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zoom RSS 「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報4 基幹となる酵素から一般の酵素の作られ方

<<   作成日時 : 2007/06/09 03:51   >>

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ちまたではやっている酵素風呂や酵素サプリメント、あるいはベストセラーの「病気にならない生き方」を理解するためには、一般の分子生物学の理解とはまったく独立して独自の酵素栄養学を理解しないとわかりません。
酵素が栄養であり、また、一般の酵素は潜在酵素や原型酵素から作られる、という考えについて考察してみることにします。
酵素栄養学には、先に見たように、潜在酵素説と原型酵素説の二大勢力があります。それぞれの特徴を考察するのもおもしろいのですが、ここでは、二説に共通の理解である一般の酵素の作られ方につて考えてみます。

酵素栄養学では、潜在酵素や原型酵素といった一般の酵素の元になるものの存在を仮定します。
二説のあいだで、酵素の合成量や合成方法などに違いが見られるのですが、二説とも、一般の酵素である消化酵素と代謝酵素はこれらの基幹の酵素から合成され、また、基幹の酵素から合成される消化酵素と代謝酵素の総和は一定であるという点は一致しています。
(といっても、科学的根拠は両者ともありませんが)

この総和が一定という説は理解しにくいですが、要するに、たとえば、暴飲暴食などして、消化酵素を大量に(不必要に)消費してしまうと、その日に作られる生命活動にとって貴重な役割を持つ代謝酵素を作る量が減ってしまい、これが度重なったり度が過ぎると健康に害を及ぼしたりするという考え方です。
ちなみに、すべての酵素は消耗品で、使われるとなくなります。

このほかに、食物酵素というのもあります。文字通り食物に含まれている酵素で、食事で摂ります。
もちろん、生きた食材からでないと食物酵素を摂ることはできません。
潜在酵素説によると、生きた食物酵素、主に食物に含まれる消化酵素は、人の持つ消化酵素を補完してくれるそうです。
原型酵素説では、原型酵素から消化酵素や代謝酵素を作るときに食物酵素由来のアミノ酸が優先して使われるそうです。


基幹となる酵素から作られる消化酵素と代謝酵素の総和が一定、という考え方は非常におもしろいので、その根拠はなにか探したのですが、具体的な証拠は結局見つかりませんでした。

しかし、仮説として、原型酵素や潜在酵素から消化酵素や代謝酵素が作られる過程らしいことは述べられています。
その仮説によれば、どうやら基幹酵素から一般酵素が作られる過程は、瞬時に起こるようです。

ひとつの例を挙げて説明しましょう。
潜在酵素説を説明する文章の中に、次のようなものがあります。
野菜をすりおろすと酵素がたっぷりとなる。場合によっては、酵素が三倍にもなる。この酵素が増えるメカニズムの説明が書いてあります。
(本当は人の体内で起こっている例を紹介したかったので、具体的に説明されている例を探したのですが、見つかりませんでした)

それによると、野菜をかんだり、すりおろしたりすると、酵素が野菜から出現するそうです。
といっても、直接酵素が増えたことの証明はしていません。
野菜をかんだり、すりおろしたりすると、悪玉の活性酸素などを退治してくれる抗酸化物質の量が増えることが確認されているとしています。
この抗酸化物質の合成は、体内の代謝酵素の働きで作られます。
したがって、野菜をかんだり、すりおろしたりすると、酵素が増え、その結果、抗酸化物質が増えたと考えるわけです(実際の書籍ではここまで論理的な説明ではないが)。
書籍では、抗酸化物質と思われる物質の量が、かんだり、すりおろしたりすることで増えるというデータらしきものが添えられます。

ここからあとの説明は、書籍では触れられていません。
私なりに、この説をもっともらしく解釈しましょう。
基幹酵素から一般酵素が作られる過程は瞬時に起こります。
なぜなら、キャベツをかんだり、わさびをすりおろしたりすると、野菜に含まれていなかったピリッと感じる抗酸化物質が瞬時に合成されるからです。
つまり、野菜の細胞の中で潜在酵素から代謝酵素のひとつである抗酸化物質を合成する酵素が瞬時に作られ、その結果、人の体によい物質が作られるという考え方になります。

