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zoom RSS 遺伝子組換え技術について03 遺伝子くみかえの法則 単行本編

<<   作成日時 : 2007/10/06 23:47   >>

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「やさしいバイオテクノロジー」には「遺伝子くみかえの法則」というコラムがあります。
「遺伝子くみかえ」には3通りの表記方法があって、「遺伝子組換え」、「遺伝子組み換え」、「遺伝子組み替え」の順にその記述の信頼性が減少するというものです。
もちろん、例外はいっぱいあります。
「やさしいバイオテクノロジー」では、単行本(啓蒙書)や高等学校の教科書の記述がこの法則に合うかどうかといったのことには触れていませんでしたので、このコラムではこれらについてちょっと解説してみます。

まずは、単行本(啓蒙書)について。

遺伝子組換え技術をメインにした単行本はたくさん出版されています。
ネット書店で題名やキーワードで検索するといくらでもヒットします。
その中から自分で所有している本に絞って解説してみましょう。
私が所有している本が片寄っていれば以下の記述は意味ないじゃん、と思われるかもしれませんが、検索して可能な限り手に入れましたので、漏れている本はあまりないと思います。


遺伝子組換え技術をメインにした私有本(学術書は除き啓蒙書中心)は全部で75冊あります。
そのうち、タイトルやサブタイトルに「遺伝子くみかえ」表記のあるのが68冊、タイトルに「遺伝子くみかえ」表記はないが遺伝子組換えの話題が中心の本が7冊です。

遺伝子組換え技術について解説した本で「遺伝子操作」や「GM」という言葉に置き換えて書かれた本もありますが、「くみかえ」の表記にかんする調査なので、この手の本は省きました。

ちなみに「やさしいバイオテクノロジー」のサブタイトルは「血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る」で、75冊に含まれています。
編集部から提示されたタイトルには「遺伝子組み換え」でしたが、内容を説明し「遺伝子組換え」に変更してもらいました。
Webで検索したら「組み換え」が多数派だけど、まあいいか、と言ったノリで許可されました。


タイトルやサブタイトルに含まれる「遺伝子くみかえ」
遺伝子組換え表記  22冊
遺伝子組み換え表記 47冊
遺伝子組み替え表記  1冊

全体の約3分の1が「遺伝子組換え」、約3分の2が「遺伝子組み換え」でした。
1冊だけある「遺伝子組み替え」は単なる誤記のようで、本文は「遺伝子組み換え」でした。

タイトルやサブタイトルに「遺伝子くみかえ」が含まれないが、遺伝子組換え技術をメインにした本7冊で、本文の記載を見てみると、

遺伝子組換え表記   2冊
遺伝子組み換え表記  5冊
遺伝子組み替え表記  1冊(「遺伝子組み換え」も一部使用)

でした。

合計すると、
遺伝子組換え表記  24冊
遺伝子組み換え表記 52冊
遺伝子組み替え表記  2冊


一覧表をつくっていて、おもしろいことに気がつきました。
出版年が2001年を境に「組み換え」と「組換え」で表記方法が逆転します。

遺伝子組換え表記  24冊 2000年まで  5冊、 2001年以降 19冊
遺伝子組み換え表記 52冊 2000年まで 40冊、 2001年以降 12冊

つまり、2000年までの本のほとんどは「遺伝子組み換え」ですが、2001年以降は「遺伝子組換え」表記が多数派になります。


では、記述内容を見てみましょう。

まずは「遺伝子組換え」本から。
最初に出版された「遺伝子組換え」本を除いて、「遺伝子組換え」本はいずれも中立を保っており、いたずらに不安をあおったり偽データを挿入したりといった悪質さは見られません。

唯一例外の「遺伝子組換え」本は、何かの事故でしょう。
なぜなら、同じ著者がその後2冊出版しており、いずれも「遺伝子組み換え」で、3冊とも遺伝子組換え技術に徹底して反対しています。

