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zoom RSS 進化に関する誤解

<<   作成日時 : 2007/03/10 02:04   >>

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 高等学校の教科書などに記載されている「誤解」や「誤記」はキリンの首だけでなく、他にもいくつかあります。
進化の証拠として化石がよく取りあげられます。この化石の取扱について、誤解を受けやすい記述がよくみられます。
 たとえば、有名な話として「ウマの進化」。
第一学習社の副読本である図説によれば、「北米におけるウマの進化」と題し、北米大陸において第三紀から第四紀にかけて、ウマの化石を並べることによりウマが大型化し骨格の変化がよく分かるように解説されています。
 図説によればその進化は直線的であり、一世代前のウマが次の世代の原型であるように描かれています。
 これを見ると、進化によって、記載された生物種が次々と置き換わって誕生したように勘違いしてしまいます。
 他社の教科書にも同様の記述があります(以下、参照したすべての教科書は平成14年検定、平成17年度用)。例えば、「理科総合B」。東京書籍、数研出版で同様の直線的な図と説明が載っています。三省堂は簡単な図のみ。
 啓林館のみ分岐した図を載せています。しかし、残念ながらどこで発掘した化石なのか書いてなく、系統樹の現在の所には、なぜかしっかり「ウマ」がいます。
「基礎理科」では大日本図書が直線的な進化の図を入れて説明しています。

 同じような例が、人類の進化にも見られます。
猿人から原人、ネアンデルタール人、クロマニョン人へとこれまた同じように直線的に進化し、前世代の種が現世代の種の原型であるかのように誤解してしまいます。
「理科総合B」では、教育出版、実教出版の教科書に見られます。

 もちろん、教科書に書いてるような直線的な進化や、進化により種が置き換わるような事実は確認されていなばかりか、実際に起こっていません。
ウマ類にしても人類にしても、発見された化石以上の種分化が実際に起こっていたことがわかっています。
 たとえば、ウマ類では、教科書に載っている北米大陸に限っても、記載の種以外の化石が多数見つかっています。つまり、直線的に進化していったと説明するのに都合のいい化石だけが選ばれており、他の枝の化石は無視されています。表示されている化石も、直線的に進化したり、置き換わりながら進化したわけでもありません。

 また、北米にいたすべてのウマ類はそれぞれ進化の枝の途中で、更新世における哺乳類の大絶滅の時に他の大型哺乳類とともに絶滅しています。
現在の北米のウマはスペイン人が16世紀に持ち込んだといわれています。
したがって、北米のウマの進化を表す系統樹に現在のウマをはめ込むのは間違っています。

 化石をその発見された地層の年代順に並べることで、全体の進化の様相を知ることはできますが、多くの化石は種分化後に安定して存在した種の化石であろうし、またその多くは絶滅していることから、たとえば、発見されている化石が原生種の直接の祖先である可能性は非常に低いことがわかります。

 アメリカの博物館などにおいて「図説」にあるようなパネルを使って説明するところが以前はありましたが、今はその間違いに気付き、すべて訂正されているといわれています。
その間違いをそのまま掲載し続けているのは、日本の教科書ぐらいでしょう。


 また、進化には「進歩」というような、たとえば下等なものから高等なものへ、よりよくなる、といった誤解もあります。
 もちろん、そのような概念が進化にはありません。
 進化の方向性や進化の目的もありません。
 何かに向かって進化するということはありません。
 このような進化の考え方を誤って理解してしまうと、たとえば、創造説を信じている人たちがよく言う「ヒトがサルから進化したのなら、なぜサルがまだいて、サルが絶滅していないのですか?」といった疑問に結びついてしまいます。
現在の生物で進化的にヒトに一番近いのはチンパンジーとボノボです。
そのことから、ヒトとチンパンジーやボノボを比較することで、人類の進化を理解しようとする考えがあります。
もちろん、化石で解析できることは限られますし、生きた生物で比べる最良の生物がチンパンジーとボノボですから、この方法論はそう悪くありません。
しかし、誤解してはならないのは、ヒトとチンパンジーやボノボの共通の祖先がいたのは700万年前であり、ヒトもチンパンジーもボノボもいずれもその間、進化し変化していることです。
チンパンジーやボノボをヒトの原型として解析することはできませんし、共通の祖先が今のチンパンジー的であることもあり得ません。

 進化を否定し創造のみを信仰している人で、たとえば、「あなたは、自分をサルの子孫だと思っているかもしれないが、わたしはそうは思わない」と公言するアメリカの政治家などの公人は多数いるそうです。
完璧な誤解です。
進化論で「人間はサルの子孫である」とか「サルがヒトに進化した」などまったく言及していません。
現在地球上に存在する生物はすべて38億年の進化に耐えて生き延びたものです。

 「生きている化石」という言葉も誤解を呼びやすいです。
この言葉、残念ながら高校までの教科書には生き残っています。
現在地球上に生きているシーラカンスやゴキブリやカブトガニは生きた化石では決してありません。
現在生きている生物は全て進化のなれの果てであり、何かの生物の原型であることはありませんし、変化しないで永久不変などということはありえません。

 たとえば、ゴキブリが数億年も前から存在し、長い間存在し続けていたので、進化の勝者であって絶滅に耐えるだけの強い生命力が備わっていて、将来的にも環境の変化に強く、しぶとくこれからも生き続けるであろう、といった俗説がはこびっています。

 もちろん真っ赤なウソです。

 サメもカブトガニもゴキブリもシーラカンスも現在生きている種と一見よく似ているような化石種が見つかりますが、同じものはひとつとして存在しません。
恐竜が栄えていた頃のカブトガニと現在のカブトガニは形態的にもまったく別の種です。
現在のカブトガニが特に絶滅に強いといった証拠も得られていません。

 現在生きているすべての生物種は、38億年分の時間の洗礼を受けています。
ある種は時間が止まっているということはあり得ません。
すべての現生種は38億年間「生命」をリレーしてきた果てに存在するものであり、常に変化しています。

 もうひとつ教科書にみられる「誤記」にヘッケルの「個体発生は系統発生をくりかえす」という理論があります。
中学の教科書にも見られる有名な理論です。
しかし、そもそもこの理論を作り出したヘッケル自身が捏造した図により唱えた説であることを告白していることなどもあり、現在、この説をまともに取りあげられることはほとんどありません。
ヘッケルが捏造した説を、そのまま注釈もなく紹介されるのは中学や高校の教科書の中だけです。
数研出版の「基礎理科」だけ少し謙虚に書かれています。ヘッケルの図に対して、「類似点が幾分誇張して描かれている」と説明してあります。
大日本図書、実教出版、東京書籍などでは、図入りで注釈も説明も曖昧なまま使われています。実教出版と東京書籍版はヘッケルの名もありません。

 進化の考え方は一見やさしいように見えるため、他の科学分野に比べて俗説がはびこりやすい。
注意しないと、トンデモを信じてしまうことになります。どんな学説も常に正しいわけではありません。

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