ここまでの話を読んで納得するのはちょっと危険です。

基幹となる潜在酵素という存在、潜在酵素から一般酵素である消化酵素や代謝酵素に作り替えられるという考え方はユニークですが、その証拠は一切提示されていません。
証拠がないから間違っていると断言するのはおかしいとの反論が出そうですが、そもそも、このような仮説を立てなくても、一般の酵素の合成にかんする説明はできます。


酵素を含むすべてのタンパク質は、遺伝子にコードされたとおりにアミノ酸をつなげていくことで合成されることがわかっています。
潜在酵素説が正しいのであれば、酵素の合成には潜在酵素を作る遺伝子だけあればいいことになります。
しかし、今までに見つかっている数多くの酵素は、すべて例外なくそれぞれの遺伝子の情報にしたがって直接合成されることがわかっています。
かたや、潜在酵素自身やその遺伝子の具体的な存在証明はまったくなされていません。

野菜をかむことで、なぜ酵素が出現すると勘違いしてしまったのかはある程度推測できます。

実は、このように考える必要はなく、普通に分子生物学や生化学の理解で説明できます。
野菜をかむことで、配糖体などの物質が作られることは確かに確認されています。
元々植物が持っていない物質ですから、かむなどの細胞を物理的に破壊する刺激により、この物質の合成反応が始まると判断できます。
潜在酵素説では、この反応開始と言うところを、潜在酵素から該当酵素の出現ととらえ、つまり酵素が新たに合成されたと考え、この酵素量に比例してその物質の合成量が左右されると考えています。

しかし、実際にはそのような説明でなくても、数々の証拠から理解できます。
抗酸化物質というのがあればの話ですが、その物質の合成に必要な物質(基質)や酵素は、細胞の中で別々に貯蔵されています。
つまり、基質も酵素もすでに準備されています。
酵素は単なる触媒です。細胞の中で別々に保存されていますから、普段出合うことはありません。
傷が付きますと、たまたまキズ刺激に当たった細胞が破壊され、別々に貯蔵された基質と酵素が出合うようなことが起こると、酵素反応が開始され、生成物ができます。
生成物量は酵素の活性にもよりますが、基質の量にも依存します。

したがって、酵素が出現する、なんてことはなく、酵素タンパク質はすでに細胞の中にある物が使われます。潜在酵素から合成されるなんてことも考える必要はありません。



このようなしくみは、進化の過程で獲得した生体防御機構のうちのひとつと考えられています。
植物は動けません。動けないなりになんとかして自身を守ろうとしています。というは、実際には、自身を守る機構がたまたま起こり、そのほうが生存にとって有利であったからその機構が残ったわけで、植物が自身を守りたいと思ってその機構を発達させたわけではありませんが。

植物にキズストレスが起きるということは、昆虫などにかじられるということで、これは植物にとっては好ましい状況ではありません。回避する必要があります。
植物が回避しようと思ったわけではないのですが、結果的に回避するというしくみを獲得した個体は生き残りました。
結果的にどのように回避したかというと、かじられると昆虫にとって毒になる物質を作るという戦略です。その結果、昆虫にかじかじれた部分の細胞は、かじられた後に昆虫に対する毒をつくって死んでしまいますが、そのまわりの細胞はこの捨て身の攻撃のおかげで守られるというわけです。

まるで見てきたような説明ですが、もちろん、数々の証拠から考えられるストーリーであって、実際にこの通りであったかどうかの確証はありません(この推量はすべての科学的説明に当てはまります)。



以下は、他のところでも書いたことの繰り返しです。
わさびなどの植物を人為的に傷を付けることで生じる成分を利用するという発想は、経験的にその成分の持つ抗菌効果を利用するところから来ていると考えられています。
(わさびを傷つけないと抗菌物質はできません)

植物がキズストレスから自分を守るために作る物質は、菌類にも有効で、生ものの食材に使われたりします。植物は、人間には無毒だが、昆虫や菌類にだけ有毒、といった器用な物質は作ってくれません。
植物にとって人間という生物は特別な存在ではありませんので、植物が人間だけ特別視することはしません。
したがって、植物が作る自己防衛物質は、人間にとっても有害である場合が多く、実際に発ガン作用など確認されています。

辛い、苦い、などの刺激のある物質はたいてい有害です。
ヒトの味覚として辛い、苦いという味覚が発達したのも、その味覚を持つものほど植物を食することに警戒することができ、より生き残るのに有利だったわけで、結果的に、植物の有害物質を見分ける味覚を発達させたものが生き残ったと考えられます。