「遺伝子組換え」表記の本の出版社を見てみると、学会出版センターや丸善、培風館といった理工系の教科書なども出版しているところで、著者をみても農水省や日本農芸化学会、日本農学会といったお堅い人が書いています。


「遺伝子組み換え」表記の本の内容はどうかというと、もちろん中立のものもありますが、ほとんどは遺伝子組換え技術に反対している人たちの本です。
「いらないキャンペーン」を張っている団体など、かなり過激に反対運動を行っている本はすべて「遺伝子組み換え」表記です。

2冊あった「遺伝子組み替え」表記の本は、予想どおり、ウソの記述が多い徹底反対本です。


出版の遍歴を見てみると、まず「遺伝子組み換え」が多数出版されます。
最初の4年間で「組み換え」本が38冊、「組換え」本はわずか5冊。

この時期に例のプッシュタイ(パズタイ)事件(1998年。ジャガイモにレクチン合成酵素の遺伝子 を組み込み、それをラットに食べされると、そのラットは免疫不全が起こり臓器の発育不全になったとされる事件)やロージー事件(1998年。オオカバマダラの幼虫に遺伝子組換えトウモロコシの花粉を食べさせると死んだという事件)、あるいはちょっと古くはトリプトファン事件(1989年。遺伝子組換え技術でつくられた細菌から調製したトリプトファンサプリメントを食べた人が死んだという事件)が起こっており(いずれも論破されている)、テレビや雑誌も遺伝子組換え反対キャンペーンを盛大にやっていた頃です。

ちなみに、手元にある週刊誌(「サンデー毎日」1999年10月03日号、「週刊読売」1999年08月15日号)でも、中立を保つふりをしていながらも、「いらないキャンペーン」の意見を持ち上げ、先のプッシュタイ事件とロージー事件を不当に取り上げ、いたずらに不安をあおる記事になっています。

この頃の「組換え」本は日本農芸化学会や農水省の本ばかりでお堅く、あまり一般の人に読まれたとは思えません。
つまり、徹底して反対する「組み換え」本ばかり読まれたのでしょう。
反対するにはそれなりの根拠が必要ですが、最大の根拠としていたのは上記の(論破されてしまった)3事件だけで、2001年以降もその状況は変わっていません。
つまり、反対するに値する新情報は、当時も今も、何ら得られていません。

「遺伝子組換え」本は2001年以降巻き返しますが、時すでに遅し。
強硬に築き上げられた遺伝子組換えいらないイメージは(「遺伝子組み換え」本を凌駕する数の)「遺伝子組換え」本をもってしても崩れることはなく、「遺伝子組み換え」王国はまだまだ健在です。


「やさしいバイオテクノロジー」を書いたときは雰囲気で「遺伝子くみかえの法則」を書きましたが、改めて単行本(啓蒙書)の数を数えてみると、「遺伝子くみかえ」の法則が意外ときれいに成り立っているので、ちょっとびっくりしています。



<<遺伝子組換え技術について>>
01 ゲノムに占める遺伝子のイメージ01
02 ゲノムに占める遺伝子のイメージ02
○03 遺伝子くみかえの法則 単行本編
04 遺伝子くみかえの法則 教科書編01 イントロ
05 遺伝子くみかえの法則 教科書編02 集計
06 遺伝子くみかえの法則 教科書編03 生物II
07 遺伝子くみかえの法則 教科書編04 理科基礎・図録
08 遺伝子くみかえの法則 教科書編05 家庭基礎
09 遺伝子くみかえの法則 教科書編06 保健体育
10 遺伝子くみかえの法則 教科書編07 現代社会
11 遺伝子くみかえの法則 教科書編08 中学校教科書
12 遺伝子くみかえの法則 教科書編09 現代社会02 スターリンク事件
13 遺伝子くみかえの法則 教科書編10 農業科用教科書
14 遺伝子換飼料不使用 この世に存在しない遺伝子組換え作物不使用

やさしいバイオテクノロジー 血液型や遺伝子組換え食品の真実を知る (サイエンス・アイ新書)
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