生活」「選ぶ目をもつ」「食品の表示」
本文には端々と遺伝子組換え食品の表示制度について解説してある。
ディベート記事がある。
囲み記事
「品質の改善や耐病性を目的として、他の生物から有用な遺伝子を組み込み生産した農作物やこれを原料とする加工食品。
特定の農薬を分解する酵素の遺伝子や、特定の害虫に抵抗力をもつたんぱく質を組み込んだ大豆やとうもろこしが代表例で、米国やカナダなどで生産され、日本も輸入している。
安全性や表示をめぐる国際的な議論が続いている」




「家庭総合」(第一学習社)p110、
 2002年02月28日検定済、2005年02月10日発行 A組換え
「家庭基礎」(第一学習社)p95、
 2002年03月10日検定済、2005年02月10日発行 A組換え
欄外に詳しい客観的な説明がある。
表示制度の説明の中のみ登場する。



「家庭総合」(大修館書店)p139, p162、
 2002年02月28日検定済、2005年04月01日発行 A組換え
「家庭基礎」(大修館書店)p130、
 2002年03月10日検定済、2005年04月01日発行 A組換え
輸入食品の安全性の中に登場する。内容は客観的。



「家庭総合」(東京書籍)p123、
 2002年02月28日検定済、2005年02月10日発行 B組み換え
「家庭基礎」(東京書籍)p141、
 2002年03月10日検定済、2005年02月10日発行 B組み換え
「食生活の安全と環境」「食品の安全性」の項目の中に登場する。
トップに遺伝子組み換えの話があり、そのあとに、ポストハーベスト、環境ホルモンなどの話題が続く。
問題点の指摘方法として、食品としての安全性や生態系への影響、環境汚染や有害物質の含有、日本の農業への打撃などがあげられている。
「基礎」は「食品の安全性」の中の表示の話に登場するが、「総合」より問題点の指摘は弱い。



「家庭総合」(一橋出版)p96、
 2002年02月28日検定済、2005年01月20日発行 C組みかえ
「食品を手に入れる」「食品はどこから」「食品の輸入とその問題」という項目の中に登場する。
ポストハーベスト、食品添加物の話のあと、「また輸入農産物のなかには、遺伝子組みかえ作物も含まれている」とある。
用語解説
病虫害を減らしたり、栽培の労力を減らすなどの利点がある。一方、人体や環境への影響は未知数であり、今後も検証していく必要がある
「これからの家庭基礎」(一橋出版)p70、
 2002年03月10日検定済、2005年01月20日発行 A組換え
食品の安全性の話の中で農薬や食品添加物と同列扱い。



○家庭総合 7社、8種中 A組換え6種 B組み換え1種 C組みかえ1種
「家庭総合」(開體ー)p118、
 2002年02月28日検定済、2005年03月05日発行 A組換え
「家庭総合」(教育図書)p123、
 2002年02月28日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「家庭総合」(実教出版)p141, 144、
 2002年02月28日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭総合21」(実教出版)p105、
 2002年02月28日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭総合」(第一学習社)p110、
 2002年02月28日検定済、2005年02月10日発行 A組換え
「家庭総合」(大修館書店)p139, 162、
 2002年02月28日検定済、2005年04月01日発行 A組換え
「家庭総合」(東京書籍)p123、
 2002年02月28日検定済、2005年02月10日発行 B組み換え
「家庭総合」(一橋出版)p96、
 2002年02月28日検定済、2005年01月20日発行 C組みかえ

○家庭基礎 7社、10種中 A組換え8種 B組み換え2種
「家庭基礎」(開體ー)p107、
 2002年03月10日検定済、2005年03月05日発行 A組換え
「家庭基礎」(教育図書)p101、
 2002年03月10日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「家庭基礎+」(教育図書)p105、
 2002年03月10日検定済、2005年02月05日発行 A組換え
「家庭基礎」(実教出版)p108, 110、
 2002年03月10日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭基礎21」(実教出版)p90、
 2002年03月10日検定済、2005年01月25日発行 A組換え
「家庭基礎」(第一学習社)p95、
 2002年03月10日検定済、2005年02月10日発行 A組換え
「家庭基礎」(大修館書店)p130、
 2002年03月10日検定済、2005年04月01日発行 A組換え
「家庭基礎」(東京書籍)p141、
 2002年03月10日検定済、2005年02月10日発行 B組み換え
「家庭基礎」(一橋出版)p78、
 2002年03月10日検定済、2005年01月20日発行 B組み換え
「これからの家庭基礎」(一橋出版)p70、
 2002年03月10日検定済、2005年01月20日発行 A組換え



<<遺伝子組換え技術について>>
01 ゲノムに占める遺伝子のイメージ01
02 ゲノムに占める遺伝子のイメージ02
03 遺伝子くみかえの法則 単行本編
04 遺伝子くみかえの法則 教科書編01 イントロ
05 遺伝子くみかえの法則 教科書編02 集計
06 遺伝子くみかえの法則 教科書編03 生物II
07 遺伝子くみかえの法則 教科書編04 理科基礎・図録
○08 遺伝子くみかえの法則 教科書編05 家庭基礎
09 遺伝子くみかえの法則 教科書編06 保健体育
10 遺伝子くみかえの法則 教科書編07 現代社会
11 遺伝子くみかえの法則 教科書編08 中学校教科書
12 遺伝子くみかえの法則 教科書編09 現代社会02 スターリンク事件
13 遺伝子くみかえの法則 教科書編10 農業科用教科書
14 遺伝子換飼料不使用 この世に存在しない遺伝子組換え作物不使用

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