子どもがピーマンなどの刺激の強い野菜が嫌いなのも理にかなっています。
これらの刺激の強い野菜には有害物質が含まれているわけですから、成長期の子どもにとっては大量に摂取するとかなり有害になります。
それを避けるという行動、すなわち刺激の強い野菜嫌いという行動が進化の過程で獲得されているわけです。
子どもが好き嫌いするというのは、つまり、刺激の強い有害な食べ物を避け、エネルギー源として必要な甘い糖などを好むのは、ヒトが生存することにとって重要な行動です。

このように、味覚は生存にとって有利なように発達しています。
バラエティに富む味覚は、人が楽しむために発達したのではなく、エネルギー源を得やすいように甘い物を好むようになり、毒物を避けるように辛いもの苦いものを嫌うようにできています。


毒物が影響力を発揮するのは細胞増殖の時が多いことがわかっています。
成長期を過ぎれば、細胞増殖も衰えますので、有害物質の影響力も衰えることから、大人になってからピーマンなどを食べられるようになるのは、野性の感覚が鈍くなっただけかも知れませんが、ある程度理にかなっています。

このような自然の植物が作っている自己防衛物質の種類は多く、発ガン作用が確認されている物もたくさん見つかっています。
この天然の農薬、つまり人間に害のある天然化学物質の量は、毒性も考慮すると、一般的な残留農薬の10,000倍あるとの報告があります。
われわれが通常の食事をするとき、天然農薬の方が残留農薬よりも10,000倍もたくさん摂取しています。
この天然農薬によって、われわれの体の中にあるDNAは傷つけられており、積もり積もって発ガンにいたることもあります。

この話は具体例がないとわかりにくいと思いますので、項を改めて、天然農薬の種類や濃度、毒性などの具体的数値をあげて説明する予定です。

少し補足しますと、残留農薬は、もちろん、基準値を守っていた場合の話です。農家の方が使い方をちゃんと守って使っていた場合の話です。使い方を間違っていれば、天然農薬並みの毒性を持つこともあり得ないこともないのですが、一応厳しく検査されています。
この話は、話の流れからわかると思いますが、国産の野菜の場合だけです。
国によっては規制もないような国もあり、日本や多くの国々で固く禁じられている農薬を平気で使っている国が近隣にありますので、その国から輸入されてくる野菜には上記の天然農薬10,000倍説は当てはまりません。そのような国の野菜から見つかる残留農薬の種類と濃度には気をつける必要があります。



「酵素 エンザイム」にからんだ健康情報シリーズ
・01 概要と書籍
・02 酵素栄養学とは何か
・03 通説の分子生物学はどのように説明しているのか
・04 基幹となる酵素から一般の酵素の作られ方
・05 番外『長生きの決め手は「酵素」にあった』を読む
・06 番外「病気にならない生き方」などを読む1
・07 番外「病気にならない生き方」などを読む2
・08 番外 22年前の「酵素栄養学」の誕生した頃
・09 番外 32年前の「酵素健康法」
・10 番外 52年前の「酵素療法」

・ミラクル・エンザイム説とコラーゲン 美容と健康はこれでゲットだ
・世の中にはいろんな酵素があります
・食べたタンパク質はどうなるのか 経口摂取した機能性タンパク質の働き方


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
このページの最後の方の、野菜の持つ自己防衛物質にとても興味があります。
どの野菜にどのような物質が含まれ、それを摂取しないための調理方法などが知りたいです。
ピーマンが子供に有害だったとは・・・。
小市民
2010/08/29 12:34
コメントありがとうございます。変異原性を持つ化合物は全ての植物から見つかります。一つの品種から十種類以上は軽く見つかります。天然や植物は安心・安全だといいう話をおちょくっているだけでして、ナマの野菜などが食品添加物や残留農薬より遙かに多くの毒を持っているといいたいだけです。天然や自然やグリーンがよいといっている人たちに対するアンチテーゼです。かといって、ナマ野菜を食べたからといってすぐに健康被害が生じるわけではありませんから、それを避けようという発想も必要ありません。毒はひとつひとつの細胞内にありますから、摂取しないようにするためには、食べないという選択肢しかありません。ピーマンが特に危険というわけでもありません。しっかり加熱調理し、ナマはほどほどにし、偏らないようにするのでいいのでは。
yoshi
2010/08/30 01:58

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